46話 シロとクロの正体!
シキブが、クロとシロについて説明をしてくれた。
「まず、クロといったその鳥は、パーガトリークロウと言って、魔王が好んで部下にしようとする位、攻撃力が高くて頭も良い魔獣なの。 元々数が少ない為、主従関係を持っている現魔王もいないって噂ですね」
……そうだよな、たしか三匹しか居ないって言っていたもんな。
「そして、シロといったその猫の様な魔獣は、エターナルキャットと言って、地域によっては神の使いとも呼ばれて、永遠の癒しの象徴でもあるのよ。 魔力が段違いに高くて私達の魔法スキルなんて、乳児の遊びレベルね」
ん? 案外凄くない?
「そもそも、人間が主従関係を結べるような魔獣ではないんです。 実際、魔獣というよりは聖獣に近いとも言われてます。それに私自身、実物を見るのは初めてですし……」
へぇ~、そうなんだ! 絶滅危惧種みたいなものか!
絶滅しそうだったのを、エリーヌが使徒として選んだのか?
「クロ、シロ、お前たちって凄いんだな!」
褒めてあげると、二匹共嬉しそうだ。
「そういえば、二匹の昔話とか聞いてなかったから、何も知らずにスマン!」
過去の話はしたくないのだろうと勝手に決めつけていたので、あえてこちらから話を振ることはしなかった。
しかし主従関係いや、仲間としてそこはきちんと確認しておくべきだったのかも知れない。
今度、二匹の昔話でも聞いてみるとしよう。
「クロ、シロ、俺のステータスをこの人達に見せるが良いか?」
クロもシロも、シキブとムラサキを見つめて確認したかのように
「主に御任せいたします」
「はい」
二匹共、問題無いと感じ取ったのだろう。
「では、こちらから」
シキブとムラサキがステータスを閲覧させてくれたので、内容確認をする。
さっき覗いた時は、スキルまでは確認しなかった。
ユニークスキルは、シキブが【神速】で、ムラサキが【威圧】ね。
聞くまでもなく、内容は分かるな。
「ありがとう。 今度はこちらの番だな」
ステータスをシキブとムラサキに見せた。
ふたり共驚いている。
メイン職業もサブ職業も『無職』だが、各能力値はあり得ない値になっている。
特に魔物のスキルも習得している(した)ので、普通は有り得ないのだろう。
「これは、隠しておきたいわね」
「あぁ、確かにレベルは俺達より低いかも知れないが、各能力は俺達より高い位だ」
「そうね、スキルによる補正値が大きいわね」
「一対一、いや俺とお前のふたりでも勝てるかどうか怪しいな……」
いやいや、それは過剰評価では……
「……それに、このユニークスキル。 普通の人間族であれば、ユニークスキルはひとりひとつ、多くてもふたつの筈。 多い種族の【狐人族】でも四つくらいの筈だわ。 それがこの数は異常ね」
「このスキルの数も異常だろ! 全ての職業のスキルを習得している様だ!」
「私達と同じユニークスキルもあるわね」
……完全に怪しまれているな。
当然と言えば当然だが、いつかは来る局面だ。
この段階で体験できるのは良かったのかも知れない。