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44話 無職の治療!

「本題に戻っても良いか!」


 ムラサキがこちらを見て「助かった!」という顔をしている。

 まぁ、そうだろう……なんかスイマセン。


「重ね重ね、お見苦しい点を御見せして申し訳御座いません」


 深々と頭を下げた。

 叩かれていたムラサキの左腕からは血が垂れている。

 ……止めるのが遅かった。


 俺の目線から、シキブもそれに気が付き


「あっ、ムラサキごめんなさい。 私ったら夢中で! すぐに回復職の誰かを呼びますね!」


 立ち上がろうとしたが


「その必要は無い。 俺が傷を治そう」

「えっ、でも貴方は無職ですよね?」

「あぁ、とりあえず実力の一部として評価くれればいい。 それにしても、ギルマスは名前で呼んでるんだな。 新婚さんならダーリンと呼べばいいのに!」

「ダーリンだなんて、もう恥ずかしいですわ!」


 しまった、地雷を踏む、いや核ボタンを押してしまった。

 また、顔を真っ赤にして、辛うじて見える速度でバシバシとムラサキを叩いている。

 叩く度に部屋中に血が飛び散り、床がギシギシと音を立てている。

 ムラサキはというと、必死で我慢している。

 ムラサキ、あんた男の中の男だよ!

 ……本当にスイマセン。


 このままだと本当にムラサキが死んでしまう。


「ん、んん!」


 強めに咳払いをするとシキブが正気を取り戻した。

 とりあえず治療をする為、ムラサキとシキブの間に入り負傷している左腕を見ようとした瞬間、バタンと大きな音と共に部屋の扉が開き、


「ギルマス、大丈夫ですか!」


 ギルドの連中が数人戦闘態勢になっていた。

 額から一本角を生やした青年が


「お前、ムラサキさんに何をした!」


 今にも襲い掛かろうとする勢いでいる。

 ……この状況見たらその反応は正しい。

 青年、君は間違っていない。


 ここは鬼人夫婦に恩を売るというか、ムラサキへのお詫びも含めてだが……


「スマン。 ムラサキに実力を確認してもらっていたが手違いで怪我をさせてしまい、今治療をしようとしていた所だ。 なぁ、ギルマス!」


 シキブも、まさか自分が怪我をさせてたとは言いにくいのか、


「そうなのよ、騒がさせてゴメンナサイね」

「そうですか、ギルマスが言うなら間違いないですね。 しかし、ムラサキさんに傷を負わせるなんて……」


 シキブの言葉は納得したみたいだが、ムラサキに傷を負わせたことは納得できていない様子だ。

 当たり前だ、傷を負わせたのはシキブなのだから……


「では、治療を始めて良いか?」


 証言者は多い方が良い。

 回復系であれば広まっても問題無いだろう。


「あぁ、頼む」


 ムラサキが早くしろという目で訴えている。


「では、」


 【治癒】と【回復】を重ね掛けすると、一瞬で傷が治った。


「終わりだ!」


 終わりを告げるが、皆固まったかの様に動かない…


「……今、何をしたのですか?」


 シキブが皆を代表したかのように質問をしてきた。


「まず【治癒】で傷口を治して【回復】でHPを復活させた」


 簡単に説明をする。


「……無職ですよね?」

「あぁ、無職だ」


「……ゴメンなさい。 ちょっと貴方達は、下のフロアに戻って貰える」


冒険者に向かいシキブの指示すると、駆け付けた冒険者たちは一礼をして出て行った。

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