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179話 正当な報酬!

 『ブライダル・リーフ』の営業も落ち着き始めた。

 大体、一日一〇組以上は売れている。

 街単位で考えれば、購入者の数は限られている。

 そろそろ次の手を打たないと、頭打ちになる。


 今日からは、客数が一段と減るだろう。


 従業員達には、次の戦略を説明する前に、購入したスラムの土地の利用方法を、一週間でそれぞれ考えてくるように宿題を出した。

 ライラも参加したいと言うので「頑張れよ!」と参加を了承する。



 購入した土地を幾つかに仕切って【鑑定眼】で土地の価値を確認しようとするが、鑑定が出来ない。

 カンナに協力してもらい、鑑定をしてもらうとスグに土地の価値が分かった。


「おかしいですね? 前回の指輪の時もそうですが、タクトさんなら鑑定出来る筈なんですが?」

「人によって、少しづつスキル内容が異なるのかもな」

「いえ、それは無いと思います。 職業スキルであれば習得条件は皆、同じ筈です」


 そうなると、俺に問題があるという訳だよな……

 今度、エリーヌに聞いてみるか。


 土地の価値も、それぞれ分かったので今後の展開がスムーズになる筈だ。

 それでなくても、商人ギルド経由で「土地を売ってくれ!」と連絡が入っているくらいだからな……


「カンナのおかげで、助かった」

「どういたしまして」

「しかし、これだけの土地を購入するなんて、トンデモナイ事をしますね」

「そうか?」

「タクトさんの規格外は、更にその上をいきますよね」

「普通にしているだけなんだがな……」

「だから、普通が既に普通じゃないんですって!」


 笑いながら受け答えをするカンナに、


「そういえば、プレゼントの服だが明日出来上がるから、確認して修正箇所を教えてくれ」

「えっ! もう出来るんですか!」

「あぁ、仮だから修正があれば、もう少し掛かる」

「色々とありがとうございます」

「いつもカンナには世話になっているから、これ位はしないとな」

「いえいえ、お世話になっているのは私の方ですよ!」


 カンナは謙遜している。

 実際、カンナの鑑定のおかげで随分と助けて貰っている事は事実だ。

 結果的に、アルやネロ達とも良い関係になっている。


「あの~、それで報酬なんですけど……」

「あぁ、今の土地の鑑定料でいいよ!」

「えっ! そんなダメですよ! 土地を鑑定するのと、アラクネの糸での服では価値が全然違います!」


 ……困ったな。 カンナから報酬を貰うつもりは全くなかった。


「それじゃあ、カンナが考えたいた予算でいいぞ! アラクネの糸だからというのは無しだからな!」

「……そんな、私の予算なんて少しですよ」

「それで構わない。 俺はその報酬で、それ以上の服を作ってカンナの信用を買ったってことだ!」

「相変わらず屁理屈が得意ですね」

「俺の長所が規格外と言ったのは、カンナだろ!」

「ふふふ、そうですね」


 俺の『規格外』や『常識はずれ』というフレーズが定着しようとしている。


「それじゃあ、今回は鑑定料を支払うから、金額を教えてくれ!」

「えっ! そんな事は……」

「報酬は、親しき仲でもキチンとしないと、後々問題になるからちゃんと報酬は提示してくれ!」


 俺の言葉にカンナも納得したのか、カバンから紙を出して報酬を算出し始めた。

 カンナが申し訳なさそうに報酬を提示する。


「正当な報酬なんだから、胸張って請求すればいいんだよ!」


 そう言って、カンナから提示された報酬を払う。


「分かりました。 タクトさんの言っている事はもっともですので、これから気を付けます!」


 カンナは意識を改めたようだ。


 服の受け渡しについて、明日の昼に『ブライダル・リーフ』に来てもらう事を約束して、カンナと別れた。

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