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16話 自己責任!

 ……さて、これからどうするか。


 安全確保のために、俺の拠点まで移動して貰った。

 心身ともにボロボロの娘達に、ここまで移動して貰うのは酷だとは分かっていた。

 しかし、あそこに居た方が危険だと思ったし、娘達も一刻も早くあの場所からは離れたかっただろう!

 娘達は解放された安堵からか、よく寝ている。

 寝る前に首についていた奴隷アイテムの首輪が外れたのが、余程嬉しかったようだ。

 こっそりと、寝ている娘達に【治癒】と【回復】をかける。

 明日、起きた時に元気になっていてくれれば幸いだ。


 どんな理由であれ、今回の件で俺は人を殺した。

 村の娘にすれば、俺は「姉を殺した男」なのだ。

 この事実は変えられる事は無い。

 人を殺した事による、罪悪感や嫌悪感は全くない。

 以前に危惧していた事が当たったようだ。

 多分、これからも同様に何も感じず人を殺す。

 命の重みに関係なく殺すだろう。


 神の使徒としてこれで良いのだろうか?

 神の名を大義名分とした殺人では、どこかのカルト教団と変わらない。

 転移させてくれたエリーヌに影響が出るのは避けたい。

 全ては自己責任なのだから。


 ゴブリンの集落から娘達を解放したのはいいが『ゴンド村』までは、まだ距離がある。

 人の足で三日、馬でも一日半。

 とてもじゃないが、この人数を守れる自信が無い。

 半分にしたとしても、残した女性へのリスクは格段に上がる。

 戻ってきた時に無事な保障は何処にも無い。

 そう考えると、皆での移動一択になる。

 ……困ったな、今回ばかりは今までの問題とは別次元だ。


「少し宜しいでしょうか?」


 振り向くとクロが居た。


「どうした」

「主は、娘達の移動の件で悩んでおられるのでは無いのですか?」

「あぁ、その通りだ。数日も警護しながらの移動は現実的に厳しいからな」

「私に御任せ願えませんか?」

「何か案でもあるのか?」

「はい。昔、御世話になった友人に頼んでみます」


 ここは、俺より長い間この世界にいるクロの方が、名案を持っているかもな。


「そうだな。特に案が無いから、クロに任せる」

「はい、承知致しました。では早速!」


 クロは大きく翼を広げて空の彼方に飛んで行った。


 しかし、クロの友人ってカラスか?

 ゲゲゲの●太郎の様にカラスに乗って移動か?

 それはそれでありかも知れない。


「クロさんは、何処へ?」


 シロが起きて来た。


「ちょっと、用事を頼んだ」


 シロに近くに来る様に手招きする。


「シロも今日はお疲れさん!」


 シロを膝の上に乗せて、頭を撫でて礼を言う。


「御主人様のお手伝いをするのが、私の使命です」

「そうか、そうか!」

「御主人様は、エリーヌ様の事がお嫌いですか?」

「なんでだ?」

「いつも、御話しする時怒っていますので……」


 たしかに、毎回怒ってはいるな。

 まぁ、ほとんどいや、全てアイツが悪いんだけど!

 シロにしてみたら、親みたいな存在なのか?


「エリーヌが心配か?」

「はい、エリーヌ様も一生懸命業務に取り組んでいるのですが、誤解されやすい性格ですから」

 

 シロ、いい子だ。

 本当になんでこんないい子が、あのポンコツ女神の眷属だったのか謎だ。

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