107話 ドワーフの実力!
朝一番で、ドワーフの集落まで【転移】した。
今回の目的は二つある。 ティアラの制作依頼と、写真機の改良だ。
「久しぶり!」
トブレに挨拶をする。
「おぉ、頼んでいた素材でも入手出来たか?」
「悪い、まだだ。 それよりこれ見てくれ」
トブレに写真機を見せる。
「……写真機だな。こんな高級品を何処で手に入れた」
「まぁ、色々とな」
「これを見せて、どうするつもりだ?」
「この写真機を改良して貰いたい!」
「ほぉ~! 面白い依頼だな」
「基本性能は同じで、小型化が希望だ」
「なるほどな。 少し分解してもいいか?」
「あぁ、好きにしてくれ!」
トブレは、順序良く丁寧に解体を始める。
その作業は真剣だ。
職人の顔になっている。
「なんだこれは!」
「無駄なスペースだな!」
文句を言いながら全て解体し終わる。
「どうだった?」
「構造は至って簡単だ。 問題は精霊石だな。 こんな粗悪品じゃダメだ」
「良いのに変えたらどうなる?」
「【転写】の精度も上がるし、小型化も簡単だ」
「その精霊石はどこで取れるんだ?」
「場所は分からない、偶然に発掘されるからな」
「……そうか」
量産化が難しい理由の一つはこれかも知れないな。
「俺が、二つ持っているからそれを使ってやるよ!」
「いいのか!」
「あぁ、構わん。 久々にやりがいのある仕事だからな」
「そう言って貰えると助かる」
「明日の朝までには、終わっているから取りに来い」
「そんなに早くか!」
「こんなの子供の玩具の延長だ。 早く終わったら連絡するから連絡先教えろ!」
トブレ恐るべし!
トブレを仲間登録した。
トブレは来るときは、確認作業もあるから【転写】出来る者も連れてくるように言うと、早速作業に入った。
作業の邪魔だと言うので、立ち去る事にした。
ザルボの工房に来ると、丁度ザルボが出て来た。
「おっ! やっと来たか!」
ザルボは俺の顔を見ると、すぐに工房内に連れて行った。
前回と違い、綺麗な工房になっていた。
「驚いたか!」
「あぁ、綺麗になっているな」
「驚くのはまだ早いぞ」
奥の棚から、ガラスのティアラを持って来た。
中央に大きなグランレミット、その周りに小さなグランレミットが埋め込まれている。
「凄い出来だな!」
「久しぶりに満足いく代物だ!」
「これは売物か?」
「残念だが違う」
そうだろうな、これほどの出来の物は市場に出たらかなりの高額になる。
それより、自慢の一品として手元に残しておきたいのだろう。
「これは、お前にやる為に作った!」
「いやいや、貰う理由ないだろう」
「この間のお前の技術で、俺は職人として魂を再認識した。 お前以上の物を作るという事で新しい技術も習得出来た。 これはそのお礼だ」
「流石に、これは……」
「お前がいらんというなら、この場で叩き割るぞ!」
「分かった。 有難く貰っておく。 その代わり今度依頼の時は、料金とは別に酒を付き合えよ」
「当たり前だ!」
ザルボも連絡先を教えろと言ってきたので、仲間登録をした。