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711話 追憶(三獣士編)-4!

「では、改めて。お疲れ様でした」


 ロキサーニの言葉で、食事会が始まる。

 既に連絡していたのか、店に着く頃には料理は用意されていた。

 簡単に出来るものばかりで、馴染みのある料理も幾つかある。

 最初の五分程度は三人共、黙って食べていた。


「ステラ。貴女から見て、私とセルテートは、どのように映りましたか?」

「突然ですね……ロキサーニは冷静沈着。セルテートは戦闘馬鹿ですかね」

「おい、誰が戦闘馬鹿だ!」

「セルテート。少し、黙っててもらえますか。話が進まなくなります」

「ちっ、分かったよ」

「私達は長く一緒に出来る仲間を探していました。ステラが良ければ、この後も一緒にパーティーを組んで行動しませんか?」

「そのパーティーを組んで、私にメリットはありますか?」

「そうですね。この国で最高の冒険者になれます」


 ロキサーニは真剣に言っている事は分かった。


「最高の冒険者になると、どんなメリットがあるんですか?」

「そうですね。人ぞれぞれですが、私の場合はですと、高ランクの冒険者になれば、色々な場所に行ける事が出来ますし、師匠を倒す力が身につくかも知れません」

「俺は強い魔物と戦える。そして、狼人族が最強だという事が証明出来る」

「二人の意見ですと、大してメリットを感じませんね」

「うーん、そうですね。高ランク冒険者になれば、国王様直属に選ばれるかも知れません。そうすれば、王宮の閲覧不可の書物や、個人的な調査も国王様の命で調べる事が出来るかも知れませんね」

「それは、本当ですか」

「あくまでも可能性です。昔、護衛に就いていた冒険者が、行方不明だった母親の捜索を依頼した事があったと聞いた事があります」


 一人で高ランク冒険者になるより、常に同じパーティーでクエストをこなした方が達成率が上がるのは間違いない。

 この二人なら実力的にも問題無い。


「即決は出来ませんが、何回かクエストを一緒にした後でも良いですか?」

「はい、構いません。私としてはステラに仲間になって欲しいですから、努力しますよ」

「それは俺も同じだな。こんな優秀な魔法士は、ランクSSのカルア以外に見た事が無いからな」

「貴方達、変わってますね」

「そうですね。変わっているからこそ、気が合うのでしょうね」

「気が合わない私は、普通という事ですね」

「変わっている奴ほど、無自覚なんだよ」

「確かに」

「そうですね」


 私とロキサーニは、セルテートを見て笑っていた。

 久しく無かった、心の休まる時間を堪能した。


「ところで二人は何故、ランクAの昇級試験を受けないんですか? 実力ならランクSだと噂されていますが?」

「簡単な事です。私は受かる自信はありますが、セルテートの落ちる可能性の方が高いからです」

「ロキサーニだけ受かると、受注出来るクエストに制限が出るという事ですか?」

「はい、その通りです。私だけランクSになって、セルテートがランクBのままだという事も考えられます」

「俺は、そこまで馬鹿じゃないぞ」


 セルテートの筆記試験を心配しているのだと、すぐに分かった。


「そうですか。私が幾つか問題を出してみますので、答えて下さい」

「おぉ、任せろ!」


 自信満々のセルテートだった。


 しかし、私の出した問題全てに答える事は出来なかった。

 反対に、ロキサーニは全て答えられた。

 今度は、ロキサーニから幾つかの問題を出されるが、セルテートは一問も正解する事が無かった。

 当然、私は全て正解を解答する。


 事実を受け入れられないセルテートは、落ち込んでいた。


「よし、分かった。お前等に飯を奢るから、俺が試験に受かるように勉強を教えてくれ」

「珍しくやる気ですね」

「嫌ですね。面倒臭いです」


 その後、セルテートに勉強を教えて私達は三人で、ランクSになる。

 受注するクエストも、私達三人の噂が広がり王都での活動が多くなる。

 貴族等からの指名クエスト等も、受注するようになると国王様の耳にも、私達の事が入るようになる。

 ランクSに驕ることなく向上心を持ち続けたおかげで、冒険者ギルド最高ランクであるランクSSSまで上り詰める。

 そして国王様直属となり、『三獣士』という称号を国王様から貰う。

 ロキサーニとセルテート、この二人は私にとって唯一、心を許せる存在になっていた。

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