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66話 結婚発表。男は情けないな……!

「貴方って人は、なんでそこまで規格外なのですか!」


 ギルド会館に戻って来た俺は、商人ギルドでの出来事を説明していた。


「商人ギルドからはローラの件で承諾貰ったし、俺的には商人ギルドの登録も出来て良かったんだぞ!」

「試験後のロックスの顔は面白かったぞ。 最後は、ロックスを脅していたしな!」


 ローラは、ひとりで楽しんでいる。


「ロックスは虫が好かないけど、今回ばかりはさすがに同情するわ……」


 シキブが下を向いて頭を軽く左右に振った。


「昨日、ムラサキを治療した時もそうですが、あんな大怪我ふたりでも五分はかかります。 それを一瞬で……」


 ローラが「ほほぅ」と、また興味を示した後にカンナと会っていた事を話す。


「鑑定士とのデートは、楽しかったか?」

「デートじゃねぇよ!」


 わざと、問題になるかのように言ってきた。


「ちょっとまって、鑑定士ってカンナの事?」

「あぁ、そうだけど、少し話しただけだぞ」

「……本当に?」

「本当だって!」


 信用が無いって、ツライな……


「これから重大な発表をするのに、そんな顔じゃだめだろう! ほら笑顔、笑顔!」


 そう、これからシキブとムラサキの結婚をギルドメンバーに報告する。

 ムラサキは先程から落ち着きが無く、ソワソワしている。


「じゃ、俺は先に下りてるから」


 一階に降りて、シロと合流する。


 シロはイリアと一緒に受付横に居た。

 明らかに男共が話しかけたいオーラを出しているが、イリアが防御してくれていたのだろう。


 「シロ!」と声を掛け、シロの横に行く。

 ギルドメンバーの、殺気のある目線が痛い…


「イリア、守ってくれててありがとうな!」

「いえ、シロ様を守るのは当然です」


 コイツ、完全にシロ信者になっているな。



「おい、皆聞いてくれ!」


 ムラサキが階段の中段から大声で呼びかける。

 ギルド会館内にいたギルドメンバーたちが、一斉にムラサキの方を見る。

 隣には当然、シキブがいる。


 視線が集まったムラサキは急に何も話さなくなった。


 ……ムラサキは緊張で思考回路が停止したのか、見かねたシキブが、


「私、シキブとムラサキはこの度、結婚致しました!」


 ムラサキに「情けないぞ! ここは女性に言わせる場面ではないだろう」と言いたい気持ちだ。


 一瞬、静まったがすぐに歓喜に包まれた。


「やっとですか」


 隣に居たイリアが呟いた。


「あのふたりが付き合っていたこと、知っていたのか?」

「はい、私だけでなく多分ここに居る殆どのギルドメンバーは知っていると思いますよ。 本人達は必死で隠していたみたいですがね」


 なるほど、よくあるパターンだ。

 本人達が隠している以上、あえて触れないというところか。


「イリア、ちょっと頼み事があるんだが……」

「はい、なんでしょう?」


 俺はイリアに頼み事というか、協力を御願いする。

 後日、皆が集まった時に、このふたりの結婚を大々的に祝いたい。

 気持ち程度で良いので寄付を御願いしたい。

 強制は絶対にしない。

 但し、当日まで本人達には内緒にして驚かせたいので、各ギルドメンバーへの対応を受付嬢皆で協力して欲しい。


「まぁ、それは良いですね。 しかし窓口での対応だけですので限界がありますよ」

「そうなんだよな。 他はこちらでも対応してみるから」


 宿の戻り、シロとクロを呼んだ。

 まず、クロに人型になれるかを確認すると可能というので、変化してもらう。


 一九〇センチ程の身長に執事のような恰好をして、目は切れ長で長い髪は後ろで縛っている。

 額には薄い傷というか、しわっぽいものがある。

 多分、これも目なのだろう。


 ……これは、俗にいうイケメンの部類に入る。


 シロやクロと三人で行動した場合、明らかに俺が残念な子になる。

 今後の生活が苦労しそうだ。


 ふたり(人型の変化も可能なので、これからはこう呼ぶ事にした)にシキブとムラサキの結婚式の説明をする。

 シロには、裁縫スキルがある為、シキブの衣装を作ってもらうことにした。

 サイズは俺が【鑑定眼】でバッチリ測定をした。


 これは絶対に内緒だ。 シキブに知れたら間違いなく殺される。


 イメージは前世でみたウェディングドレスを参考にしてみる。

 クロにも裁縫スキルがあるが、取り合えずトグルの居場所を確認して貰い、その後ムラサキの衣装を作ってもらう事にする。

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