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404話 人間族!

「タクト、暇じゃ」


 外の景色に飽きたのか、ルーカスが操縦席の側まで、やって来た。

 丁度良いので、俺はルーカス達に聞きたい事があったので質問をしてみる。


「なんで、スタリオンはユキノを嫁に欲しがっていたんだ?」

「それは、ユキノが美人だからだろう」


 ルーカスは即答する。

 しかし、俺が聞きたいのはそういう事ではなかった。

 嫁にすると言う事は、いずれ王子であるスタリオンの場合、いずれは国王となり跡継ぎを生む必要がある。

 その場合、同族同士でないと、子供は授からない筈だ。

 ユキノを嫁にした場合、側室ありきと言う事なのか、それとも側室として欲しがっているのかを再度、聞いてみた。


「……タクト、お主は本当に常識が無いの」


 呆れた口調だ。

 後ろで、俺の話を聞いていたカルアの笑い声が聞こえたので、会話は全て聞こえていたようだ。

 ルーカスの代わりに、ターセルが説明をしてくれた。

 人間族は、人族いや魔人族の中で唯一、他の種族との子供が生める種族だそうだ。

 生まれてくる子供は、性行為をした種族もしくは、人間族のどちらかになる。

 魔人族の場合は、半魔人が生まれる。

 この事が、人間族最大のメリットらしく、この世界で戦闘力や魔法力も無いのに、それなりの地位を築けている理由になる。

 確かに、説明を受けて思い出したが、ジーク領主のリロイは、人間族とインキュバス族との半魔人だ。

 ずる賢さだけでは無いのだと知る。


「種族によっては、血が薄くなるからと、人間族との性行為を禁止する種族も、未だに多いのも事実です」


 ターセルが、補足説明をしてくれた。

 猿人族のテリオスが、以前に他種族同士だと子供が出来ないらしく、子孫を残すのであれば、どうしても同じ種族同士になると言っていたのを思い出す。


「成程な、勉強になった」

「いえいえ、タクト殿は難しい事は良く御存知なのですが、一般常識には疎いようですね」


 ターセルは笑顔で、酷い事を言うが、それが間違いない事は俺自身が良く分かっていた。

 難しい事は常に【全知全能】に問い合わせをして、少し気になっている事等は【全知全能】に聞いていないから、こういった印象を与えてしまう。


「あと、人間族との子作りでの最大の利点は『先祖返り』と『特殊な力』もある」


 『先祖返り』とは、両親の先祖で種族の中でも、特殊な力を持っていた先祖の力を稀に引き継いで生まれる赤ん坊の事を言う。

 血筋に拘るのは『先祖返り』で、我が子が特殊な力を持っていれば、親としては権力争いがあった場合、かなり有利になる。

 そもそも、『特殊な力』というのも、ユニークスキルの中でも強力なスキルという事らしく、それを生まれた段階から持っているのは、かなりのメリットになるのは十分に理解出来る。

 親も、大事に扱われる存在になるだろう。


 ターセルの説明だと、人間族は利用されやすい種族だという印象を受ける。

 水精霊(ウンディーネ)のミズチが、人間族を劣等種だといった理由は、抜き出た能力が無い事が大きいのだろう。

 子供を産む為だけに、利用される女性が居る事も多いと、ターセルは悲しそうな口調で付け加えた。



「海が見えたぞ」


 俺は、後ろにいるルーカス達に知らせると皆、窓の方を向いていた。


「ユキノは、海を見たことがあるのか?」

「はい、何度か。しかし、空の上から見る海は、とても素晴らしいですね」

「そうだな」


 嬉しそうな顔のユキノを見ていると、俺も自然と笑みがこぼれる。

 【全知全能】にオーフェン帝国の帝都までの案内を定期的に聞いているので、方向間違いは無い筈だ。


 海といえば、クラーケンの討伐が気になる。

 オーフェン帝国で、冒険者登録するつもりであったが、よくよく考えればルーカスから『王家の紋章』を貰っている為、普通の冒険者のように簡単に移動は難しいと感じる。

 スタリオンを倒してから、その辺はルーカスか、同じような立場の三獣士か護衛三人衆に聞いてみようと思う。


 既に四葉商会の従業員や、四葉孤児院それに、アラクネ族等への土産をどうしようかと考えている。

 旅行という訳ではないが、やはり興奮しているのが自分でも分かる。

 ルーカスの姉であるフリーゼが居る『ネイトス』を訪れる際も、楽しみだ。


 遠くに城のような建物が見えてきた。

 【全知全能】に確認をすると、方向と距離から推測してもオーフェン帝国の帝都に間違いなさそうだ。


「もう着くぞ」


 俺は、そう知らせるとルーカス達は、窓からオーフェン帝国の領土を見ていた。

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