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マグネッタ EP1 1000年の英雄  作者: スズメのこころ
6/6

決戦 そして英雄へ...

「ガイスト···?」

否、この悪夢は終わってはいない。ガイストと会った時に感じた電波がまだ残っている。


ここは第六都市。少し禍々(まがまが)しいがここは覚えている。僕の初めての戦いが起こった場。

しかし、その風景は一変していて辛うじて第六都市の原型を保っている状態、と言ったほうがいいだろう。

それどころか、ここより先は決戦の地として相応(ふさわ)しい場所へと変化しているような…………


「・・・」


もうマグネッタは喋る事は無かった。体の限界が近い。ここに戻って来たからといって次元のハザマで加速していたカウントダウンが元に戻っただけだ。


前を見るとガレキの山の上に丁度テーブル状の大きな形が出来ている。まずはそこへ登る。


大砲を真下に撃ち反動で飛び上がると、すぐにそこへ登れた。


そのテーブル状の舞台には辺り一面、灰色の花が植えられた花畑になっていた。すぐにその花の原料が金属で出来ている事を見抜く。


花達は僕の来訪を歓迎するかのように、花びらが一か所に集まりだす。・・・・巨大な鉄の花、蓮華が完成し、その真ん中から鉄くずで出来た人の形をとった物体が登場する。大きさは10メートル程だ。


『ワレ...ヲ....タオシテミロ....』

『ケッチャクヲ...ツケヨウ........チジョウノエイユウ..マグネッタッ!!』


機械で合成された声に合わせて花びらがそれぞれの所へ浮遊する。


機械の体は浮き上がる。まずは花びらをどうにかして奴を地上に降ろす・・・大体の方針が決まり、僕も行動を始める。


『キリサカレ...ケシトブガイイ...!!』


花びらが合体して二本の剣を作り、それを乱暴に振ってくる。

僕はすかさず空へ飛ぶが、花びらが邪魔をする。頬を、腕を、ギリギリのところで掠り久しぶりの痛みがどっと押し寄せる。


二本の剣は僕が飛んだのを確認すると、すぐに追いかけて乱暴に振り回る。

咄嗟に思い浮かんだ事を試そうとするマグネッタ。


人型へ特攻する。しかし剣は追うのをやめ、代わりに花びらが全力でこちらを止めに来る。



『ククク....ハハハハッッ!!!』


人型は最初花であった部分に残った花びらを自分を中心に高速回転させる。

当たればチェーンソーのように切り裂かれて終わり。有効打が見つからないまま大砲で真上へ逃げる。


その間展開されていた花びらに何度も掠り、目は少し血で赤くなる。


「・・・っ!!」


どうすればいい・・・そんな時。


「「おい!!!ここかマグネッタは!!」」

「!?・・・みんな!?」



グレスは僕を案じて助けを呼んだ。

結果、ハカセ、グレス、ドルドが簡易式の車に乗ってやってきた。その車は舞台の下、つまりガレキの山の前まで来ると止まり、グレスが生意気そうにわけを話す。


「俺が助けを呼んだ。探すのに手間取ったが間に合ったなら一緒だろ?」


ハカセがボロボロになった僕の状態を見て呆れたように喋る。特にスーツは切り傷だらけで、最初付けていたはずのヘルメットは気付かぬ内に取れていた。

「お前・・・やりすぎだ。もう少し大事に体を扱え。」

「・・・」


一斉に車から降り、その低いガレキの山を登る。


「・・・危険だから。来ないで。」

「知っている。だがお前が苦戦しているならサポートしてやらなくちゃな。仕事だからな....」


ハカセが何かぶつぶつ言っているがそれを無視してドルドは、

「キサマのお得意の磁石でその花びらを叩き落せるだろう。その黒い筒は壊してしまえ。」


大砲は捨てるべき・・・凝り固まった考えをほぐす、そんな言葉。


「下がってて・・・当たれば終わりだっ!」


大砲で右へ飛ぶ。そして前へうさぎ跳びのように飛び、真下へ威力を弱めた大砲をぶっ放し、空中へ飛ぶ。

最大出力。限度いっぱいまで大砲に力を込め、その電磁大砲に取り付けられた複数のアンテナが僕の力を補助して、青白いビームを発生させる。更に4枚の板がビームに追従し、青く発光する。

不思議と僕の体は浮いている。反動でゆっくり後ろへ動いているにも関わらず重力の働きが鈍い。


二秒ほどビームを浴びせると、大砲にヒビが入る。

三秒で粉々に壊れ、右腕にその大砲の大量の破片が降り注ぐ。

「ッ!!」


少しその右腕を押さえたが、すぐに左手で磁場を形成、花びらをコントロールに入る。

花びらは少しこの磁場に入って突撃してきたが、すぐにこちらの指揮下に入る。


「...・・・!!マグネッタ!最後のアメだ!」

ハカセが突然アメを投げる。

「世界を救うならこれを食べろ!後で俺が必ずお前を治す!!」


「・・・」

アメを右手で受け取り、考える。更に向かい来る花びらを取った奪った花びらでガードし、弾いたそれをまた指揮下に置く。

こんなことを繰り返していてはいつか自分の身に限界が来る。


(まだ...、限界を感じた時に舐めるべきだ…)


それをポケットにしまい、すぐに左手での磁場形成を強める。


『ソンナモノガ....キクワケナイ...!!ックックック....ハハハハッ....ハハハハハハ!!』


「・・・っ!!」

しかし、花びらは一斉に敵の元へと戻ってくる。敵のコントロールはこちらが奪えない程強かった。


しかし、諦めない。

その諦めない心が、マグネッタの本当の力を呼び覚ます。


「・・・………!!!っ!っっっ!!」

この力の真の使い方、寿命を更に削る、力の増幅法。


黒かった髪の毛が逆立つ。まるで下から強風が吹いているようにたなびく。否、それは磁場である。

足元が母である大地からゆっくりと離れてゆく。敵は今も花びらを使って僕を切り裂こうとしているが、その強すぎる強風の前には真っ直ぐ行った花びらがあらぬ方向へ逸れる。そこに落ちていた4枚の金属の青き羽が、僕の磁場に吸い寄せられて背中にくっつき、落ちている幾つかのアンテナは僕の目の前を飛び回るようになる。


『ソレデコソ…"エイユウ"タルモノヨ!!』

「もう手加減は必要無い。ありったけ吐き出して崩れ落ちろ。ガイスト……!!」


時空が曲がる。今までガレキの山だと思っていたそれは崩れたビルであり、このテーブル状の物は架空の物。ここのあるべき姿がマグネッタとガイストにのみ映し出された。


一方、グレス達は突然舞台がドーム状の暗黒に覆われ、困惑していた。

「・・・かれを信じて下さい。俺が信じているから・・・」

「ああ。少しでも現状を知れて良かったじゃないか。なあドルド」


どうしていいか分からない選択の狭間で、ただ一般の人に出来る事は応援、祈り。しかし、それらは単体の場合何も価値が無い。応援を受けた本人が応援を知ってこそ、応援の価値があるのだ。


「我等は・・・ここで待っている事しか出来ないのか・・。」


ドルドは悔しかった。何も出来ない無能として、元凶を叩く事がこの頭脳で出来なかった者として、最後の最後までこの英雄に任せてしまった自身を恥じた。


―――


この使い方で体が持たなくなるタイムリミットは三十秒程。僕は既に限界に達した体で離された彼との距離を徐々に縮めていた。

ここはかつてのビル群。本来の大通り。その先に罠を張り巡らせガイストは後ろへ逃げる。

第二の戦いが始まった。


少し進むたびに2枚ずつ鉄の花びらが襲ってくる。それを僕は進みながら磁場でキャッチした。

一枚だけその花びらを敵に向けて飛ばす。しかし一枚だと、人型の持っている刃でガードされてしまった。

すぐに彼に追いつこうとスピードを上げる。

飛んでくるその刃を片っ端から奪い取り、奴の背中が見えてくる。


無限に続くそのビル、そして無限に続く彼のたいろ。この空間はループしているように思えた。

僕は奴の背中を捉え、高速で奪い取った花びらを連射する。連射し続けた。

残り時間は10秒とない。


僕は最後にアメを舐めた。舐めると、これが金属の重力を操作できるアメだと気付く。

人型の足元ちらと見る。浮いている。何か浮かせる装置があるのかもしれない。


残った花びらを足にあたる部分に纏めて発射し、彼の体勢を崩す。僕に見せつけるように"弱点"を向け、少しの間動かなくなる。それも1秒2秒で立ち上がるはずだ。

アンテナを僕の右腕に向けさせ、この力の更なる増幅を図る。強化された重力を一斉にかける。真上から、真下へと。

対象はその回路のみ。その回路を壊し、僕は彼を引き寄せてその平面な足で立たせる。


力が弱まり、地に足着いた僕はすぐに彼に飛び乗る。左手で自身の体に反発をかけ、少しだけでも高さを稼ぎ、彼の体に張り付く。


隠れて生き残った花びらが一つずつこちらへ特攻を仕掛けるが、うまく反発と引き寄せを利用して回避、奴の機械の体にぐさりと突き刺さり、花びらは動かなくなる。それを2回ほど繰り返して奴の頭の部分まで来る。


「・・・ガイスト!!決着おわりだ!!」


アメの力で得た重力操作を思いっきり使う。

頭が凹み、その下の胴体が凹み、その足に当たる部分をへこませ、最後の敵はスクラップとなった。


ピカッ・・・


(!!)咄嗟とっさにあるだけの力を使い、反発。


爆発。

凄まじい爆風が僕を更に空高くへ上げる。

「っ・・・...。」

僕は気を失った。


――――――ハカセの心配する声が聞こえた気がする。


深く、さらに深いその場所へ、疲れた意識は落ちてゆく。後にハカセによって英雄は目を覚ます事になるだろう。



EP1 1000年の英雄           ―END―

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