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70話 宝石開発勝負結果!

 この場所は、適当に掘っても『グランレミット』という緑色の宝石が取れる。

 そこまで貴重な物でも無く、市場でも小さいものは安価で取引されている宝石だ。


 途中に様子を見に行ったひとりが、向こうチームのドワーフに話を聞いてきた。

 最初は力任せに掘削をして、宝石も砕けてしまっていた。

 見かねたドワーフ達が、力を抑えて掘削するように指導したらしい。

 時間と共に、掘削のコツを掴んだのか、宝石の当たりが分かるようになってきたらしい。


 ムラサキが本気で穴掘ったら、確かに周り吹っ飛ぶわ……


 俺に負けないように、必死になっているそうだ。


 それなりに大きい物が確保出来てる様子で、こちらの宝石よりは確実に大きいらしい。


 今回の件で、ドワーフと交流が出来た事は、俺としても有難かった。

 今後、ドワーフにも色々と依頼する事が増えるのは感じているし、商人としてもドワーフの商品を扱えるのはかなりメリットが大きい。

 良好な関係を壊さない様にしなければいけない。


 制限時間が近くなって来たので、最初の場所に戻ると既にムラサキ達が居る。

 ムラサキは早く出したいのか、顔がニヤけている。

 隣のドワーフたちも、上手くいったのか誇らしげだ。

 こちらも大きいのを取った事を、アピールする。

 合図と同時にお互いの宝石を出す。


 ムラサキは透き通るような緑をした二センチ程の宝石だ。

 こちらが、一センチあるかどうかの宝石を出すと、

 「宝石掘りでは、俺の方が上だな!」と、ご満悦だ。



 ドワーフ達に確認したがムラサキの宝石は純度も高く、市場に出回る『グランレミット』としては、高級ランクになるそうだ。

 帰り道は、ムラサキの宝石採掘の自慢話を延々と聞いていた。

 聞きながら、八百長を知っている俺とドワーフ達はムラサキが可哀そうに思えてきた。


 今回の件は、秘密の採掘場所なので他言無用と何度も念押しをした。

 ムラサキは、俺に勝った事が言えないのが不満そうだ。


 村に戻ると、ラチスの所まで案内して貰った。

 ドワーフ達は挨拶をして、それぞれ村の中に消えていった。


 人が居なくなったのを確認して、【アイテムボックス】から酒を一〇本出す。

 ラチスの家のドアをノックして、ムラサキとお礼を述べて約束の酒を手渡した。


 ご機嫌のラチスに、トブレとザルボの工房見学の承諾を貰った。

 案内役にはステーが任命された。


 トブレの工房に行く途中にも、ムラサキは工房前に並んでいる武器に興味がある様だった。

 特に、主要武器の『大剣』に関しては握り具合を確認したり、製作したドワーフに色々と聞いていた。


 この世界では、汎用武器が主流の為、オーダーメイド品は殆ど無い。

 その理由として、ドワーフと商人との確執が大きい。


 職人気質のドワーフに対して、粗悪品でも売れれば問題無いと考える商人では、正反対だから仕方がないだろう。

 俺も職人気質な方なので、ドワーフの気持ちはよく分かる。

 出来れば気に入った武器をメンテナンスしながら長く使いたい。

 今の俺は、武器もろくに使えないが……


 ムラサキのせいで、目的のトブレの工房に着くのが、かなり遅くなった。

 トブレは、色々と作っているみたいで、工房中に失敗作らしき作品が散らかっている。

 ここ最近は『しなる剣』『攻撃可能な盾』等を失敗しては、対策のアイデアが出るまでは、違う物を造ってを繰り返している。

 今は、比較的簡単だという『飛距離が出る弓と矢』を造っているという。


 何を基準に、簡単だと言うのかが分からないが……


 弓本体は異常に曲がる技術はあるようだが、弦を弓にしならせた状態で取り付けると、弦が張力に耐え切れずに、切れてしまう。

 『クラウドスパイダー』という魔物の糸であれば、もしかしたら耐えれるかも知れないが、手に入れるのは難しいらしい。

 「他にも欲しい素材があれば、調達可能かどうかは別として覚えておくので教えて欲しい」と伝えるとトブレは奥から紙を持ってきて書き始めた。


 トブレから紙を受け取り、礼を言ってザルボの工房に向かう。

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