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43話 ギルマス登場!

 待っている時間、周囲の目線が突き刺さる。

 虚言癖のある村人が、今の俺の称号だろう。


 一〇分程待っただろうか、ようやく奥からユカリが戻って来た。


「御待たせしました。 ギルマスがお通しする様にとの事です」


 直接、ギルマスの面談か……緊張するな!

 面談て、就職した時に以来じゃないか

 階段を上がり、指定された扉をノックする。


「はい、どうぞ」


 ドア越しに女性の声がする。ギルマスって女性なのか?

 ドアを開け一礼をして顔を上げると、額より二本の角を生やした黒髪で長髪の女性と、同じく額から二本角を生やしている身長二メートル程ある男性が、ソファに腰かけていた。


「ようこそ、この冒険者ギルドのマスターを務めさせて頂いている『シキブ』と申します」

「俺は、サブマスターの『ムラサキ』だ!」


 ふたり合わせて、『ムラサキ シキブ』ってどんな偶然だよ!


「俺の名は、タクトだ」

「内容は、受付嬢のユカリより聞いております。無職でレベル三二だそうですね」

「あぁ、そうだ! まぁ、信じて貰えないだろうがな」

「……そうですか、ステータス開示は可能ですか?」

「あぁ、ステータスを見せる事に関しては問題無い。しかし、ふたりを信用していない訳では無いが、スキルに関しては今後の事を考えるとリスクが高いので、遠慮したいのが本音だ!」


 嘘を付くより、ここは正直に交渉した方が無難だろう。


「他の冒険者は、どのようにしているんだ?」

「そうですね、基本レベル九以下は書類審査のみです。レベル一〇以上のみギルマスの面談があり、実力を確認しております」

「実力が確認出来れば、レベルや職は関係無いという事か?」

「そうなります」


 少し考えるふりをして【鑑定眼】でふたりのステータスを見てみる。

 シキブは、『鬼人』で職業『格闘家』。

 レベル六一か!

 ……この容姿で武道家って、見た目的には秘書って感じだよな。

 ……ん? 夫がムラサキって夫婦なのか!

 そもそもステータスに既婚とかも分かるのか?

 気がつかなかったな! あとで自分のも確認してみるか。


 次にムラサキだが、『鬼人』で職業『戦士』。

 レベル五八。

 嫁さんの方が強いって尻に引かれているのか?


「では、レベル五八の旦那さん。じゃなかった、サブマスターのムラサキに相手して貰い、実力を計って貰うのはどうだ?」


 ふたりが驚き、そして照れている!

 あれ? なんだこの雰囲気……。


「タクトといったか、なぜ俺のレベルが分かった? それに俺達が夫婦なのはまだ誰も知らない事だ! どこでその情報を手に入れた!」


 あっ! そういう事ね!

 ちょっと揶揄うつもりが、墓穴を掘ったみたいだ。


「それは、スキルで確認した。奥様、いやギルマスの方がレベルは高いようだが、実力を計るのであれば戦士であるムラサキの方が良いかと思い提案した」

「もう、奥様だなんて……」


 シキブが顔を真っ赤にして、ムラサキをバシバシと叩いている。

 叩かれたムラサキも照れて下を向いている。

 なんだよこの夫婦。

 新婚カップルでもあるまいし……もしかして、新婚?


「あの~、いいか?」


 ふたりとも我に返り、真顔になる。


「申し訳御座いません。お見苦しい所を御見せ致しました」

「ふたりは、新婚か?」


 とりあえず、面白そうなのでもう一回会話にぶち込んでみた。


「やだ~、新婚だなんて!」


 嬉しそうにさっき以上にバシバシとムラサキを叩いている。

 若干叩かれている所が赤く腫れている気もするが……。

 痛みを我慢していると思われるムラサキが、


「その通りだ、先日結婚した。ギルドの連中には近々話すつもりだ」


 あ~、そういう事ね。

 なんか人の幸せは面白くない……。


「ムラサキも、こんな綺麗なギルマスを独り占めにするなんてやるな! この色男!」


 笑いながらお世辞を言う。


「やだ~綺麗だなんて!」


 これでもかという勢いでムラサキをバシバシと叩いている。

 二の腕がだんだんと赤紫になり大きく腫れてきている。

 ムラサキは、汗をかきながら苦笑いしている。

 これ以上やるとムラサキは再起不能になるんじゃないか!


 揶揄うのは止めよう……。

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