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455話 イエティ討伐!

 スーノパパから家族構成を聞いてから、イエティらしき反応があった場所近くに【転移】して移動をする。


「そろそろだな」


 俺は、スーノパパの体を触り【隠密】で身を隠す。


「近寄るまでは、俺に触れたままで居てくれ」


 スーノパパに頼む。

 暫くすると、三体の歩く物体を発見する。


「あれ、イエティ」


 スーノパパが、俺に教えてくれた。


「……雪人族じゃないんだな」

「違う。あれ、イエティ。雪人族とは全然違う」


 遠目ではあるが、俺には同じに見える。

 歩いて近付くが、やはり見た目的に同じに見える。

 一卵性双生児も見慣れると、各々が分かると言うがそれと同じなのだろうか?


 更に近付いて行くと、ようやく耳の位置や形が違う事が分かる。

 イエティの方が、獣に近く頭の上に尖った形状の耳をしている。

 よく見ると、雪人族は人同様に完全二足歩行だが、イエティはゴリラみたいに手を突きながら、二足歩行で移動をしていた。


「スーノパパは戦うのか?」

「いや、先に戦うと言ったのタクト。順番守る」


 雪人族は律儀な性格なのだろうか?

 人族と接していない為か、言葉はカタコトだが言いたい事は分かる。

 どこかの権力を振りかざしている人族よりも、信用出来る。


「じゃあ、俺が倒すという事で良いか?」

「問題無い。危なくなったら助けるが、タクト強いから大丈夫」


 スーノパパからも了承貰ったので、イエティ達の進行方向に移動して姿が確認出来た段階で【隠密】を解く。

 いきなり、目の前に俺達が現れたのにイエティ達は驚く。

 驚く声は魔獣の叫びだった。

 やはり、外見は似ていても雪人族とは、全く別の生き物のようだ。


 この場で退治したいが、フリーゼとの約束もあるのでイエティ達を運ぶ必要がある。

 クロを連れて来ていない事を後悔する。

 クロであれば、影の中にイエティを捕獲することが出来る。

 フリーゼ達の警護を優先にした結果なので、仕方が無いが……。

 考えても仕方が無いので、シロとクロに連絡を取りクロを数分間だけ、こっちに来て貰う様頼む。

 二人共、問題無いと返答を貰うと、すぐにクロが目の前に現れた。


「クロ、悪いな。目の前のイエティを影の中に捕獲してくれ」

「了解致しました」


 俺の指示通り、イエティを影の中に捕獲する。

 イエティも何が起こったのか分からないであろう。

 次に意識が戻ると、別の場所だから混乱するのは間違いない。

 その分、狂暴性も増すであろう。


「イエティ、居なくなった。倒したのか?」


 スーノパパが質問をして来たので、簡単に説明をするが理解が難しいようだ。


「さっきの場所に戻ったらもう一度、イエティが現れるから」

「タクトの話、難しい。俺、分からない」

「……とりあえず、着いて来てくれ」


 これ以上、説明しても難しいと思った俺は、スーノパパへの説明を諦める。

 スーノパパの体を掴んで【転移】をして、フリーゼ達の待っている場所の近くまで移動する。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「悪い、待たせたな」


 吹雪の中から、フリーゼに声を掛ける。


「本当だ。どれだけ待たせるのだ」


 フリーゼは時間を持て余していたのか、機嫌が悪い。


「それで、何処にイエティが居るのだ?」

「ちょっと待っていろ」


 俺は【結界】で戦闘出来る場所を作る。

 勿論、吹雪の影響は受けない。


「見やすくなっただろう」


 フリーゼに向かい話して、クロにイエティ達を影から出現させる。


「ん、なっ!」


 フリーゼが言葉にならない声をあげる。

 現れたイエティは自分達が置かれた状況が分からないでいた。

 とりあえず、俺が敵だという事と、貧弱な人族なのは分かっているようだ。

 俺相手であれば勝てると思ったのか、イエティ達は俺の方を向くと大きく息を吸う。

口を開くと同時に氷の交じった息を吐く。

 魔法攻撃なら反射出来るが、この攻撃は物理攻撃らしく俺に直撃した。

 しかし、俺へのダメージは無い。


「こんなものか?」


 イエティ達の前に戦ったフローズンマンティスが強かっただけに、イエティ達の攻撃は物足りなかった。

 フローズンマンティスの戦闘の最中に、イエティ相手に試してみたいスキルがあったので試す事にする。

 俺は【威圧】を発動する。

 このスキルは二十秒間身動きを封じるスキルだ。

 イエティ達は体の自由を奪われた事を自覚する。

 その隙に、近付き【魔眼】で(コア)の位置を把握して、その位置に手を当てて(コア)毎、体を拳で貫く。

 二匹目は【一刀両断】を蹴りに使い、イエティの胴体を上下で分割する。

 三匹目を倒そうとすると、【威圧】の効果が無くなったようで、体が動くと俺から逃げようとしていたが【結界】に阻まれて、逃げる事が出来ないでいた。

 俺が近付こうとすると、覚悟を決めたのか俺に向かい拳を振り下ろしてきた。

 俺はそれを片手で受け止める。


「これで終わりか?」


 言葉が通じないのは分かっていたが、話し掛ける。

 イエティは雄叫びをあげると、もう片方の腕も俺に振り下ろす。

 その腕を掴もうとすると、イエティは口から氷の息を俺に吹き掛けた。

 しかし、俺にその攻撃は効かない。

 しっかりとイエティの両腕を掴んで、イエティを見る。

 体毛で覆われ隠れていた目と俺の目線が重なる。

 その瞬間に、イエティの体が震えだす。

 俺と目が合った事で恐怖を感じたのだろうか?

 両腕を離すと、攻撃の意思は無いとアピールしているのか両手を広げて腹を見せて寝ころんだ。

 俺としても、攻撃の意思が無い者を攻撃するのは気が引けるので、フリーゼやスーノパパに逃がしていいかを確認する為に振り向く。


「何を油断している!」


 フリーゼが俺に向かって叫ぶ。


 イエティが俺に向かい爪で斬りかかろうと襲ってきた。

 俺的には想定内の出来事だったので、特に驚きもせずに振り返ることなく襲ってきた右腕を【一刀両断】で切断する。

 イエティは痛みで叫ぶ。

 フリーゼは俺が振り返らずに攻撃をした事に驚いた様子だ。

 流れ出る血は、固まらずに雪を真っ赤に染めていた。

 卑怯者に情けを掛ける事も無いので、【風刃】でイエティの首を跳ね飛ばした。


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