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229話 同族の行方!

「主、少しだけ御話宜しいでしょうか?」


 クロが、俺だけに分かるように話しかけてきた。


「どうした? 魔物でも出たか?」

「いえ、個人的にオリヴィア様にお尋ねしたい事がありまして、出来ればお許しを頂きたいと」


 クロが、オリヴィアに?


「オリヴィアとふたりの方が、いいのか?」

「いえ、主とシロには一緒に聞いて頂きたいかと思います」

「分かった」


 シキブ達には、オリヴィアに用事があると伝える。


「これ以上、面倒な事は止めてよね」


 シキブが俺に文句を言ってきたが、「大丈夫だ」と返して、森の奥に入っていく。


 念の為、人が居無さそうな場所まで【転移】して、オリヴィアを呼ぶ。


「あら、なんだったかしら?」


 珍しく不思議そうに現れた。

 クロとシロを呼び出す。

 クロは右肩に止まり、シロは左腕で包み込んだ。


「私、タクト様の従者でクロと申します。 オリヴィア様にお聞きしたい事があり、タクト様に御願い致しました」

「なにかしら?」


 クロが、草木に触れていないから思考が読めないという事なのだろう。


「この『蓬莱の樹海』には、私と同族のパーガトリークロウとダークエルフが暮らしているかと思うのですが、出来れば場所を教えて頂けませんでしょうか?」


 クロの同族が、この森に居たのか。

 久しぶりに再会したいという訳だな。


「今はこの森に居ませんね……」


 オリヴィアの話だと、確かにクロの言う通りパーガトリークロウとダークエルフの娘がこの森で暮らしていた事はあったそうだ。

 居住期間にすると、一〇〇年程らしい。

 仲が良く、森の動物達共仲良く暮らしていたが、この森を訪れた人族に見つかり襲われそうになる。

 ダークエルフの娘は、必死で森の中を逃げ回っていたが、最後は捕まり乱暴された後に、殺害された。

 その時、パーガトリークロウは『蓬莱の樹海』とは別の場所に居た為、ダークエルフの娘から助けの連絡を受けて急いで戻って来たが、既に遅く殺害された後だった。

 パーガトリークロウは、まだその場に居た人族を皆殺しにして、そのままダークエルフの娘の亡骸と一緒に、この森を去ったそうだ。


 ……パーガトリークロウと連絡を取った?

 『ネーム付』って事か?

 いや、それだと神の前任者であるガルプの眷属としての仕事が出来ない筈だ……

 ユニークスキルか何かって事か?


「……そうでしたか。 教えて頂き感謝致します」


 クロはとても残念そうだ。


「オリヴィア、他に何か情報は無いのか?」

「そうですね、襲った人族達は報酬がどうとか言っていました。 それと、パーガトリークロウが森を立ち去る時、人族への激しい憎悪を感じましたね」


 ……それは、当たり前だろう。

 一緒に暮らしていた者を殺されているのだから……


「それからは、一度もこの森には来ていないのか?」

「はい」


 クロも久しぶりに仲間に会いたかっただろうに……


「主、ありがとうございます。 もしかしたら、会えると思っただけですので、気になさらずに」

「いつか、会えるといいな」

「はい」


 俺には、これ位しか言葉が見つからなかった。

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