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138話 スラム訪問!

 明らかに、ここからは立入禁止という雰囲気の路地だ。

 路地の両脇には、数メートル毎に誰かが居る感じだ。

 俺の恰好は、村人なので『いいカモ』が来た位にしか思っていないのだろう。

 案の定、二〇メートルも行かないうちに囲まれた。


「ここが何処か分かっているよな! 金目の物を置いていけば、命は助けてやるぞ!」


 二メートル程の鬼人が俺に向かって話すと、周りの男達も笑いながら俺を見ている。


「ここで一番偉い奴の所まで、案内してくれ!」


 俺の口調が気に入らないのか突然、鬼人が殴り掛かってきた。

 仕方無いので、顎を軽く叩くと俺の目の前で頭から倒れこむ。

 驚く周りの男達に、もう一度言うが御構い無しに襲い掛かってきたので、全員倒す。


 威嚇の意味も含めて鬼人の足を持ち、引きづりながら路地を進んでいくと、別の鬼人が前から歩いてきた。


「ここからは、進入禁止だ!」

「お前が、ここで一番偉いのか?」

「俺は、『ゾリアス』様の右腕『ウルガー』だ!」


 叫ぶと同時に襲い掛かってきたが、気にせずに前に進む。

 ウルガーは必死で攻撃してくるが、構わずに歩き続ける俺を見て、周りで見ている者達も驚いている。

 とりあえず、ゾリアスという奴が一番偉いようだ。


 路地にある大きな建物前に来ると、ウルガーは攻撃を止めた。


「ここは、通さん!」


 俺の目の前で、息切れしながら叫んだ。


「ここに、ゾリアスがいるんだな」

「何故、分かった!」

「お前、馬鹿だろう!」


 思わず言ってしまった。


「なんだと、この野郎!」


 再度、俺に向かって攻撃しようとした瞬間に、建物の扉が空いた。


「うるせぇぞ、お前ら!」


 ゾリアスと思われる獅子人が姿を現した。


「お前が、ゾリアスか?」

「誰だ、お前!」


 明らかに不機嫌だ。

 いきなり、人間族の村人姿の奴に「お前」呼ばわりされたら、気持ちのいいものでは無いだろう。


「俺はタクトという者だが、お前に用事があって来た」

「……何の用だ!」

「領主の結婚式で、妨害をしなかった礼だ!」


 服の内側で【アイテムボックス】を発動させて、酒瓶を二〇本出した。

 いつも通り、なんでそこからそんな物が出てくるんだ! という反応だ!


「用事はこれだけだ! じゃあな!」


 振り向いて帰ろうとすると、「待て!」とゾリアスが引き留める。


「もう用事は無いし、これ以上は酒もやらんぞ?」

「お前はこれだけの為にスラムに来たのか?」

「あぁ、そうだ!」


 俺が言い終わると、ゾリアスは大きな笑い声を上げた。

 周りの部下達も、驚いている。


「タクトと言ったか。 お前、変わっているな!」

「あぁ、周りからはよく変人と呼ばれる」


 俺の返しが面白かったのか、さらに大きな声で笑い続けている。


「お前ら! コイツは俺の客人だ。 手出しはするなよ!」


 よく分からないが、ゾリアスに気に入られたようだ。

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