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193話 魔法都市ルンデンブルクへの潜入!

「場所が、分かったわよ!」


 シキブから、リンカの集落位置判明の連絡を受ける。


「遠いのか?」


 シキブが地図を描きながら説明してくれたが、ミクルやエルフの集落からだと方向が違うらしい。

 昨夜の襲撃を受けた方角になる。

 反対方向では無いが、たしかに方向が違うから同時に送り届けるのは難しいな……


 リンカも状況が分かるので、一番最後でいいと言ってくれた。

 このリンカの発言には、助けられた。


「ただ、問題があってね……」


 シキブは、連絡をしたギルマス『ルーノ』は、事情を聞き激怒しているらしい!

 まぁ、当たり前だろう。


 ルーノがジークまで迎えに来ると言っている。


「それは、助かるから問題無いだろ?」

「そのね、ルーノとトグルは相性が悪いと言うか、スグに喧嘩を始めるのよね……」


 お互いが戦闘バカという事だな。


「それは、別問題として来てくれるなら助かるな、リンカ!」


 リンカは真っ青な顔をしている。


「どうした、具合でも悪いのか?」

「いえ、迎えに来てもらうのは申し訳ないな~と思いまして……」


 歯切れが悪いな、どうしたんだ?


「実は、ルーノとリンカは兄妹なのよ。ルーノが怒っているのは、リンカに対してなのよね!」


 誇り高き狼人族が、奴隷にされた怒りに加えてそれが実妹だとなれば、そうなるのも分かるな。

 リンカも叱られるのが分かるから、余計に会いたくないのか。


「リンカ、早かれ遅かれ叱られるんだから、諦めろ!」

「……うん」


 とりあえず、リンカの件はルーノが来るまでは、保留とする。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 【神速】を使いながら、ひたすら走る。

 シキブに教えて貰った位置まで、道のりを気にせずにショートカットをしてだ。

 途中で山を越えたり、魔物ともすれ違うが相手にせずに距離を稼ぐことを優先にする。

 途中で休憩を取る際に、リロイへ連絡をする。


「ルンデンブルク家と交流はあるか?」

「私のような身分とは、付き合い程度の交流しかないですね。 先日、結婚したお祝いを頂いた形式的な間柄位ですかね?」

「お返しはするのか?」

「はい、明日にでも使者に持たせるつもりです」


 これは、願っても無いチャンスだ!


「その役、俺にやらしてくれ!」

「タクトにですか?」

「あぁ、ちょっと事情があってな……」


 リロイには、この騒動に巻き込む可能性もある為、ミクルの件に関しては全て話した。


「そう言った事情ですか……分かりました。 御願いしますので明日の朝にでも、お返しの品を取りに来て頂けますか?」

「分かった、助かる」


 これで、侵入ルートは確保出来た。

 ただ、直接会えるかが疑問だな……

 必ず会えると言う、もう一手が欲しいな。

 考えても仕方ないので、走るのを再開するか!



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 自分の身体能力に驚いている。

 本気で走り続けると、十日は掛かると言われている所を一日掛からずに到着した。

 ショートカットしているので、実際は二~三日分は短縮出来たと思う。


 丘の上だが、遠目から見ても屋敷が大きい事は分かる。

 屋敷と言うよりも都市自体が大きい。これが『魔法都市:ルンデンブルク』か!

 都市に名前が付いているだけで、いかに『ルンデンブルク家』が力を持っているかが分かる。


 ここからは、出来るだけ近づき情報を集めるとするか。

 【呪詛】の証明書もここなら発行出来ると、カンナが言っていたので、ついでに貰っておく。



 さすがに、魔法都市と言われるだけあって、街全体が賑やかだ。

 店を見てみるが扱っている商品も、ジークよりも種類が多い。


 【呪詛】の証明書を発行して貰う為、『鑑定所』を訪れる。

 建物内には、三人の鑑定士が居たので、説明を受ける。

 まず、身分の確認をした上で、水晶に触り【呪詛】の有無と内容を確認する。

 その後【呪詛】の種類を把握及び、解析して『証明書』の発行になる。

 ステータスが覗かれることは無いのかと聞くと、ギルドカードがあれば見る事は無いと答えが返ってきた。


 『証明書』の発行を頼むので、冒険者ギルドと商人ギルドのカードを出す。

 両方の上級ランクのカードを持っていることは珍しい為、驚かれたが身分証明は終わり水晶に触る様に指示される。

 両手で水晶を触ると、水晶自体がうっすら光始めて、鑑定士が覗き込んでいる。


「二つとも珍しい【呪詛】ですね」

「あぁ、非常に困っている」


 三〇分程度で、『証明書』は発行された。

 これで、毎回説明する手間が省ける。



 酒場に入り、街の情報取集も含めて話声に耳を傾けてみる。

 やはり、愚痴が多い。

 どの世界でも同じだなと思った。


 俺自身は【全属性耐性】の影響で、アルコールを飲んでも一向に酔う事は無い。

 最近気が付いたのだが……


「兄ちゃん、見ない顔だな!」


 酒場のマスターが声を掛けてきた。


「あぁ、さっきこの街に着いたところだ」

「そうか! ようこそ、魔法都市ルンデブルクへ!」

「ありがとう! いい街だな、やはり領主が良いと街も活気があるな!」


 とりあえず、話題を振ってみる。

 なんでもいいので、情報は欲しい。


「大きい声では言えないがな、その領主様なんだが……」


 マスターの話だと、一人娘のミクルが行方不明か殺されたと噂が立っているらしく、領主達も姿を現さないので、余計に噂が広まっているらしい。


「領主には、簡単に会えるのか?」

「バカを言え! そんな簡単に会えるか、貴族や新聞の取材ならまだしも……」


 新聞の取材!

 そうか、その方法がたしかにある。

 しかし、アポは難しいだろう。

 エイジンは、ジークの支社長だからこの街には、別の者が居る筈だ。

 あまり情報を流したくない……

 良い案だと思ったが、ボツだな。


「そうか、一度見たかったが残念だな」


 リロイのお返しの品を渡す際に、なにか細工をするしかないな……

 手紙が渡せれば良いが、内通者にバレる可能性が高い。

 直接気付かずに、話すことが出来れば……

 『念話』を人に使ったらどうなる?

 今迄、普通に言葉が使えるから使用した事が無いが、ライラと出会った時に通じた筈だ。

 もう一度、試す必要はあるな。


 酒場を出て【隠密】で屋敷の中に入る。

 歩き回る事で、今後【転移】がしやすくなる。

 扉を開けたりは出来ないので、ただ建物内を歩くだけだ。

 途中で使用人同士が会話しているので横で聞いてみたが、ミクルは誘拐されている事になっているようだ。

 犯人からは「誰にも言うな! 言えば娘は殺す」と手紙があっただけのようだ。

 使用人は、たまたま居合わせた別の使用人から聞いたらしい。

 領主夫妻は、それからは元気がなくなっているそうだ。


 やはり、ミクルを手元に確保してから、何かしらの要求をする予定だったのだろう。

 しかし、手紙がどのようにして領主に渡ったのだ?

 一般人からの手紙等は、毎回領主は見ないと思うが……


 ここらで一旦、ジークに戻る事とする。

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