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434話 冥界のオーカス!

 エルドラード王国に戻ると、ユキノとの事で色々と決める事があると、打ち合わせをする。

 とりあえず、ルーカスは姉で、ネトレス領のピッツバーグ家に嫁いだフリーゼに会い行く事を優先にして欲しいと、ルーカスが頼んできた。


「それは別にいいが、そんなに外出ばかりして、国王は仕事が溜まっていないのか?」

「これも、仕事だ」


 大臣を見ると、大きな溜息をついていた。


「とりあえず、ユキノとの事はその後に発表するつもりだから、最優先は姉上だと考えてくれ」

「分かったが、早く連絡しないと王都に来るんじゃないのか?」

「おぉ、そうだ。イースよ、姉上に連絡して明日にでも行く事を伝えてくれ」

「はい。明日に着くという事で良いですか?」

「勿論だ。飛行艇で登場して、驚かせてやる」


 ルーカスは、思い付きで行動しているのかと疑いたくなる。


「少し、席を外していいか? 明日の朝には、城に戻る」

「別に良いが、用事でもあったのか?」

「あぁ、ちょっとな」


 ユキノも一緒に来るつもりだったが断る。

 俺は『蓬莱の樹海』へ、向かう。


 ガルプツーを、次に会った際に倒す事が目的だが、どうしてもガルプツーと一緒にいたダークエルフが殺された事が引っ掛かっていた。

 人知れずに森の奥で暮らしていたのに、人族に見つかった事。

 そして、目的も無く殺害された事。

 なにより、ガルプツーが不在の時という事だ。


 『蓬莱の樹海』に着くとオリヴィアを呼ぶ。

 オリヴィアは用件を言わなくても、俺の知りたい事が分かっていたので、ダークエルフが殺害された場所まで案内をしてくれた。

 ……やはり、森に迷ったというのは不自然だ。

 意図的に、この場所まで来てダークエルフを殺害したと考えるのが普通だろう。


 俺は、【全知全能】で、この事件の事を質問する。

 質問内容が曖昧な為、断片的な情報しか聞けなかった。

 ダークエルフの名は『セレナ』。

 セレナを襲った人族は、セレナを殺害する事で、多額の報酬を貰う約束だったようだ。

 しかし、肝心の雇主が分からない。


 次に、ガルプツーが逃げられないようにする為に、俺の【結界】が有効かを尋ねる。

 答えは「可能」。

 俺は、シロとクロを呼び、今度ガルプツーに会った際は倒す事を伝える。

 クロにとっては、同種族で仲間でもある為、俺の言葉は辛いだろうと感じていた。


「仕方ありません。ガルプツーは、それ程の事をしている訳ですから……」


 獣型で現れたのは、俺に表情を読まれないようにする為だったのかと思う程、辛そうに話をする。

 俺はガルプツー対策を説明する。

 俺が【結界】を張り、その空間からの移動を全て禁じる。

 空間内の影に潜った際は、クロが対応して貰い、表に居る時は俺とシロで対応する。

 本当であれば、詳しい事を聞き出したいと思うが、話すくらいなら死を選ぶと思うので、尋問は出来ないと思っている。



 モクレンから連絡が入る。

 死後の世界、つまり冥界の神であるオーカスとの件だろう。

 【神の導き(改)】が発動したのか、景色が変わり目の前にモクレンが居た。


「ようこそ、タクト」


 モクレンは俺に挨拶をすると、この空間は仮想空間で俺の居る世界では、時間が停止していると教えてくれた。


「紹介するわ。彼がオーカスよ」


 黒いローブに身を包んでいるが、見た目的には普通の人族だ。


「其方がタクトか」

「はい。先日は、死後の世界でお世話になりました」

「報告は受けている」


 オーカスは怒ってはおらず、普通に話しかけてくれた。

 俺の事情は、モクレンからも聞いている為、余計な自己紹介は必要なかった。


「其方は、冥界から戻って不調は無いのか?」

「はい、特に自覚症状はありません」

「そうか。それは、良かった」


 オーカスは、俺の体調を気に掛けてくれていた。

 その後、俺への処遇について話始める。

 基本、人族が勝手に生き返るのは、世界の秩序を著しく乱す行為になる。

 【蘇生】のスキルに制限は掛けれないので、俺が守るしかない。

 オーカスは、あと三人と制限をしてくる。

 生き返る代償は必要だが、それは言う事は出来ないらしい。

 この人数が多いか少ないかは分からないし、代償も分からないが、俺としては条件を呑む以外無い。

 冥界への侵入については、自分の胸に手を当てて【蘇生】を発動すれば、死後の世界に行く事は出来るそうだ。

 その際に、俺への罰則等は無い。

 現世と冥界を自由に行き来出来る唯一の人族という事になる。


「一応、其方は客人という事になるので、担当者を付けさせてもらう」


 オーカスの言う事はもっともだ。

 俺が冥界で勝手に動き回れば、冥界の秩序が乱れる事も考えられる。


「希望の者が居れば、その者を担当にするぞ」

「……確認ですが、その者は現世に来る事は可能なのですか?」

「それは、無理だ」


 当たり前の事だが、一応確認をする。

 この世界に来て、亡くなった知り合いと言われても、直に思い出せない。


「……冥界に知り合いは居ませんので、人選はお任せします」

「承知した」

「その、亡くなった人達は、永遠に冥界に居るのですか?」

「いいや、冥界に留まる者はごく少数だ。殆どは新たに命を授かり、別の人生を歩む事になる」

「私が冥界に行けば、会いたいと思う者が居れば会う事は可能ですか?」

「勿論可能だが、会いたい者でも居るのか?」

「ダークエルフのセレナと言う娘なんですが、会う事は可能ですかね?」

「少し待っておれ」


 俺は駄目元で、オーカスに頼む。

 ガルプツーと一緒に居たセレナ。何となくだが、会えるのであれば会いたいと思っていた。


「まだ、冥界に魂が残っておる。会う事は可能だ」

「有難う御座います。後で冥界に伺いますので、宜しく御願い致します」

「分かった」


 オーカスの条件を殆ど受け入れた事で、穏便に話が進んだ。

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