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約束の地  作者: 黒瀬新吉
321/328

321.白人魚

白人魚


香奈は地上から消え去る前、「大姫神社」で待つささらに、彼女が香奈の実の娘であると明かした。香奈の娘は二人いたのである。姉の「ささら」は「条家の巫女」の役割に深く関わる。その時香奈はこう伝えた。


(以下、前述より引用、追加あり)


「ささら、あなたは『特別な巫女』私の娘なのです。あなたが生まれた時、あなたの本条を抜き、私の信頼する条家の巫女に預けたのです。もちろんそのことは私しか知らない。娘のいなかった『八条の巫女』は何も聞かずあなたを『如月ささら』として育ててくれました。『本条』というのは、万寿一族の魂の結晶です。その中にはかつてのイブ、『スカーレット』の『再誕の力』が残されているのです。『本条』は時とともにさらに強くなり、決して色あせることはないのです。『再誕の力』を狙うものは後をたちません、そのためマンジュ一族は『本条』を分散することにしたのです。もし片方を奪われたとしても、残った一方で対抗できるように」


外宇宙の星『ルノクス』で原始生命体から命を生み出す『原初のイブ』に最初は名前などなかった、長い時が流れ『イブ』は『ムシビト達』から『リリナ・スカーレット・イブ』と呼ばれる。やがて現れた神の子『ダーマ』により、人型を得る。『リリナ』は次第に繰り返す『再誕』に疲れるようになったのである。『ムシビト達』とは違い、彼女は永遠に死なないのだ、いつも独りぼっちのままだ。彼女はただ話し相手が欲しかったのに過ぎなかっだ。


「彼女はそこで自分を『身分け』して、もう一人のイブを創った。それが『リリカ・スカーレット・サクヤ』というもう一人のイブ。その時から『生殺与奪の力』がもう一つ生まれたと聞いています。二つの力は片方だけ暴走すれば、おそらくこの宇宙を最後には消滅させてしまうでしょう。『卑弥呼』はあの『ヒメカ』を憑依した稀代の『鬼巫女』、私の母『リカ』と『サヤ様』により、一度は封じ込めることができました。この星に訪れる最大の敵を迎え撃つために、再び時空を超え、その時代に弥生を向かわせました。ささら、あなたは各地に向かった条家の巫女から『人魚のかけら』を受け取り、『アクア・エメラルド』を再生し、『アガルタ』の『エスメラーダ』にそれを届けるのです。そしてもう一人の『本条』を持つ妹とともに敵を倒すのですよ。あなたの『本条』は『ココナ』そして妹『なっぴ』の『本条』は『ナツ』と言います」


香奈にはオオヒメサヤに明かした通り、娘は二人いた、その本条は「ナツ」と「ココナ」と言う。ささらの知る『条家の巫女』のなかには「ナツ」と名乗るものはいない、妹の「なっぴ」はまだ地球に向かっている途中だった。


(以上、前述より引用、追加)


地球に戻るため、ルノクスを出た「アマト」は、戦艦を奪われた「サリナ」と会う、そして原因不明の石化をする「的場太輔」を救うため「アマト」から離れ、地球に一足先に着いていた。しかし彼女は今「摩訶(まか)」という店で眠り続けている。なっぴとともに、地球を去った『虹色テントウ』の姉妹『テンテン』と『リンリン』それに『フローラ国』の女王となった『由美子』そして今では『ルノクス』の筆頭巫女となった『マイ』も地球にはいないのである。戦いには不向きなはずの『セイレ』はわずかな力を使い、美沙の傷を回復させるとアガルタに帰った。彼女のためにアクアエメラルドを再生するはずの「如月ささら」は「イラーレス」によって、美沙の目の前で石化されてしまったのである。

美沙は「八方塞がりでもうどうしようもない」と、そう思いかけた。


「ミーシャ、絶望からは何も生まれない……」

それは母、美奈の声だった。

「あなたは私に娘を見てくれと言ったわね。大津波が去っても、大陸には海水に沈んだところもまだ残っていた。そして多くの人間も帰らなかった。その時あなたは、私にこう言ったでしょう」

「なっぴはムシビトの未来のために、誰も不可能だという『星の再誕』をやり遂げる、そして必ず戻ってくる。地球の未来のために、私の娘には過去がどんなに苦しくても、今にどんなに絶望しても、未来を信じて生きるように『未来=ミク』と名付けたの、と」


「ミクは『榊の巫女』に再誕したと聞いたわ……」

「条家の巫女が人魚のかけらを簡単に手にできると思う、宝玉を探し当てたささらは、その後どうなってしまったの?」

「石化して……」

「そう、条家の巫女の役目を終えた巫女は、石化してしまった。でも石化を解く方法は黒人魚を倒すだけじゃあない」

「その方法とは、なんなの。お母さん」

「それは……」

母の声は消えていき、白人魚が口を開いた。

「私と戦い、見事倒す事。それが『エスメラーダ』から、私が預かった力を戻す方法。その時、夢の中で『フローレス』を救った『マンジュリカーナ』の話をあなたにしてあげましょう」


白人魚は戦いの衣装をまとった、槍は白刃の刀に変わった。

「さあ来い、お前が打ち込む一太刀ごとに『オロシアーナの力』はお前の身体に戻る」

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