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205話 気持ちの妥協点!

 エイジン達を送り出した後に、リビングに戻る。

 なにやら騒がしい。

 原因は、マリー達女性陣がミラと押し問答している。


「どうしたんだ?」


 入口傍にいたトグルに聞くと、ミラが『四葉商会』をえらく気に入ったらしく女性従業員に仲間(フレンド)登録を申し込んだそうだ。

 当然、そんな恐れ多い事は出来ないと、丁重に断っている状況らしい。

 俺に気付いたフランが、


「タクトからも、なんと言って~!」

「別に、いいだろう? ミラだって領主夫人といえども、お前らと同じ女性だろ?」


 俺の言葉で、部屋が静かになる。

 次の瞬間に、ダウザーが大声で笑い始めた。

 次にミラも笑い始めた。


「タクト、お前って奴は! 本当に俺達を特別扱いしないな!」


 笑い続けるミラの横で、マリーとフランが俺を睨みつけていた……


「ミラだって、領主夫人の肩書抜きで、話したいんだろう? 御前達なら適任じゃないか?」

「……あのね!」


 マリーが、文句を言おうとする言葉に被さるようにミラが、


「そうなんですよ、タクト様! 私も、立場関係無しに話が出来る相手が欲しいだけなんです!」


 マリーとフランが、断る事が出来ない空気になっていた。

 ルンデンブルク家が帰った後で、小言を沢山言われるのを覚悟した……


 食事も一緒に食べてから帰ると言っているが、流石にこれ以上遅くなると、大臣達が心配するので帰りたくなさそうなダウザー達を半ば強引に、ルンデンブルクまで【転移】で送る。

 ミラは、女性陣に「またね!」とにこやかに手を振っていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 案の定、ダウザー達の帰りを今か今かと待っていた大臣は、気が気でなかったようだ。

 姿を見るなり、詰め寄られて三人共叱られていた。

 何故か、最後の方は俺にも文句を言い始めた。

 一応、俺は早めに帰るように強引に連れ帰ってきたと、少しだけ反論すると大臣は、ダウザーたちに向かい、更に言葉を強めて叱っていた。


 ……こんだけ、本気で叱るって事は、本当に心配だったのだな。


 お叱りも終わり、最後に大臣から「ダウザー様達を、これからも宜しくお願いします」と頭を下げられた。

 ダウザーは、よい家臣を持っているな。


 帰ろうとすると、ダウザー達三人から仲間(フレンド)登録の要望があったので登録をした。


「タクト! 例の件、頼むぞ!」

「あぁ、分かっている。 じゃあ、またな!」


 例の件とは、調査の事なのは聞かなくても分かった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 リビングに戻ると、今度は皆から文句を言われる。

 勝手に客人を連れて来た事や、国の重要な方なら尚更、早めに連絡しろやら……


 全て、俺が悪いので何も言えなかった。

 俺が何も言えないのをいい事に、だんだんと悪口へとエスカレートしていった。

 最後は、マリーがストレス発散ばかりとマシンガンのように、独りで喋っていた。


 ……黙って聞くのも、俺の仕事だ! と、自分に言い聞かせていた。


「は~、すっきりした!」


 マリーのこの言葉で、俺への罵倒タイムは終了した。


「ミラ様の件、本当にいいの?」


 フランが心配そうに聞いてきた。


「問題ないだろう。 俺達が思っているより領主というのは、素の自分をさらけ出せないようで大変みたいだな。」

「そうかも知れないけど……」


 納得していない様子だ。

 フランの気持ちも、分からなくは無いが当人達の問題になるので、俺がどうこう入れるわけでもない。

 少しづつ気持ちの妥協点を見つけていくしかないのだろうな……

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