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52話 慰労会&自費歓迎会!

 腕相撲に参加した者達は、周りで雑談を始めていた。

 何人かは、気さくに俺にも話しかけてくれた。

 

「みんな、お疲れさん。 とりあえず今日は俺のギルドデビューになる。 あいさつと礼も込めて今夜は俺が奢るから、下の酒場で好きな物を飲み食いしてくれ!」


 ギルドの建物には、酒場が併設されているので待ち時間に食事等も出来るようになっている。


 ギルドメンバー達は、タダ飯とタダ酒にありつけるとあって大喜びだ。

 疲れも忘れて皆、酒場に走っていった。


 走り去る人波の中に、動かない人物が居た。

 トグルだ!

 凄い形相でこちらを見ている。

 ……うーん、困った。


 トグルに目線を送ると、目線を外して振り返り人波の中に消えていった。



 シキブとムラサキが近寄って来て、


「ゴメンね、悪い子じゃないんだけど……」

「いや、気にしてない。 全員に好かれるのは難しいからな。 トグルが心配か?」


 シキブとムラサキが心配しているのは、顔を見ていれば分かる。


 努力しても目の前に天才が現れると、努力していた自分を全て否定されたと思い、そのまま堕落していくか努力が足りないと、更に努力するかで明暗がハッキリする。


「まぁ、同じ鬼人だし一本角が苦労しているのも分かるしな。 ただ俺達、鬼人は……いや何でもない」


 ムラサキはなにか言いたそうだったが、言葉を止めた。


「魔人に一番近い人族ってことか?」


 ムラサキは驚いたように


「あぁ、闇落ちしてそのまま魔人になる鬼人も多いしな……」


 鬼人は、負の感情で魔人に変化する事が、稀にだがある。

 一度、魔人化すると元には戻れなくなり、人族と魔族のどちらからも疎まれる存在になる。


「鬼人は鬼人で大変なんだな!」

「大変なのは、どの種族でも同じだ」

「たしかにそうかもな!」


 どの種族も色々な問題を抱えながら日々生活している。


「しかし、トグルを心配している顔を見ていると、ふたりとも良い親になりそうだな」


 俺の言葉に、シキブとムラサキは顔を赤くして、お互いが目線を外して別の所を見ている。

 面白そうなので、少し揶揄ってみる。


「早く、ふたりの可愛い赤ん坊が見たいな」

「ん、もう可愛い赤ん坊なんて……」


 シキブが体をクネクネさせて、ムラサキの脇腹を突いている。


「女の子なら、シキブ似の美人になるな」

「そんな~!」


 ムラサキの脇腹で指をクネクネし始めると、突いている指が第2間接まで入り込み、血が出ている……

 ムラサキが必死で我慢している。


 ……スマン、ムラサキ!


「そろそろ、酒場に行くか!」

「おぅ、タクトの奢りだから破産するまで呑んでやるぞ!」

「それは、勘弁してくれ!」

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