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249話 下調べ!

 アスラン王子の【呪詛】を解除した俺は、そのままオークロードがいる『常世の渓谷』まで全力で走った。


 シキブ達に言うと反対するのは分かっているので、国王に呼ばれた事を逆手に取り「遅くなる」とシキブ達に伝えるよう衛兵に伝言を残して隠蔽工作をした。


 ソディックの話では、オークロードがいる場所まで、馬でも最低三日は掛かると言われた。

 しかし、一部のオークが少しづつではあるが移動していると、最近報告があった。

 その為、あまり遅くなると近くの村が犠牲になる恐れがある。

 今迄俺が、のんびりと生活していたせいで、近くの村が犠牲になるのは絶対に避けたい。


 【魔力探知地図】で位置を確認しながら、ひたすらショートカットをして進む。

 崖を昇り、川を飛び越して行く。


 不謹慎だが知らない場所に来るだけで、楽しい気分になる。

 ひとりで走っているが、シロやクロが傍にいてくれるのは感じているので、寂しいという感情は無い。


 シロとクロという仲間の存在は、俺の中では既に大事な存在だ。

 多分、仲間と言うよりは家族に近い存在になっているのだと思う。

 実際に、ふたりの助けが無かったら、文句を言いながらも今のような楽しく生活をおくれてはいなかっただろう。


 周りを見下ろせる高い崖の上で、走るのを止める。

【魔力探知地図】で、大きな魔力のある所を再度確認をすると、あと数キロ行った所に大きな範囲の魔力がある。

 目の前の渓谷に、オークの集団が居るのは間違いないだろう。


 【魔力探知地図】は、俺が訪れた場所と、その周囲一〇キロ程は地図上の色が変わり、訪れていない場所は灰色になっており、俺が【転移】で移動出来ない場所が、一目で分かる。

 今迄、【世界地図】も同様だったが、【魔力探知地図】は高低差が分かるように立体で表示する事も出来る。

 これは、機能を切り換える事で平面での使用も可能な為、とても便利だ。

 それに【危険探知】の機能も格段に上がっていて、魔力を感じている場所は丸印で表示される。

 又、魔力の強さに応じて色分けされている。 危険度は『青』から『黄』、そして『赤』に変わっていくほど個々の魔力が高い事になる。


 流石は、中級神であるモクレンが与えてくれたスキルだけあって、使い勝手が良い。

 神が違うだけで、ここまで性能に差が出るとは思っていなかった。


 オークロードが居るであろう場所には、赤に近い黄の丸があり、その周りに青が群がっている。

 そこより距離を置いて囲むように、青が多数表示されている。 多分、オークに住処を奪われた魔物達だろう。


 近くに、煙が見えるので、誰かが火を起こしたようだ。

 煙の傍まで行くと、数人の騎士達がいた。

 彼らがオーク達の動向を監視しているのだろう。

 早めにオークの移動に気が付けば、逃げれる距離を保っている。

 明日は、一度この場所に寄って最新の情報を入手してから、オークロードの所へ向かうとしよう。


 騎士達が監視をしている場所よりも、オーク達が居る場所へ近づきながら、明日の戦闘に適しているような場所を探す。


 景色は大きく変わることなく岩肌の箇所と、草木が生えている場所がある。

 道も細く、大人数での戦闘には向いていない地形だ。


 オーク達の居る場所でなく対岸からの遠距離攻撃であれば、数もかなり減らせるだろう。

 しかし、そこまで行く道が無い。

 俺なら可能であるが、パーティーの仲間と離れる事になるので止める事にする。


 そこで、まずは退路を塞いでから、攻撃する方向を一方に集中させた方が戦いやすい気がする。


 もう少し近くで確認したい為、【隠密】で辺りの地形を調べる。

 すると、途中に小さな林らしき場所へ続く道を発見した。

 オーク達を追い込むなら、この場所だろう。

 その後、オーク達の住処にしている洞窟を見つける。

 あいさつ代わりに攻撃をしようかとも思ったが、監視している騎士達に危害が加わる危険もあるので、止めておく事にした。


 明日は、岩場を崩落させて退路を断ち、入口から出てくる奴を魔法である程度、倒していくのが良いだろう。

 オークロードが出て来たら、少しづつ下がり林まで追い込む作戦で、皆に伝える事にする。


 とりあえず、調査はここまで戻ろうとすると、シキブから連絡が入る。

 もしかして、もうバレたのか?


 シキブからからは、国王達が俺を探しているのでスグに城まで来るようにとの事だった。

 今、調査している事があるので、もう少ししたら戻ることを伝える。


 本当なら、オークロード討伐後にアスランに【呪詛】を掛けた奴を調べる予定だったが仕方が無い。


 【全知全能】に『エルドラード王国』の第一王子アスランに【呪詛】を掛けたクニックスについて聞く。

 クニックスは、元貴族でライテックにより不正を暴かれ、爵位と財産を没収され、国を追放された。

 しかし、クニックスはライテックの指示で動いていただけで、しかもライテックより追放された原因はアスランにあると吹き込まれていた。


 完全な逆恨みだな。


 続けて、クニックスの生死と居場所についても聞く。

 クニックスは人体実験の素材とされた為、肉体の一部はあるが精神は崩壊していて、恨みの感情のみ残っているが生きてはいる。

 居場所は、『魔法都市:ルンデンブルク』近くにある『ソルデ村』だ。


 ダウザーの領土近くの村だ。

 アスランの事も含めて、ダウザーに連絡を取る事にした。


「何かあったのか?」

「実はな……」


 アスランとクニックスの事を説明すると「スグに王都に行くので今から迎えに来い!」と言ってきた。

 俺はタクシーじゃないんだぞ! と思いながらも、ダウザーを迎えに行く事にした。

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