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315話 依頼!

 【結界】を解き、ふたりを褒める。

 今回、ふたりの攻撃を確認した理由を簡単に説明する。

 ヘレンからランクS以上の冒険者への説明を受けた内容を伝える。

 まず、国賊の討伐だ。

 これに関しては、早急に対応するつもりではいたが、幾つかの問題があった。

 【全知全能】に行方が分からないピゴールと、デュロックについて聞いてみるが、情報が少ない事と質問が的確でないのか、答えが返ってこなかった。

 ランドレスの場所は特定出来ているが、人質や奴隷等がいた場合の対応が難しい。

 それに、仲間の数も不明確な為、簡単に討伐に行くのは危険だ。


「クロ、悪いが暫くの間、俺が呼ばない限りランドレスとその仲間の情報収集してくれないか?」

「承知致しました」

「一応言っておくが、絶対に無理はするなよ」


 クロは影の中であれば、移動が可能なので情報収集等には向いている。

 クロが危なくなる状況は想像しがたいが、万が一があるので忠告はしておく。


「では、早速」


 止める間もなく、影の中に消えた。

 まだ、説明の途中だったのだが……

 戻ってきたら、残りの国賊ふたりの調査を頼む事にする。


「御主人様、私は何を?」

「シロには、別の事を頼みたいと思う」


 冒険者の育成だが、俺自身が直接指導したりするのは苦手だ。

 以前に、ムラサキが新人冒険者の育成話をした時から、考えている事はあった。

 シロに紙を渡す。


「これは?」

「魔獣の名前と、生息地域だ」


 以前から、【全知全能】に魔獣の名前と生息地、それに単独討伐の平均レベルと特徴等を聞いて、五十音順に書き続けていた。

 俺が討伐して、スキル値も獲得する目的もあるが、冒険者用の魔獣図鑑を作りたいと思っていた。

 冒険者達は、討伐の基準が分かる事により、討伐失敗や死亡する確率が減らせられる。

 魔獣図鑑をレベル別で四巻程に分けて販売したい。

 出来れば、ランクFに合格して新人冒険者になった者には、教本として配って貰いたいとも思っている。

 まぁ、そうするとそれ以前の者とで不公平な為、不満を口にする者も居るだろう。


「シロには、そこに書いてある魔獣たちを撮影してきて欲しい」

「撮影ですか?」

「あぁ、全体の姿と出来れば顔付近の写真も欲しいな」


 シロは、俺のレベルが上がった事により、シロひとりであれば【転移】が可能になっている。

 俺より早くこの世界に来ているし、エリーヌの指示かどうか分からないが、色々な所を旅しているので、クロ同様に安心して任せられる。


「分かりました。【転写】はどうしたら良いでしょうか?」


 そういえば、その事を忘れていた。申し訳ないが、フランに頼るしかない。


「定期的に戻って来て、フランに頼んでくれ」

「分かりました。毎日戻るつもりでいたので、フランさんに御主人様からの頼みと言う事を伝えておきます」

「悪いが頼む。それと名前と魔獣が一致しない場合は、適当に撮ってくれ。あとで確認する」

「分かりました」


 シロにクロも、俺が全て言わなくても動いてくれるので、助かる。

 久しぶりに三人で顔を合わせたのに、俺の我儘な依頼で又、別行動になってしまった事には申し訳ないと思う。


 とりあえず、俺は『転移扉』用の扉が出来たと連絡があるまでは、『蓬莱の樹海』にある『第三柱魔王ロッソ』に会いに行く事にする。

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