165話 トブレの依頼!
ザックとタイラーは、トグルに会わせろと五月蠅い。
仕方ないので、トグルをギルド会館前に呼び出す。
トグルの姿を見つけると、二人が挨拶をしていた。
「お前に会わせろって、朝から五月蠅いんだよ!」
「まぁ、俺は今日暇だから別に良いけどよ」
照れているのが丸分かりだ。
「お前ら、トグル師匠のいう事をちゃんと聞くんだぞ」
「はい!」
ふたり共大きな声で返事をする。
「トグル、悪いけど頼むわ」
「あぁ」
なんだかんだ言いながらも、トグルも面倒を見てくれるようで助かった。
「あっ、それとだな」
ザックとタイラーに服屋に連れて行って、服を仕立ててくれるように頼む。
「金は、後で払うから頼む!」
「なんで俺が!」
「師匠が選んでくれれば、納得するだろう」
師匠と言う言葉を使うとトグルは黙った。
「色々と押し付けるようだが頼むな!」
ユイとリベラは、昼休憩にマリーが服屋に連れて行くので問題ない。
フランもあれからは、写真一枚を大切に撮るようになった。
俺は、アラクネを早々に探す必要があるので、シロとクロには伝えて街の外に出る。
【全知全能】で大体の場所を確認する。
それとは別に、トブレの材料依頼も途中で調達可能かを確認した。
半分位は、少し迂回をすれば調達可能だ。
【転移】で一番近い場所まで移動をする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
トブレから依頼のあったリストから、最初の獲物は『アーマードモンキー』にした。
集団で行動する為、確実にその集団は仕留めないと援軍が来る。
岩場に一〇匹程の集団を発見した。
【隠密】で近づき、【神速】を使い【風刃】で首を切っていく。
いきなり首を切られたアーマードモンキーは慌てる。
六匹目で首に防御を集中させたのか、毛が硬くなったようで致命傷が与えられなくなった。
同じ箇所に二回【風刃】を使うことで、全滅させる事は出来た。
適応能力の高さには、少し驚いたが知能がある魔獣だと当たり前の行動かも知れない。
とりあえず、【解体】をして【アイテムボックス】に仕舞う。
トブレの依頼は二十体だったので別の集団を探す。
数百メートル離れた場所に、同じ位の数の集団を発見したので、同様の方法で狩る。
やはり、数匹目で同様の行動を取って首を防御していた。
血の匂いに誘われて来たのか、『ロックコンドル』が空で円を描いている。
全長三メートルはあるだろう、翼を広げた状態だと五メートルはある。
上を向き【風弓】を連射して、片翼を狙う。
飛んでいる高さが低くなって来たので、全力でジャンプをする。
思っていた以上に身体能力が上がっていたようで、最初にロックコンドルが飛んでいた高度よりも高く飛べた。
降下する際に、上から首に【風弓】を打ち込む。
ロックコンドルは、訳も分からないままそのまま地面に激突した。
地面に激突した割には、思っていたよりも損傷は少ない。
早速【解体】する。
落ちた振動で、周りにいた動物や魔獣も一斉に避難したようだ。
相変わらず【危険探知】は作動しない。
【魔眼】も出来る限り使った方が良いと、アルからアドバイスを受けたので狩りをする際は、魔力の流れを意識しながら攻撃をするようにしている。
確かに、この方が効率は良い。
しかし、森等が傍にあると火魔法の使用は躊躇してしまうな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
上からは大量の水が落ちてくる滝壺のある場所に来た。
ここでは『エディキャンサー』だ。
底の方に居て、小さな渦を起こして獲物を捕まえたり、ハサミから水を出して攻撃してくる。
水中戦は経験無いから不安だが、潜ってみる。
滝壺より下流から潜ってみたが、目的にエディキャンサーの前に、ワニらしき魔物と出くわす。
【鑑定眼】で『レーザーアリゲーター』だと分かる。
口から空気の球を勢いよく発射している。
水中の為、思うように動きが取れないが、躱せない事は無い。
攻撃をしようと思ったが、対水中戦のスキルが無かったので、肉弾戦になった。
背中に乗り【魔眼】で魔力の流れを確認しながら、ひたすら拳で殴り続けた。
数分後、抵抗しなくなりそのまま底に沈んでいった。
俺もそれに便乗する。
スグに底に着くかと思っていたが、なかなか底まで行かないので、かなり深い。
息が続かなくなったら【転移】で地上に戻ればいいので、限界まで挑戦する。
途中で渦を巻き始めて、回転するように底に誘導される。
そこにはエディキャンサーが居たので、近くまで誘導されて襲われる寸前に【転移】して、岸辺に戻った。
エディキャンサーは、急に状況が変わった為、周りを見渡して水中に戻ろうとするが、【風刃】で足を切り落として、【風弓】で止めをさした。
【転移】を使った戦闘方法が分かっただけでも、良かった。
これで水中戦も何とかなるだろう。
向こう岸に『ポイズンフロッグ』が六体程発見したので、ついでに狩っておく。