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743話 魔族の冒険者?

「御主人様、どこに行きますか?」

「そうだな……」


 俺は考えた。久しぶりに用事も無いので、ゆっくり出来るからだ。

 今、思いつくのは『迷宮』を探索するか、火の精霊サラマンダーを探すかだが……。


「シロとクロは、冒険者になるつもりはないか?」

「御主人様がなって欲しいのであれば、私は別にいいですよ」

「我も異論は御座いません」


 シロとクロは、俺の意見に同意してくれた。

 今後、街や村に行く際には人型で行動してくれた方が、良い場合もある。

 その時に、身分証明書があれば疑われる事もない。

 別に冒険者ギルドにこだわっている訳ではない。商人ギルドでも問題はない。

 しかし、出来れば冒険者として、行動をともにしたいという俺の我がままだ。

 そもそも、聖獣や魔獣と呼ばれている二人だが、一応は魔族の類に分類される。

 冒険者登録出来るのかも疑問だが、以前に半魔人でも登録は可能だとシキブから聞いた記憶があるので、大丈夫だろうと思っている。

 魔族でもレベルは存在する。個体差はあるが、レベルが高ければ当然、戦闘力も高いが、大きなレベル差は無いので、あまり世間では知られていない。

 魔族のレベルを確認できるような【鑑定眼】のスキルを持つ者が少ないのも、ひとつの要因だろう。


「二人はレベルというのはあるのか?」

「はい。私はレベル百十六です」

「我はレベル百八です。主に仕えてから飛躍的に上がりました」

「……」


 俺は言葉を失う。

 エクシズに長い間いたのだから、俺と出会った段階でも、それなりのレベルだったことは間違いない。

 そして確かに、俺のレベルが上がれば二人の能力も上昇する。

 戦闘をしなくても、レベルが上がっていたという事なのだろう。

 まぁ、俺も今ではレベル二百十三だし……。

 これでも、アルやネロのレベルには足元には及ばない。

 まぁ、ガルプが【レベル上限無効】という恩恵を授けたからだ。

 俺も似たようなものだが、俺の場合はレベル百で表向きは止まっている。

 多分、アルやネロは気が付いているだろうが……。

 それよりも職業問題だ……。


「因みに、職業はあるのか?」

「ありません」

「御座いません」


 やはり、というか当たり前だろう。

 本能のまま生活しているのだから……。


「御主人様と同じで、無職になるんですかね?」

「我も職業を聞かれれば、胸を張って無職と答えましょう!」


 ……無職。

 確かに間違いではない。間違っているとすれば、胸を張って答える事は出来ないくらいだ。


 とりあえず、シロとクロの合意は取れたので、冒険者ギルドの最高責任者グランドマスターのジラールに確認をしてみる事にする。


「どうした! 何か厄介な問題でも発見したのか?」


 焦るような声でジラールが話す。

 俺からの連絡に警戒されるのも、なにか複雑な気分だ。


「俺の仲間のシロとクロは知っているよな?」

「勿論だ。エターナルキャットとパーガトリークロウだろ」

「二人を冒険者登録しようと思っているんだが、可能なのか?」

「冒険者登録だと!」


 ジラールは叫んだかと思うと、暫く黙ったままだった。


「相変わらず頭が痛くなるような事を簡単に言ってくれるな」

「そんな事だろうと思って、事前に連絡をしたんだけどな」

「そうなのか。しかし、難しい問題だな。人の姿になれる聖獣や魔獣を受け入れるんだからな……」

「一応、魔物の類になるんだろう?」

「そうだ……いずれにせよ、俺ひとりの判断では決定出来ない事案だ。少し時間をくれるか?」

「時間は全然構わない。しかし、忙しいのに悪かったな」

「冒険者ギルドとしても、有能な冒険者が増える事は、嬉しい事だから出来る限りの事はするつもりだ」

「本当に悪いな。それと、迷宮(ダンジョン)の件は大丈夫か?」

「あぁ、それなんだが……一応、調査隊は無事に戻ってきたが、最初に調べた時よりも難易度が上がっているようだ」

「そんな短期間に、難易度が変わるのか?」

「いいや、今迄に前例が無い。もう少し、こちらで調査を続けるつもりだ」

「そうか。大事になる前に、声を掛けてくれ」

「分かった」


 俺との記憶を失う前のジラールであれば、俺に調査の依頼をしてきたと感じた。

 やはり、以前とは違うようだ。

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