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683話 説明責任!

「話と言うのは、初代国王の本の事か?」

「あぁ、そうだ。色々と面倒な事になっている」

「……聞くのが恐ろしいな」

「まぁ、良い事もあるから気楽に聞いてくれ」

「気軽に聞ける内容でも無いだろうに……」


 俺は最初に六人の魔王が誕生すると、魔王同士が戦い最後の一人になった魔王は【滅亡】のスキルを発動して、この世界を破壊しまくる事を伝える。

 アデムとの約束で【殲滅】という言葉は使えないので、【滅亡】という言葉に変えて説明をした。


「なんだと!」


 ルーカス達が驚きの声を上げる。

 俺は続けて、俺が【滅亡】のスキルが発動しない処置を取ったので、この世界が滅ぶ事は無くなったと話すと、驚いた後に安心したのか、大きく息を吐き出していた。


「大きな問題では無いが、魔王に人数制限がなくなった事だ」

「なにっ!」

「誤解しているが、魔王になったから強くなるわけでは無い。魔王とは唯の称号だ」

「し、しかしだな、魔王は物凄く強いではないか」

「それは魔王になる条件を満たしているからだ。逆に魔王の条件を満たさなければ、魔王は誕生しない」

「それは分かるが……」


 ルーカスは深刻な問題だと捉えたようで考え込んでいる。


「タクト殿は、新しい魔王が誕生すると考えてますか?」

「そうだな……オークロードにゴブリンロードは間違いなく、魔王候補になると思う」


 ターセルが話に入ってくる。

 難しい話には、ターセルが参加するのは、記憶を無くす前から変わっていない。

 オークロードもゴブリンロードも、仲間と共に侵略行動を繰り返す。

 その結果、知名度や恐怖感等は他のロードの比ではない。

 侵略行動をする度に、強くなる事も分かっているので、放って置けば間違いなく魔王への階段を上ることになるだろう。


「今迄通り、オークロードとゴブリンロードは、誕生する度に討伐すれば問題ない」

「簡単に仰いますが……」

「俺が言いたいのは、昔と同じだと言う事だけだ」


 他の魔物が魔王になるとしても、それなりの条件を満たす事が難しいと俺は考えている。

 例えば、ドラゴンのように各地で街を襲い続ければ、魔王になる確率は高い。

 討伐される前に次の街を襲えば良いだけだからだ。


「とりあえずは【滅亡】のスキルで……」


 俺は話の途中で言葉を止めた。

 今、俺は【滅亡】と言っているが、【殲滅】のスキル内容を完全に分かっている。

 今迄の事を考えれば、スキルを習得している可能性がある。

 すぐにステータスを開いて、スキルを確認する。

 【殲滅】のスキルは無かった。

 多分、アデムが「一切の情報を回収する」と言っていたので、俺が習得したであろう【殲滅】のスキルも回収対象に入っていたのだろう。


「あっ、悪い。ちょっと気になった事があったので、話を止めた。続きを話す」


 俺は【滅亡】での被害が無くなった事が、一番重要な事だと話す。

 それに比べれば、ゴブリンロードやオークロードの事等、小さな問題だ。


「確かにタクト殿の言われる通りですね。最悪の事態は回避出来ていると言う事ですね」

「そうだ」


 ターセルが俺の説明を纏める。


「本当であれば、あの場所に居たカルアにも説明する必要はあるが、護衛衆の任も外れているし、今度会った時にでも話しておいてくれるか」

「分かりました。私が責任を持ってカルアに伝えます」

「悪いな、ターセル」

「いえいえ」


 ターセルに頼んでおけば、他に情報が漏れる事は無い。

 適任者だ。


「しかし、タクトよ。お主は何故、そこまで詳しい情報を得る事が出来たのだ?」

「それは国王といえ、秘密だ」

「まぁ、そうであろうな……」


 ルーカスは俺が答えないと分かっていて、質問をしたようだ。


「お主との記憶が無い事が、本当に悔やまれるわ」

「まぁ、仕方の無い事だ。ところで、オーフェン帝国には飛行艇で行くのか?」

「あぁ、そうだ。飛行艇を知っているのか?」

「んっ、まぁ……」


 俺が飛行艇を開発や製作をした事や、【飛行】を使って鳥のように空を飛んだ事も忘れているので、回答に困った。

 それに、飛行艇の操縦を教えていたのもシロだ。


「そうか。飛行艇の開発も、お主が関与していたのだろう」


 俺は何も答えずに笑う。


「タクト殿、私からも質問をして良いですか?」

「あぁ」

「カレンダーなる物をご存知ですか?」

「暦を示す表だな」

「はい。カレンダーも、もしかしてタクト殿が関与していますか?」

「何故、そう思う?」

「それは……カレンダーの入手した経緯や、誰かに説明を受けた気がするのですが、記憶が曖昧なので……」


 確かに、カレンダーは俺がアスランに渡した物だ。

 それをアスランなりに改良してくれればと思っていた。


「まぁ、今となっては経緯等は関係ないだろう。この国に適したカレンダーを作ればいいだけの事だろう」

「確かにそうですが……」


 アスランの言葉で、俺の記憶が曖昧なままになっている事を改めて知った。

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