14話 犯人は俺だ!
シロとクロのおかげで、今のところ順調な日々を過ごせている。
ただし、予定外な事も当然ある。
まずは、ポンコツ女神ことエリーヌだ……。
エリーヌには、過去の転移者に関する資料を依頼していた。
しかし、ガルプが資料をきちんと保管していなかった為、詳細が不明らしい。
本当に調べているか怪しいが、モクレンへの報告の件があるから、真面目にやっている筈だ。
【全知全能】に聞いた方が早いとも思ったが、嫌がらせも含めて引き続きエリーヌに調査を依頼する。
それと、シロについてだ。
俺が勝手に、眷属と主従関係を結んだ事により、エリーヌの眷属がこの世界から居ないという状況になってしまった。
その為、急遽一匹この世界に転生させなければならなく、「余分な仕事を増やして!」 と文句を言っていた。
全て、お前のせいだと逆に文句を言うと大人しくなった。
「御主人様、次どこ行きますか?」
シロの言葉使いが徐々に変わっていった。
言葉だけ聞いていると、行ったことは無いが、メイド喫茶に来ているような感じだ。
このまま、平和に過ごせるわけも無く問題が発生している。
そう、ゴブリンだ。
クロの偵察によると、ゴブリンは数日前に仲間数人を何者かに殺された。
その中にはゴブリン族として、重要なゴブリンが居たようで、「犯人を殺す!」と集落総出で、攻撃する準備を進めている。
重要なゴブリンというのは、紅目で体格の良かったリーダーの奴の事なのだろうと推測出来た。
しかも、犯人はオークと決め付けているらしい。
確かに、この森で対抗出来るとしたら、オークくらいだろうな……。
気になったのが、成長の早いゴブリンは兵力増強の為、さらって来た女性にひたすら子を産ましている事だ。
オークは村から食料や家畜を奪い、ゴブリンはそれに加えて若い女性を奪う等をしている為、一番近くにある『ゴンド村』は酷い状況のようだ。
迷い込んだ旅人や商人、冒険者も殺されて、金品を奪われている可能性もある。
森の動物自体も、襲われているだろう。
このゴブリンの件に関しては不可抗力とはいえ、犯人は間違いなく俺だ!
このまま無視して過ごす事も可能だ。
しかし、人を物として扱う行為には、苛立ちを覚える。
リラにも、文句を言われそうだし……。
時間が経てば経つほど、ゴブリン達は戦力を強化してしまう。
襲うのなら、早いほうが良い。
俺は早々に、『ゴブリンの集落』の襲撃を決意した。