519話 雪人族の生活!
スーノパパとの会話に夢中になっていたら、知らぬ間に夜が明けていた。
スーノパパ達が使っていた『発光石』は小さい光しか発しなかった。
高温に弱い雪人族なので、火を使う事は厳禁だ。
この光だけで、日照時間が殆ど無い雪山で生活をしているので、スーノパパ達雪人族には、とても大事な物だと教えてくれた。
スーノパパ達からは、雪人族の生活等を教えてくれた。
生活範囲は、この雪山の頂上辺りだけで思っていた通り、外部との接触は殆ど無い。
通常の人族であれば、ここまで登って来れる者等居ないだろう。
冒険者だとしても、頂上付近に討伐する魔族等が居なければ、クエストも発生しない。
用事もないのに、来るもの好きも居ないだろう。
火を使わないので、動物や魔獣の生肉を主食としているそうだが、寄生魔蟲とかに侵されたりはしないのか疑問に感じた。
解体してから直ぐには食さずに、天然の冷凍庫で食料は保存するそうだ。
雪人族には免疫があるのか、それとも寄生魔蟲の活動出来る環境では無いようだ。
食事も毎日取るわけでなく、数日に一度だけらしい。
スーノパパ以外は、普段から動かないので体力を消耗しないような生活をしているからだと推測出来た。
生で食材を食べられる、スーノパパ達が少し羨ましく思えた。
俺が渡した写真は、少し暖かかったのかスーノパパの指先が火傷のようになっている事にも気が付いた。
俺に気が付かれないように隠していたのか、夜更けになるまで、その事に気が付かなかった。
今後、細心の注意をしながら接しないと、スーノパパ達を傷付けてしまう。
辺りが暗かった事と周囲が吹雪の為、夜が明けた事に気付かず、シロから連絡があったので、出発の時間だという事が分かっただけだ。
本当にシロには感謝だ。
俺はスーノパパ達にそろそろ戻る事を伝えると、寝ていたスーノモジャが目を覚ます。
「ゴメンな。起こしてしまったようだな」
「……タクト。帰るのか?」
「あぁ、そうだ。用事があるんでな」
スーノモジャが駄々をこねる。
三人の子供達の中でも、スーノモジャは俺に懐いてくれたのか、昨夜は隣で話を聞いたりしていた。
スーノピカリや、スーノララも俺が怖い人間で無いと分かってくれたようで、打ち解けていた。
「タクト、忙しい。わがまま駄目!」
スーノパパがスーノモジャを叱る。
「又、来るからな」
触れる事は出来ないので、頭を撫でてやったりする事も出来ない。
しかし、これは俺だけでなく雪人族も同じ話だ。
もしかしたら、ダメージは雪人族の方が大きいかも知れない。
それにこの寒い環境だと、今度来る時に土産として、街で何か買ったとしても使い物にならない物の方が多いだろう。
スーノパパが、寝ているスーノピカリやスーノララを起こそうとするので、
「起こすのも悪いので、そのまま寝かせてやってくれ」
俺は慌ててスーノパパを止める。
雪人族は礼儀を重んじるのか、スーノパパが首を横に振る。
「客人帰る。見送りする!」
「気持ちよさそうに寝ている子供を起こす事でも無い。気持ちだけで十分だ」
再度、スーノパパに頼むと分かってくれた。
「タクト。写真楽しみにしている」
「あぁ、俺も今度は別の土産も用意しておく」
「分かった。楽しみにしている」
今度来る時は、スーノパパ達に発光石を持ってこようと思った。
俺が考えられる土産は、それしか思いつかなかったからだ。
俺は見送ってくれたスーノパパとスーノママ、スーノモジャの三人に手を振り【転移】でルーカス達が待つネイトスに移動する。




