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72話 結婚式-1!

「以上になります」


 シキブが、ギルドメンバーに本部や領主からの連絡事項を伝えた。


 本部からの連絡は、『ゴブリンロード』と『オークロード』出現に対する警戒だ。

 気になったのが本部からの連絡事項の前に、この街で冒険者狩りをしている者が居る為、注意をする事と、その情報提供を求む内容があった事だ。

 死亡者は出ていないが、人気の無い場所で目を覚ますと、『MP』が殆ど無くなっているらしい。

 金品も取られていないことから、シキブは『魔族』の仕業ではないかと推測している。

 『MP』だけ取られると『HP』とのバランスが著しく崩れる為、体調に異変をきたして微量だが『HP』も減っていく。

 戦闘中でも、注意が必要だと以前に聞いた気がする。


「他に連絡事項や、調整内容は無いですか?」

「ちょっといいか?」


 俺は手を挙げた。


「大変困っていることがある。 ギルマスとムラサキにしか解決出来ない、厄介な問題だ」

「……タクトが言う位ですから、よっぽどの事ですね。 何ですか?」

「デリケートな部分も含んだ問題だ。 ムラサキにはここで話をするが、ギルマスはまずイリアから聞いてくれ」

「そうですね。 タクト様から事前に相談を受けていましたが、男性に聞かれると女性としても良い印象が無いのでギルマスは、とりあえず私たちの控室に来て頂けますか」


 イリアが、俺の話に合わせる。

 シキブは、納得した様子でイリアを含む受付嬢に囲まれて受付の奥に消えていった。

 控室の扉が閉まる音を確認してから、


「ムラサキ、とりあえず防具を全部脱いでくれるか?」

「はっ! なんでだ! 問題と関係あるのか?」

「大いに関係あるんだよ。 まず、鍛えた筋肉を見せてくれ!」

「そういう事なら」


 誇らしげに下着のみ残して全て脱ぎ、筋肉アピールをしている。

 とても扱いやすい。


「トグル、用意を頼む」


 トグルは冒険者数人と、会場作りを始める。

 といっても、テーブルを壁際に寄せて赤い絨毯を敷くだけだ。


「次はこれを着てくれるか。 着方は俺が教える」


 俺はムラサキにタキシードに似た服を手渡した。


「ん? なんだこれ、見たことの無い服だな!」

「そうだろ、実は性能を知りたいんだけど、筋肉に自信のある奴が居なくて、ムラサキにしか頼めないんだ」

「そういうことか、まぁ俺ほどの筋肉を持っている奴は、なかなか居ないから仕方ないな!」


 本当に扱いやすいな。

 そのうち詐欺にでも合うんじゃないか……


 白いワイシャツに蝶ネクタイ、黒のタキシード。

 サイズは問題ない。

 見た目的にも新郎に見える。

 クロの仕事は完璧だ!


 ギルドメンバー達は、見慣れないムラサキを揶揄っている。

 ムラサキは揶揄われているが、俺が着心地を聞いたり、動きの確認をしているので思うように反撃出来ない。


「御主人様、こちらの用意出来ました。 シキブさん、とても綺麗ですよ」


シロから連絡があった。


「了解!」


 ムラサキを定位置まで移動させて、「少し、このままで」と声を掛ける。

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