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340話 王族の扉!

 転移扉に使う扉が出来たので、【魔法付与】で【転移】を施す為に、マリーを連れて朝から王都に向かう。

 一旦、ルンデンブルクによりダウザー達家族と合流する。


「朝から悪いな」


 ダウザーは機嫌よさそうに話掛けてくるが、横に居た大臣は困った顔をしていた。


「仕事溜まっているんだろう。大臣に迷惑かけるなよ」

「……そんなことないぞ!」

「まぁ、大臣に聞いて仕事が溜まっているなら、誘えなくなるから仕事はきちんとするように!」

「分かった」


 ダウザーに説教をすると、大臣は嬉しそうにしていた。

 ダウザーの性格からして、言っても聞かないのだろう。

 最初に会った印象では、貫禄のある領主だったのにと思いながら、大臣に同情した。

 ミラは、アラクネ製のドレスを着ての初外出になるなのか上機嫌だ。

 ダウザー達にも、マリーが四葉商会の副代表に就任して、リベラが『ブライダル・リーフ』の店主に就任した事を伝える。


「これからは、マリーが窓口になるから無理難題言うなよ」

「俺がいつ無理な事を言った」

「……いつもだろう」


 自覚が無いとは怖い。俺にも言える事だが……


「タクト様、これを」


 大臣が、数枚の紙を俺に渡してきた。


「これは?」

「はい、先日ダウザー様より、四葉商会様がルンデンブルク領に視察に来ると伺いまして、宿や食事場所等をまとめております」

「そうか、急に頼んで悪かったな。他の仕事に影響は無かったか?」

「はい大丈夫です。ダウザー様の承認が滞ってますので、仕事が進みませんから」


 ふたりでダウザーを見ると、申し訳なさそうにしていた。


「あぁ、それに視察じゃないから、ただの旅行だから気にしなくていいぞ」

「そうなのですか? 四葉商会様の視察だからダウザー様は、同行されると仰っておりました」

「そうか、同行は必要無いから、仕事をさせても問題無いぞ」

「有難う御座います」


 会話を聞いていたダウザーは、落ち込んでいた。

 そんなに、仕事をしたくないのか?

 領主の業務内容が分からないが、ダウザーの性格的に机に向かうのが苦手なだけだとも思う。


「マリー! この中から、行きたい所を決めておいてくれ」


 大臣から預かった紙をマリーに渡す。

 詳しい内容は、大臣から聞いてもらう事にしたが、ミラやミクルが「その店の○○は美味しい」だの「そこの店は絶対に行った方が良い」等と、アドバイスをしていた。


「どうして、ミラやミクルが街の店の事を、そんなに詳しいんだ?」

「あぁ、新しい店が出来ると、必ず取り寄せているからな」

「暇なのか?」

「街の情勢を知る一環だ。常に街の者達と同じ感覚でいたいからな」


 言っている事は素晴らしいと思うが、ダウザーが言うと遊んでいるように感じるのは何故だろうか?

 ミラとミクルの話が止まりそうに無いので、「そろそろ出発する」と伝える。

 終わるかと思ったが、俺の近くまで来ても紙を見ながら色々と話を続けている。

 仕方ないので、このまま王都に【転移】する。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 目の前には、豪華な扉が幾つも並んでいた。

 俺の想像していた物と、全然違う。


「なんで、こんなに装飾品がついているんだ?」


 ルーカスの説明だと、国王に献上する扉なので、業者が気合を入れて製作をしたそうだ。

 確かに、国王に貧相な扉を献上したら、死罪にもなりかねない。

 そこまで考えていなかった俺のミスだ。

 かといって、こんな豪華な扉を家に取り付けたら気になって仕方が無い。


「提案ですが、宜しいですか?」


 困った顔をしていた俺に、ターセルが話掛ける。

 王都、ルンデンブルク領、俺の家に転移扉を一ヶ所設けて、各場所に行ける部屋へ一旦転移して、そこから目的地の転移扉で転移してはどうかという事だった。

 確かに、それなら幾つも転移扉を設置しなくてよい。


「良い案だな。それでいいが、部屋は用意出来るのか?」

「城の使っていない部屋を使えばよい」


 魔族を行き来する転移扉は俺達しか使わないから、関係無い。

 あくまで人族の居住している場所への対応だけだ。

 しかし、ターセルの案は魔族の場合でも使わせてもらう事にする。


 まず、魔法研究所用を二組製作する。

 確認の為、開け閉めしたり【転移】が出来るかを確認したが、問題無い。

 こちらは使用者制限が無いので、【アイテムボックス】に仕舞い、後で王都魔法研究所へ届ける事にする。

 続けて、王都とルンデンブルク領から転移部屋への扉を一組ずつ製作する。

 こちらは使用制限が必要なので、カルアに【結界】を施して貰うが、使用制限が上手く作動しない。

 カルアも不思議だと思いながらも、何度も【結界】を施すがいずれも失敗する。

 理由が良く分からないので【全知全能】に確認すると、カルアのレベルに比べて俺のレベルの方が高い為、無効化されるそうだ。

 仕方ないので、転移扉を特定の者だけに使えるようにする方法を聞いてみると、方法を教えてくれた。

 【魔法付与】で【結界】を施した物(通行証)を持つ者のみを使用可能にする事が出来るそうだ。

 第三者への利用も考えられるので、その物(通行証)には【道具契約】で本人しか使えないようにする。

 いずれは、【道具契約】をしなくても使えるようにしたいが、当分はこの運用にする。

 しかし、俺が居なくなったら転移扉の製作は出来なくなると思うが、先の事を考えても仕方ないと口にするのを止める。


 カルアには、レベル差の関係で【結界】が無効化されることを伝えると、落ち込んでいた。

 【結界】のユニークスキルは、自分である程度制限が出来たり、多種多様に使える。

 だからこそ、カルアも自信があったのだろう。


 通行証になる物は、以前に貰った紋章を施したボタンのような物にする。

 これなら必要な時に出し入れしても問題無い大きさだ。

 問題は、四葉商会の従業員達の通行証くらいだろう。

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