24話
超上空からアルティメットダイブをするメイドが一人。
シルフィ・アルベルタ……こと私です。
流石に竜が目視されるのはまずいと思い、大体高度1万メートルからのダイブを敢行することにしました。
転移魔法を使えばいいじゃないかとも思いましたがいちいち査問会に呼ばれる(街中での転移魔法の使用は禁じられているため)のもめんどくさいのでこうしているのです。
……竜でも恋をわからないとは、面倒くさいですね。しかし気になってしまったものは仕方ありません。女子力がなんたるか、その近道が恋であるらしいので。竜王が言うならおそらく間違いないでしょう。
……いまいちそのような感情に疎くてわからないのですがこの夜会ではっきりそれが分かるでしょう!……楽しみです。
というわけで着地。勿論、慣性を弄っての急停止です。このくらいたわいないことなのでそこのところはどうでもいいでしょう。
懐中時計を見ると夜会まで十分時間があります。
“じゅうぶん”ではありません“10分”です。
どうやらあのドラ娘ちゃんは意地悪なようでかなりの遠回りをしていたようです。……あっ、今思ったんですけどドラゴンのドラ娘……ダジャレになってますね。……これからは使用を控えることにします。こんな寒いギャグを無意識で発するなど心外です。私ももうおばさんですね。
早着替えの魔法を使い会場に転移します。
査問会?バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。
正直なところ、長距離だと結構魔力を使うのでバレるんですが短距離ならなんとかなるので。
気象庁が落雷を観測できても静電気は観測できないみたいな……そんなかんじです。
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さて夜会は特に面白い事もありませんでしたが色々聞くことはできました。
商会と貴族の癒着が何件かあったのでそれは国王に……国王陛下に押しつけておくことにして。
あと麻薬の密売も……もう仕事のことはいいですね。
とりあえず婚約指輪を買って殿下の元に戻りましょう。
貴族の小娘たち……いけませんね、おばさんが出てしまっています。
貴族の麗しい姫達に聞いたところ婚約や結婚をしてから愛を育むそうです。
そして愛は女子力を底上げすると。
え?ルビがおかしい?いや、そんなはずは……。
まあ、とにかく殿下に婚約指輪を渡す予定です。
渡すのは殿下しか相手がいませんし。
他の人に渡すくらいなら……殿下の方がやっぱりいいですし。
愛だの恋だのは私にはわかりませんけど相手とするなら殿下……カインが一番好ましいかなと思います。
……国王のやろ、国王陛下からも是非息子と婚姻を、と実家に届いているみたいですからちょうどいいでしょう。
第二王子以下アホ王子達への牽制にもなりうるでしょうし。
それにしても初めての婚約指輪なので立派なものが欲しい。
相手からプレゼントも確かにありなんでしょうが私としては一番良いものが欲しい。
魔法の発動体としても優秀で、かつデザインが良く、それでいて目立ちすぎず頑丈で、流行などに流されず、それでいてどのような服にも合わせることができる。
そんな品のある素晴らしい品を作れる店は……ある。前世の私が立ち上げた店が!
だが良く考えてみた。それって私が作った方が早いし、よりいいものになるんじゃないかと。
そもそも指輪なら何個かあるじゃないか。
思いつきで作ってあった一番出来がいいオリハルコン製のペアの指輪の裏側にカイン、シルフィと名前を彫り小さめのダイヤを埋め込んでみた。うん、こんなもんでいいや。めんどくさい。
私の一番出来がいいものから作ったんだからこの世で一番良いものだと思う。
私はその片方を右手の薬指にはめ、もう片方を右手の人差し指にはめてみた、悪くない。
ちなみに左手の薬指にはカイン殿下にはめてもらうつもりです。貴族の麗しい姫達曰く『憧れのシチュエーション』らしい。私にはわからないけどおそらく女子力につながる何かがあるのでしょう。
夜会から帰る途中不埒な輩につきまとわれそうになったのでサクッと巻いて衛兵に突き出して。
あぁ、勿論そんな不埒な輩を前に逃げ出すなんてするわけないじゃないですか。ちゃんと余罪まで吐いてもらって奴隷にされかけてた少年少女たちを救出してそんなことをした結果……
「お主、なんで帰ってきているの?」
「カイン殿下はどうした?警護は?側仕えは?」
と国王と宰相にこっぴどく聞かれたので
「夜会に出るためですが?警護と側仕えは召喚した天使に任せてます」
と答えてみた。嘘はついていない。本当だ。何も隠し事もしていない。後ろめたい事もない。
……それにしてもこの国は良い。国王と宰相は仲がいいし騎士団と魔法師団の仲も良い。伯爵家以上の人はまともな人ばかりで犯罪を起こすのは基本的に子爵とか男爵。ちょっと今叱られているので現実逃避中。天使のことには触れられなかった。
アルベルタなら仕方ないってどういうことですかね?
「本当に貴方という人は次から次へと問題を見つけ出してくれますねぇ?!ありがたいんですけど処理が追いつかないし犯罪件数減るからありがたいんですけどね?!」
ガミガミとなんか言われてる。特に宰相がなんか言ってる。警察関連とか犯罪関連から税金やら公共工事とか公共福祉、その他諸々を、宰相とその愉快な部下達が全部担当しているおかげか、宰相の顔色はよろしくない。
そんなことは私の知るところではないけど、かわいそう。
「もちろん手伝ってくれますよね?書類仕事くらいは?」
結果として麻薬やらなんやら押しつけたはずの仕事をこなすはめになる。
まさか持ち込んだ事件を自分でどうにかすることになるとは。まぁ後始末くらいなら……。
「ところで見慣れない指輪をしておるな?結構デザインもいいし……まさか男か?カイン以外のやつじゃなかろうな?!」
「右手人差し指と薬指ですか、男関係は特になさそうですが……珍しいですね?」
「まぁ、自作ですし、カイン殿下が帰ってきたら左薬指にこの指輪をはめて貰うつもりです。あ、そうでした国王陛下。カイン殿下との婚姻、謹んでお受けいたします」
「「へー……は?」」
「実家にはこちらから話をつけておくのでご安心を」
「え?なんで今更?」
「これは……現実かの?宰相、ちょっとお主の顔を殴らせてくれ、夢かもしれん」
「国王陛下。ご尊顔を殴って差し上げますのでそのボケなさった頭を冷やすとよろしいかと……それにしてもシルフィ殿が未来の王妃ならばこの国は安泰ですな」
この国の国王と宰相は仲がいいね、本当。
この後宮廷医師団のナンバー2と3を呼びつけるはめになった。
回復魔法?使ってあげないよ?
その代わりに消毒の痛みが1.2倍になる魔法を使ってあげたけどね。この魔法役に立つときあるんだね……




