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125話 シロの人気!

「こんにちは」


 エイジンが来たので、マリーが受付で対応をして一階奥の部屋に案内する。


 お供も付けずにひとりだけだが、この世界では普通なのか?


 とりあえず、テーブルとイスしかないが、我慢して貰う事にする。


「こんな場所で悪いな!」

「いえ、こちらこそ急で申し訳御座いません」


 先程会ったばかりなので、挨拶もそこそこにしてフランを紹介する。

 エイジンの名刺を貰い、驚いている。

 必死で、驚きを隠しているのがバレバレだ。


 契約の内容確認と書類に目を通して、合意のサインをする。


「ありがとうございます。 これからも宜しく御願い致します」

「こちらこそ、よろしく」


 あと報告になるが、エイジンに【呪詛】で丁寧語が喋れない事を伝えるが、既に知っていた様だ。

 一体どこまでの情報を掴んでいるんだ……

 【鑑定眼】でステータス閲覧してもいいが、ユニークスキル持ちだと困るので、見るのを止めた。

 俺が丁寧語が使えないので、呼び捨てで構わないと言うが、一応商売なので「さん」か「様」付けにさせてくれと言うので、「さん」付けで了承した。



「タクトさん、宜しいでしょうか?」

「なんだ?」

「その、個人的な事で大変申し上げづらいのですが……」


 急に歯切れが悪くなった。


「シロ様を、御紹介頂けませんでしょうか?」

「シロ?」


 なんで、急にシロの名が……

 あぁ、そういうことか!

 『猫人』だから、シロは伝説の人って事か!

 シロの事まで知っているとは、恐るべし情報網だな。


「分かった、少し待っていろ」


 上の階にいるシロを呼び、部屋に来るように頼む。


「御邪魔します。 なにか御用でしたか?」


 シロを見るなり、エイジンが緊張して固まっている。


「シロ、フランの写真を契約したエイジンだ。 お礼に、握手してやってくれ?」


 シロもエイジンが『猫人』なのに気付いたのか、緊張して伸びきっている腕の手を両手で包み、


「これからも御主人様に、協力して下さいね!」


 破壊力抜群の笑顔だ!


「ひゃあい!」


 真っ赤な顔のエイジンは、言葉にならない返事をする。


 シロって、伝説級というよりもアイドルだな……

 アイドル? ちょっと揶揄ってみるか!


「シロ、エイジンの隣に立ってこっち見てくれ?」


 シロは俺の指示通りに、エイジンの隣に立つ。


「フラン、写真撮ってやれ」

「は、はい!」


 シロとエイジンの、ツーショット写真を撮ってやる。


「エイジン、この写真欲しいか?」

「売って頂けるのであれば、買います!」

「いくら出す? 提示する金額が、シロへの値段になるぞ」


 頭のいいエイジンだからこそ、値段の意味が分かっているので真剣に考えている。


「嘘だよ。 今度ウチの手伝いでもしてくれればいいから」

「それで、いいのですか!」

「あぁ、フラン。 【転写】して、エイジンに渡してやってくれ」

「はい」

「人には言うなよ」

「もちろんです!」


 答える顔は、ニヤけている。

 来た時とは同一人物とは、とても思えない……


 もしかして、書類をここに持って来る事も、ひとりで来たのもシロに会う為なのか?



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 エイジンが帰ると、フランから叱られた。

 客の事は、事前に教えて欲しいという当たり前の事だった。

 俺に非があるので、素直に謝罪する。


「しかし、グランド通信社からの依頼なんて夢のようだわ」


 以前に、情報関係の仕事を探していた際に、殆どの所から門前払いをされていた。

 さすがに、グランド通信社は無理だと分かっていたので、訪れる事もしていない。


「色々と忙しくなるけど、頼むぞ!」

「任しておいてよ!」

「頼りにしてるぞ!」


 これからは、俺を通さずに直接仕事をして貰いたいが、それによってフランの負担や危険が増える事は避けなければならない。


 ローラの研究も、早めに対応する必要があるな……



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 シロとマリーの頑張りのおかげで、ドレスは完成した。

 完全オーダー品ではなく、汎用性も考慮して紐での調整機能を追加した。

 一応機能確認が必要なので、


「マリー、このドレスを着てみてくれ!」

「私が着ていいの!」

「あぁ、体型的にも近いから細かい調整だと思ってくれ」


 シロとフランに、着替えの手伝いを頼んで部屋を出る。

 クロに依頼していたスーツも、既に完成しているので問題ない。


 貸衣装として、写真の際に貸し出せば喜ばれるか?

 それとも、簡易的な結婚式を挙げさせるか……


 本当に時間が無い……

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