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441話 ネイトス到着!

 ネイトスに近付くに連れて、ルーカスの口数が減っていく。

 飛行艇を操縦している俺としては、静かなのが逆に落ち着かない。

 ルーカスを中心に話をしていたのだと、気付かされる。


「そろそろ、着くが着陸場所は何処だ?」

「屋敷前の広場で頼む」

「分かった」


 ネイトスの上空に来て、下を見下ろすと大きな屋敷がある。

 大きな広場が見て分かる。着陸場所が、其処だとすぐに分かった。


「着陸するぞ」


 ルーカス達に着陸する事を伝えて、下降の際に怪我が無い様に注意を促す。

 着陸する場所には、数人の衛兵が俺達が着陸するのが伝わっているのか、俺達を見上げていた。

 飛行艇が徐々に高度を下げて、広場に着陸する。

 暫くして、飛行艇の扉が開き、ナイルとカルアが先に降りる。

 問題無い事を確認すると、ルーカス達が降りる。

 ルーカスが姿を現すと、衛兵達は跪く。

 いつもの見慣れた光景だ。

 ルーカスの言葉で、跪くのを止めて立ち上がる。


「御部屋で、領主様達がお待ちです」


 衛兵がルーカスに話しかけて、部屋まで案内をする。

 俺達も、ルーカス達の後ろに着いて行く。

 北の地域の為か、衛兵達は少し厚手の上着を着ていた。

 ルーカス達も服の下に、服を着込んで寒さ対策をしているだろう。


 屋敷の中に入ると、想像とは違い華やかな感じは無く、必要最低限の光があり、絵画等も無い。

 領主の趣味が出やすい屋敷内だが、質素で倹約家なのか、美術品に興味が無いのかの、どちらかだろう。

 煌びやかな装飾が無いのは、俺的には好きなので落ち着く感じがする。


「こちらで、お待ちです」


 衛兵が扉の前で止まって、ルーカス達に話しかけた。

 ルーカスが扉を叩いて、中に入る事を伝えた。


 扉を開けると、領主と婦人らしき二人と、護衛の者が立っている。


「国王様、ようこそ御出で下さいました」


 領主らしき男性が、一礼をしてルーカスに挨拶をする。

 ルーカスは一礼をして、答える。


「義兄上、突然の来訪で申し訳御座いませんでした」


 国王とはいえ、義兄にあたる為、敬語なのだろう。

 隣に居るフリーゼの視線が、俺に向けられている気がする。

 アスランを【呪詛】から開放して、ユキノの婚約者だという事は伝わっているからこそ、どんな人物かを品定めしているのだろう。

 俺は、視線を外すように敢えて、フリーゼを見ないようにした。

 フリーゼも、俺が目を合わせないようにしているのには、気が付いているに違いない。

 親族同士の話し合いには、あまり興味も無いので邪魔にならないようにカルアの横に移動をする。


「あの男が、カーディフか?」


 小声でカルアに尋ねる。


「そうよ。大剣を使う剣士ね。実力で言えばロキと同等か、それ以上ね」


 フリーゼの後ろに居る獅子族の男性が、カーディフで間違いない事を教えてくれた。

 ロキ以上の腕という事は、三獣士のロキサーニより強いという事なのだろうか?


「それで、そこの男が噂の冒険者か?」


 話が一段落したのか、フリーゼが俺に話を振ってきた。

 フリーゼと視線が合ったので、一礼をして挨拶をする。


「タクトだ。【呪詛】の関係で、こんな話し方だが許してくれ」


 俺なりの精一杯の丁寧語で話す。


「そんな小さな事は、気にせぬ。それよりも、かなり強いのだろう」


 嬉しそうに話す。


「それなりには、強いと思っている」


 俺が答えると、ルーカス達の視線が俺に集まる。


「それなりって、御主が人族最強に近いじゃろうが」


 ルーカスが、余計な一言を言う。


「ほほう、人族最強とは聞き捨てならぬの。それは、肉弾戦か。それとも魔法戦か?」

「姉上、タクトはどちらも最強です」

「ほう、そうか」


 ルーカスが話せば話すほど、フリーゼは嬉しそうな表情を浮かべる。


「我が弟ルーカスに、そこまで言わせるとは一度、手合わせを願いたいものじゃな」

「フリーゼ様。私が相手を致します」


 カーディフが、フリーゼの代わりに俺の相手をすると言う。

 そこに俺の意見は関係ないようだ。


「タクト、そういう事じゃから、カーディフと戦ってくれ」


 ルーカスは簡単に言うが、誰のせいでこうなったのか自覚がないようだ。


「国王の命令なら、断れないんだろう」


 俺は頭を掻きながら、渋々了承する。


「決まりだな。では、特訓場に移動するぞ」


 そう話すフリーゼは、本当に嬉しそうだった。

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