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119話 指輪製作の問題点!

「一日に二回も、本当に悪いな」

「まぁいいが、急だな」


 トブレに、『魔力封じの指輪』を見せて、指輪の事を説明した。

 俺の【複製】のユニークスキルについても説明した。

 トブレは驚いていたが、同じものしか出来ないのであれば興味が無いらしい。


「これは、メタルに【魔法付与】を掛けて、大きさを変更しているな」

「製作可能か?」

「指輪の造形は『魔鉱石』を使えば問題無いが、【魔法付与】は俺では無理だ」

「そうか……因みに魔鉱石って何だ?」

「お前は、基本的な事を本当に知らないな!」


 魔鉱石というのは、精霊石と同じような石だが、比較的何処でも採取可能な石だそうだ。

 中級者レベルの、前衛冒険者用装備の素材とされていることが多い。

 初心者レベルの防具は、鉄製が多い。

 上級者レベルの装備はミスリルが使われているが、よく装備を壊す上級者はあえて魔鉱石製の装備を選んでいることもある。


 なるほど! しかし、指輪は万事休すだな。

 第三魔王ロッソに会うしかないのか……


「ちょっと、待ってろ」


 トブレは工房の外に出て行った。

 数分後、別のドワーフを連れて帰って来た。


「こいつは、ウルパだ。 ここで唯一【魔法付与】のユニークスキルを持つドワーフだ。 勿論、伸縮魔法も使える」


 【魔法付与】って、ユニークスキルなのか!

 また、これで死に一歩近づいた……

 それよりも、


「これを作る事は可能か?」


 ウルパは、リブレから指輪の説明を受ける。


「こんなの基本中の基本だ、問題無い。 ただし伸縮は何回も可能になるがいいか?」


 心強い回答が返ってきた。

 むしろ、その方が都合良い。


「今から、俺がすぐに作る。 久しぶりの複数製作だから、明日の朝までだと一〇個が限界だがいいか?」


 一〇個あれば【複製】で三〇個には出来る。

 全然、問題は無い。


「それで構わないが、昨日も徹夜と言っていたが大丈夫か?」


 今朝、カメラを受取る時に「徹夜した」と言っていたので心配をする。


「徹夜なんて、いつもの事だ。 気にするな!」

「無理はして欲しくは無いので、出来る範囲で構わない」


 体を壊したら申し訳ない。


「大丈夫だって言っているだろう!」


 これ以上は、トブレのプライドを傷つける恐れがあるので、


「分かった。 宜しく頼む」

「おぅ、任せておけ!」


 ここは、トブレを信じるしかないか。


「ウルパも、よろしく頼む」

「問題ない!」

「報酬だが……」

「タクト、報酬は既にもらっている。 ウルパにも話はつけているので、大丈夫だ!」

「ウルパ、そうなのか?」

「あぁ、竜の髭を少し分けて貰うので、大丈夫だ!」

「トブレ、ありがとうな」

「気にするな! それより数が必要なら、ラチスに相談して集落として協力してもらったらどうだ?」

「品質がバラバラにならないか?」

「俺たちは職人だ! 見本があれば多少は違いがあるが、ほぼ同じ物は製作出来る」

「なるほど、協力を依頼してみる」


 作業の邪魔をしても申し訳ないので、ザルボの工房に行くことにした。



 ザルボは工房内で作業していたので、入り口から声を掛ける。

 作業の手を止めて、こちらまで来てくれた。


「これ、この間のお礼の酒だ」

「受けとれんと言っただろうが!」

「じゃあ、ここで全て叩き割るぞ!」


 前回、ザルボに言われた事と同じ事を言ってみる。

 ザルボは悔しそうに、


「……お前には負けたよ」

「お互い様だろ」


 ザルボは、酒を受け取ってくれた。


「今、何作っているんだ?」

「あぁ、偶然発見した製作方法なんだが、ガラスを平たく伸ばす技術の練習をしていた」


 ガラス板か。

 使い道は幾らでもあるな。


「どれ位まで、出来るようになったんだ?」

「全然だ。 やっと、お前の高さ位の物が出来るようになった位だ!」


 いや、十分だろう。

 職人の向上心は凄いな。


「見せて貰ってもいいか?」

「失敗して小さいのもあるが、好きに見てくれ」


 工房の端には、失敗といっているガラスが山済みになっている。

 俺からすれば価値のあるものばかりだ。


「ザルボ、これ使い道があるかも知れないから取っておいてくれないか?」

「別に構わないぞ」

「それと、そのガラス板をくっつけて四角に出来るか?」

「ガラス板って、なんだ?」


 そうか、ガラス板から説明しないといけないな。

 ザルボに、ガラスを平たくした物をガラス板と仮に名付けたと言うと、たしかに木の板とも言うから「なるほど」と納得した。

 これからはガラス板と呼ぶ事にしたらしい。


 俺は、ショーケースのイメージをザルボに伝えるが、俺の説明が下手なのかなかなか伝わらない。

 最後には、試作を作ってみるからそれを見て話す事になった。


 ショーケース作っても中身を何にするかは決めてないから、製作確認だけのつもりだったがザルボの製作意欲を無駄にしてはいけないので、いずれは実際に使用するショーケースの製作も依頼するつもりだ。



 トブレの助言で、ラチスのところを訪れた。

 指輪の製作を依頼する為だが、製作に関してはいい感触だ。

 トブレとは別の数人で製作してもらい、とりあえず一〇〇個を依頼する。

 【複写】で三〇〇個に出来るから、一五〇組までは対応出来る計算だ。

 当面はこの数量で大丈夫だろう。


 報酬だが、金貨を希望するかと思ったら違い『酒』を希望してきた。

 指輪一つにつき、酒瓶一〇本だ。

 原価計算が全然合わないが良いのかと、逆に心配になる。

 大体酒瓶一本が、金貨一〇枚位だから、支払いは金貨一〇〇枚だ。

 俺は指輪二つを、金貨五〇〇枚で売るつもりだった。

 大体平均月収の半分で、指輪一個としては平均月収の四分の一だ。

 結婚式の費用は衣装と写真代込みで、平均月収の二倍である金貨四〇〇〇枚を考えている。

 安価設定にして、誰でも挙式して貰いたいと言う事もあるが、エリーヌの名を覚えて貰う目的もある。

 

 指輪の在庫が不足した場合は、都度一〇〇個単位で注文をして、納期は六日とする条件も追加する。

 製作に三日、【魔法付与】に二日で予備日として一日の計算だ。


 心配は無いが、一応納期厳守で頼むとラチスも当たり前だと言う顔をしていた。


 ラチスとはこの条件で合意した。

 今から、すぐに作業に掛かると言いステーを呼んで指示をしていた。


 しかし、一〇〇〇本もある酒瓶の酒を何日で消費するのかが気になった。

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