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34話 神祠建設!

「みんな、スマン!」


 教会を造る為に集まった村人達を前に、俺は頭を下げた。

 何事かと思う村人に、教会と言っても、街などに建っている様な大がかりな建物でなく、小さい雨風を避けられる程度で、村に余裕が出来たら、大きくしてくれればよい事を伝える。

 そしてこれからは、俺の事を呼び捨てもしくは、さん付けで呼ぶ事。

 様は禁止。

 村長がそれは出来ないというので、話し合いの結果、『殿』も良いことにした。


 とりあえずは納得して貰い、建設に取り掛かるとする。

 建設場所に、皆で一礼をして作業に取り掛かった。


「ドンドン、パフパフ!なのだ!」

「ドンドン、パフパフ!」


 アルとネロ、そして村の子供達が合唱している。

 意味不明な言葉に、たまらず村長が、


「アルシオーネ様、ネロ様。 その『ドンドン、パフパフ!』というのは何ですか?」

「おう、これはタクトから教えて貰った、気合を入れる言葉じゃ!」


 止めてくれ、恥ずかしい

 思い付きで言った言葉を、そんなに広めないでくれ


「なるほど、そうでしたか! 皆の者、私たちも声を掛けるぞ!」

「ドンドン、パフパフ!」

「ドンドン、パフパフ!」


 村全体で、『ドンドン、パフパフ!』の大合唱となった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 簡素だが、満足する神祠が完成した。

 この世界での初めての使徒としての仕事だ。

 ロイドが『クラツク』という男性を連れてきた。


 木細工が得意で神祠に飾った木像を見て、えらく感激して出来れば自分も彫りたいので許可が欲しいと懇願してきたのだ。


 彫るのは問題無いが、幾つか条件を付けた。

 ・納得の出来た物が完成したら、俺に連絡する事。(連絡は村長経由)

 ・失敗した作品は責任をもって、必ず壊す事。

 ・下部に、自分の名前を彫る事。

 ・勝手に売らない事。


「はい。ありがとうございます。 必ず守ります」

「まずは小さい物から彫って、徐々に大きい物を彫っていった方がいいかもな」


 皆に明日の朝に、この村を出発する事を伝える。

 もう少し滞在を希望されたが断った。


 そのかわり、次に来る時を楽しみにしているので、俺を驚かしてくれと言うと村民は「期待していて下さい」 と力強く答えてくれた。


 助けた女性で今後を悩んでいた、モモはこの村にとりあえず残ると伝えに来た。

 マリーは、旅に同行させて欲しいと改めて願い出た。

 この先の危険具合が分からない中で、一緒に旅をするのはリスクが高い。

 かと言って、アル達に【転移】で御願いするのもいいが……


「マリー、悪いがもう少し村に残ってくれ」


 俺が、ジークに着いてから【転移】を使えば危険なく移動出来る。

 マリーには、道中の危険度が分からない為、同行はさせられない事と、ジークに着いたら出来るだけ早く戻る事を伝えて、了解してもらった。


「タクト、ちょっといい?」


 フランが話しかけてきた。

 皆、必死で『様』呼びを止めようとしている。


「私もジークに連れてってくれない?」


 フランは、昔からやりたい事があったそうで、これを機に村を出たいと言ってきた。

 フランの両親は、せっかく無事に戻って来た娘がまた居なくなると嘆いている。


「分かった、約束する」


 そういえば、小学生ふたりはどうするんだ?


「アルとネロは、家に帰るのか?」


 流石に魔王ふたりの面倒を見るのは厳しいし、ジークは人族の都市だ。

 魔族は敬遠されるだろう。


「そうじゃな、とりあえずグランニールの所で遊ぶかの」

「私は、家に帰るの~」


 とりあえず、ふたりとも一旦はお別れだ。


「面白い事をする時は、必ず呼ぶのじゃ」

「だぞ~」

「分かった、必ず呼ぶ」

「それでこそ、師匠じゃ!」

「師匠~!」


 頼むから師匠は止めてくれ!

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