401話 トグルの実力!
脳筋と言われて、怒るトグルを、落ち着かせて引き続き、魔獣化した動物を討伐する。
魔鳥に関しては、既に飛び去っているのも居るかもしれないが、この付近に生息している魔鳥に関しては、俺が全て討伐した。
他の動物達も、アスランやトグル達に任せてみるが、トグルの討伐方法を見ながら、徐々にアスランの戦闘も良くなっていった。
【魔力探知地図】で調べてみるが、本来の魔獣も水を飲んだ影響なのか凶暴になっていた気がした。
奥に黄色い印の周りに青い印が幾つかあるので、気になりその場所まで移動をする。
梟の顔で熊の身体の魔獣が、魔獣化した『魔兎』を食べていた。
足元には、白骨化した魔物らしき物体が、大量に散らかっていた。
「……オウルベアか!」
「トグル、知っているのか?」
「あぁ、首が一周近く回転するので、死角が無い。それに、凶暴で厄介な魔獣だ」
「単独討伐なら、ランクBくらいか?」
「……いや、ランクAだ。そもそも、こんな昼間に行動するような魔獣ではないぞ」
「そうなのか。まぁ、魔素の影響もあるんだろう」
【魔力探知地図】で調べると、青色の印は無く黄色印が二つになっていた。
「アスラン、頭を下げろ!」
俺が叫ぶと、アスランは俺の指示通りに頭を下げる。
俺は、そこに【風刃】を撃ち込む。
樹の影から、叫び声が聞こえた。
「どうやら、挟まれたみたいだな」
「トグル、あそこで食事していた、オウルベアを倒せるか?」
「お前はどう思う?」
「トグルなら余裕だろう」
「その言葉、信用するからな」
「頼んだぞ!」
俺だけでも、二体倒す事は可能だがトグルが居るのであれば、成長も含めてトグルに任せるのが良いと判断をする。
シロには、アスランとユキノの警護を頼む。
「アスランは、トグルの戦い方を良くみておけよ」
「はい!」
俺は樹に隠れているオウルベアの討伐にかかる。
実験したい魔法もあったので、丁度良かった。
【魔力探知地図】で、オウルベアの居場所を把握しているので、【雷球】に【隠蔽】を重ね掛けして、特定の場所に放置する。
俺は、オウルベアをその場所まで誘う。
何も知らないオウルベアは、俺が逃げていると思っているのか追ってくる。
罠を仕掛けた場所まで来ると、オウルベアは【雷球】に触れ、感電する。
威力を抑えておいたので、即死はしていない。
ゆっくりと立ち上がると俺に向かって、右手の爪で切りかかろうとする。
それより先に、オウルベアの懐に潜り込み、腹にパンチを入れる。
俺の拳は、オウルベアの背中を突き抜けた。
オウルベアは口から大量の血を吐き、息絶えた。
【解体】と【浄化】を施してから、アスラン達の所に戻る。
「シロ、どんな感じだ?」
「はい、トグルさんが優勢です。何かをしようと、しているみたいなのですが……」
トグルの戦い方を見てみるが、確かに変だ。
連撃出来るのに、単発で止めたりとシロの言うとおり、何かを試そうとしているみたいだ。
暫く見ていたが何をしたいのかが、全く分からなかった。
結局、殆ど無傷でオウルベアを倒した。
「トグル、何をしようとしたんだ?」
「いや、アスラン王子のように、少しずつ攻撃してみようと思っただけだ。全然、上手くいかなかったがな」
「その割には、あっさり倒したよな?」
「そうだな、俺の力と言うよりも、ムラマサのお陰だろう」
斬り付ける度に、オウルベアから『HP』を奪っていた事を言っているのだろう。
「やはり、俺にはアスラン王子のような戦い方は出来ませんでした」
アスランに向かい、苦笑いをしていた。
「いえ、十分でした。トグル殿の戦いを見て、やはり戦闘方法にも得手不得手があるのを痛感致しました」
「まぁ、戦い方は色々あるからな。参考に出来る所だけ、自分に取り入れればいいだろう」
「お前の戦い方は、まるっきり参考にならないがな」
「あぁ、だから最初から言っているだろう」
トグルは、嫌味を言ったつもりだろうが、俺が言葉を返すと、それ以上は何も言ってこなかった。
しかし、冗談抜きでトグルの実力は、かなり上がっている。
ムラマサとの相性もあるのだろう。
「タクト、悪いが解体と収納頼めるか」
「分かった」
そう言うと、俺はトグルが倒したオウルベアを【解体】して、【アイテムボックス】に仕舞う。
「ん? あれはなんだ」
岩の陰に卵らしきものが二つ見える。
「多分、オウルベアの卵だろう」
「食べれるのか?」
「あぁ、高級食材の一つだな」
「よし、貰っておこう」
俺は、オウルベアの卵も【アイテムボックス】に仕舞った。
「そろそろ、村に戻るぞ!」
そう言い、【転移】を使ってエドゥアルドの村へと移動する。




