49話 冒険者ギルド昇進試験-1!
試験会場には、受験者ひとりとギャラリー多数。
試験官はイリアだった。
試験内容は、イリアがくじを引きそこに書かれている魔物の核の提出。
ランクに応じて討伐する魔物が異なる。
ランクFへの昇級試験は「スライム:五匹」
俺は【アイテムボックス】をポケットの中で発動させ、スライムの核五匹分をイリアに渡した。
イリアの横の鑑定士が、それを鑑定して証明すれば合格らしい。
当然、すんなりと合格した。
ランクEへの昇級試験は「ホーンラビット:五匹」
迷いの森で何匹も倒してきた。
懐かしいと思いながら、核をイリアに渡す。
合格。
ランクDへの昇級試験は「ブルーキラービー:一〇匹」
ジークに来る道中で倒してきたが、売らなくて良かった。
核をイリアに渡す。
合格だが、イリアが悔しそうな顔をする。
イリアから、ランクCの問題用紙を貰う。
制限時間:四時間。
問題数は五問。
三問以上正解で筆記試験合格。
どこまで難しいのか疑問だが……
一問目:朝八時に冒険に出たAは夜五時に帰ってきました。何時間冒険したでしょう。
……引掛け問題か?
いやいや、引掛けが見つからない。
二問目:冒険者Bが、街の東口から一日で街の半分まで歩きました。西口について東口に戻ってくるまで何日かかるでしょう。
……これも、普通に考えて良いのか。
この世界の学力基準が分からない。
三問目、四問目、五問目と小学校低学年レベルの問題が出題されている。
「出来たぞ!」
始まって五分程度で手を挙げた。
するとイリアは、
「諦めるにしても、もう少し頑張ってはどうですか?」
少し怒り気味に答案用紙を手にする。
手が小刻みに震えて、振り返り答えを確認している。
「……全問正解。 合格です」
後ろのギャラリーからざわめきが起る。
さぁ、ランクBだ。
ここまでは、思ったより簡単だったな。
イリアが、対象魔物のくじを引くと残念そうに
「ゴブリン:二〇体」と告げる。
ギャラリーからため息が漏れる。
「可哀そうに」「あいつもここまでか!」と落胆した言葉が飛び交っている。
イリアも冷静な口調で、
「残念でしたね。 今回の制限時間は『九六時間』です」
少し嬉しそうに問題用紙と回答用紙を持ってきた。
用紙を置いて戻ろうとしたので、
「これでいいか?」
ゴブリンの核二〇個を机の上に置いた。
イリアは信じられないといった顔で、核と俺の顔を交互に何度も見直して、手で包み鑑定士に渡した。
鑑定中に俺は問題を解いたが、やはり小学校低学年レベルの問題だ。
この世界の時事ネタでもあれば、完全に終わっていただろう。
鑑定が終わるより早く先程と同じ様に手を挙げて、筆記試験の終了を告げた。
半信半疑でイリアが答案用紙を確認する。
「……全問正解。 合格です」
手だけでなく、声までも震えている。
その後、鑑定士から「本物で問題ない」事と伝えられた。
「では、稽古場に移動しますので着いて来て下さい」
何故かイリアの目が血走っている。
怖い……