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150話 スラム襲撃の過去!

 ほろ酔いのシキブに質問をする。


「なぁ、半魔人や前科者も冒険者になれるのか?」

「そうね、前科者は可能ね。 ランクが上がらなければ偽名でも登録可能だしね。 ただし半魔人は……」


 冒険者ギルド内にも半魔人の冒険者は居るらしいが、差別があるらしくギルド内でも劣悪な環境での活動になってしまうそうだ。


「また、なにか変な事考えているでしょう」

「変な事は考えてないぞ。 ただ数日のうちに数人の新規冒険者が登録に行くと思う」

「……絶対に変なこと考えているでしょう、正直に白状しなさい!」


 酔っているせいか、いつもより強気に話しかけてきた。

 ガイルは、気を利かせたのか厨房の中に戻っていった。


 いずれ分かる事なので、シキブには話すことにした。


 まず、スラムの土地を全て買い取る事。

 スラムの住人数名は冒険者として登録をして、その他の者達はゴンド村へ可能な限り移民させる事を話す。

 半魔人や魔族の存在は隠すことにした。


「あいかわらず、スケールが大きいわね。 私達が何年も解決しなかった問題をいとも簡単に……」

「簡単じゃないぞ、これから交渉も残っているからな」

「ゾリアスは、簡単には承諾しないわよ!」


 真剣な顔で忠告をしてくれる。


「ゾリアスとは、話がついている。 残りは反対派の数人だけだ」

「えっ! あのゾリアスが納得したの」

「あぁ、ゴンド村に移民してもらう」

「もう驚かないと思っていたど、タクトについては毎回驚かされるわね」

「俺としては、驚かせるつもりは全く無いんだけどな」


 会話の途中に、一瞬無口になったシキブが、再び口を開いた。


「……スラムへの襲撃の件は聞いているんでしょ」

「少しはな……」


 シキブは、スラムを襲撃した五年ほど前の話を始めた。


 前領主より、冒険者ギルドに破格の報酬でクエストがあり、この街に居た殆どの冒険者がそれに参加した。

 勿論、シキブやムラサキも責任者として参加した。

 一方的な殺戮だった。

 陽が沈むと同時に、武器も持たないスラムの住人達を殺して、家などを破壊して隠れている奴らを虱潰しに探しだして殺した。

 その時のスラムの統括者だったゾリアスは討ち取れなかったが、ゾリアスが逃げたのだろうと思った前領主は、全員殺せと再度命じた。

 何十人というスラムの住人を殺したことに満足したのか、前領主は夜が明けると同時に勝利を宣言した。

 その後、スラムは立入禁止になった。


 数週間後に、ゾリアス達がスラムに居るのが確認されたが、前領主は興味が無くなったのか再度襲撃をする事は無くこの地を離れていった。


「長年冒険者をしていたけど、あれほど気分の悪いクエストは、あれ一回きりね」


 シキブの酒を飲むスピードが早くなっている。


「今のギルドメンバーでも何人かは、そのクエストに参加しているわね」

「ゾリアス達が恨んでいないかって事か?」

「えぇ、クエストとはいえ私達がした事は恨まれても仕方のない事だったし……」

「そうか、ゾリアスが登録に行ったら遺恨がない様にしてくれ」

「……ゾリアスが、冒険者登録するの?」

「あぁ、そう言ったぞ!」

「はぁ、本当に問題事を持ち込んでくれるわね」

「頼りになるギルマスだから、心配はしていないぞ!」


 酔っているせいか分からないが、細目で俺を見た後に大きくため息を吐く。


「新しい冒険者達は知らないけど、ゾリアスは元々王国騎士団に所属していて、強さで言うなら私やムラサキと同レベルなのよ!」

「そうなのか?」

「えぇ、なにかの事件の責任を取らされて王都を追放になったと聞いているわ。 前領主のスラム襲撃もゾリアスが居たからというのが、私の推測なんだけど……その後、襲撃が無かったし、実際はよく分からないわ」


 ……ゾリアスも訳ありなんだな

 自分から話す気になるまでは、聞かないでおこう。

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