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116話 ローラの研究内容!

「これは、凄いな!」


 カメラを見て、ローラは感心している。


「どこでこれだけの物を作った?」

「それは企業秘密だ」

「素晴らしい出来だな。 写真も格段に良くなっている」

「そうだろう!」

「なにより、ミスリルを使った外殻もだが『MP』の消費量が少ない為、より効率よく撮影出来る」


 研究者らしく、一箇所を細かく観察している。

 納得いくまでは、暫く待っているか。


 ……一時間経ったが、まだ色々と見ている。

 いつになったら終わるんだ。


 俺の気持ちに気が付いたのか、カメラを机の上に置くと、


「これは、貰う訳にはいかんな」

「なんでだ?」

「一応、研究目的で写真機を購入しているのに、それ以上の代物があるのは不自然だろ?」


 たしかにそうだな。

 研究の重要さを知っているローラだからこそ、情報や技術の漏洩にも敏感になっているのだろう。


「こちらの旧型を解体出来るだけでも、私としては満足だ」

「そうか、必要な時は言ってくれ」

「もちろんだ。 しかし、これだけの物をこの短期間で製作するとはな……」


 なにやら、考え込んでいる。


「タクト、お主は口が堅いか?」

「あぁ、秘密を喋るような事はしないつもりだ」


 ローラはこの街に来た理由を話し始めた。

 研究の目的は三つあり、『ロードの発見方法』『情報伝達の新技術の確立』『研究者の人材発掘』だ。


「……ロードの発見方法って」

「あぁ、魔王からの助言で仕組みは確立する事は出来た。 ただし、魔力検知の改良は必要になると思う」

「俺も利用されたって事か?」

「まぁ、結論からするとそうなるが、功績はタクトになるからいいだろ?」


 利用された事に対して、不満があると思っているようだ。


「怒ってはいないから大丈夫だ。 しかし功績は、やはりローラにした方がいいんじゃないか?」

「面倒臭い。 それにこれ以上、階級が上がると自由に研究出来なくなる」


 生粋の研究者だな。


「あまり俺を巻き込むなよ!」

「それは、約束出来ん」


 相変わらずの即答だ。


「残りの二つは、進んでいるのか?」

「ある程度の目処は立ってきた。 とりあえずは、タクトを発見できた事は大きな収穫だな」


 ……どういう意味だ?


「タクト! お主、研究者をやってみんか?」

「はぁ?」


 ローラは、俺の奇抜な発想と、その発想を物にする技術をかなり評価していた。


「それは、無理だな」

「何故だ?」

「研究者になれば、その利益は研究所つまり国のものになる」

「当たり前だ」

「人々の為になればいいが、一部の権力者の利益になるようであれば、俺の意思に反する」

「なるほどな、確かにそういう考え方も出来るな。 実際、それに近いしな」

「そういう訳だから、諦めてくれ」

「そうか、仕方ないな」


 ローラは、あっさりと諦めた。

 あまりにあっさり諦めたので、拍子抜けした。


「情報伝達の新技術って、なんだ?」

「それは、今は個人でしか連絡出来ない仕組みを変える技術だ」

「よく、分からんな?」

「そうだな、例えばギルド会館に用事がある時は、どうしておる?」

「直接来るか、ギルドメンバーに連絡をする」

「そうだろうな。 ギルド会館に直接連絡出来たら、便利だと思わんか?」


 そうか! 固定電話の事か。

 確かに、店に電話があれば、念話での会話が無くなる。

 個人への負担が減る訳だ。


「意味は理解出来た。 それは実現しそうなのか?」

「理論上の仕組みは確立しているが、それを現実に出来る技術がない」

「それが現実になると、世界が変わるな」

「そうだ! 私から『四葉商会』に依頼すれば作ってくれるか?」


 ……また、面倒臭い事を


「それって、俺にメリットあるのか?」

「もちろんあるぞ、それが出来れば道具の命名権と独占して、道具の製作が可能だ」

「それは、約束出来るのか?」

「あぁ、約束出来る。 設計図も私しか知らないからな」

「少し考えさせて貰っていいか?」

「勿論、構わない。 スグに返事を貰えるとも思っていない」


 商売としては大きいが、慎重に事を進めないと後々、後々大きなしっぺ返しが来る可能性もある。


 この間、気になったライラの事を聞いてみる。


「孤人族の、頭首候補は何人居るんだ?」

「何を言っている。 ライラだけだぞ」

「ひとりだけだったら、候補じゃなくて確定だろ?」

「今後、候補者が出てくる可能性があるから候補という意味だ」


 確かに、その言い分はあっている。

 しかし、そんな簡単に候補者が出るものなのか?


「九本の尻尾を持つことが、頭首の最低条件だから」


 そういう事か。


「頼まれていた件だが、私の用件もあるので、明日の昼にこのギルドに来るぞ」

「そうか、その後でいいので頼む」

「わかった。 伝えておく」


 新聞社とのアポも取れたし、これで結婚式の準備も色々と進められる。

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