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マグネッタ EP1 1000年の英雄  作者: スズメのこころ
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次元のハザマ

「・・・これを使っても・・・もう終わりか・・・!」


二体の内の一体がその大きな銃のトリガーを引こうとする。

しかし、鈍い音。その敵から目を離さなかったグレスの目から見て、突然奴の頭が大きくへこんだ。真上へ発砲されたショットガンの弾丸はどこにも当たる事なくまっすぐ、飛んで行った。


「!!!・・・何が・・・」


残る一体を見る。しかしすでにそれも同じくへこんだ頭で空を見て動かなくなっていた。他を見る。機械人が全て壊れて動かなくなっていた。100体近くいた筈だ・・・それをこの一瞬で。


「・・・報告だ。」

『ザッ――』

「突然『機』ガロンが倒れた。原因を頼む」

『同じだ・・・さっきも同じような報告が入った。一旦戻れ』

「ああ・・・」


何が起こっているのか。何も分からないまま本部で会議が開かれた。


「現在『機』が次々と何者かに倒されている。我々が強敵と認識している敵はすべてその何者かが一瞬で倒している。」

「・・・救世主?」

キャサリンが疲れた目でありもしない幻想を呟く。


「それは無い。誰かは分からないがもしかするとこちらにも牙を剥く可能性がある。」

即座に否定。


「可能性は可能性だ。敵になればすでに人類は全滅している。」

「・・・・分からない。マグネッタはどうしたんだ。今、何が起こっているのか全く分からない。」

天に行ったまま帰ってこないなどおかしい。もし帰ってきてるとしたら一つぐらい連絡を入れるはずだ。その無線端末で・・・

それに・・・天には何がある。俺が、そこへ行って原因を倒してやる。


「・・・天へ行く装置はあるか。」

「あるにはある・・・だが天へ行こうなどと考えるな。お前はここへ戻ってこられなくなる。長期戦が続けば貴様だけじゃなく全員の敗北は確定するだろう」

「一番強いアイツが・・・どうなったか情報だけでも持ち帰ってやる。」

「馬鹿な事を考えるな!!待てば得られる情報だ!わざわざ貴重な戦力を費やしてまで天へ行ってお前まで通信を寄越さなかったらどうする!このチームは・・・『メタルオブブラッド』は・・・負ける事になるんだぞ!!」


ドルドは必死の形相で俺を引き留める。何が何でも行かせたくないのだろう。


「ドルド。俺は何も情報だけを特攻して持って帰ろうと言っている訳じゃない。天へ乗り込んで原因を叩く。死んだ英雄マグネッタなんかよりも俺の方が仕事をしてやるんだ」

「「駄目だ!!」」


当然全員に止められる。

「今さっき出た謎がすべて分からないまま俺達は蚊帳の外に追いやられて、恥ずかしいと思っているのは俺だけか?」

「ぐ・・・ッ!!」


情報。その二文字はたったひとつで状況を左右する事もあるほどの重要素材。より正確な情報程こちらは敵の弱点を知り、有利になれる。


「行け…ッ!!もう止める気は無い…ッッ!!」


俺は大砲に乗り天を目指す事になる。


―――――


過去の記憶が目覚める。

僕は…天界人の間に生まれた『人間』。星人には特殊能力のようにものを作る才能が標準で付いている。しかし『人間』である僕は才能が無く、天を降ろされた。しかし一つの力。磁石を持って。

その時の天は親も周囲の天界人も皆平和だった。簡単に言えば平和だからこその差別、さげすむ目。異物を見る気味悪がる目。


地上は技術が遅れている。殆ど全て。鉱石を手に入れて、それを加工することが唯一の地上の取り柄だった。

そんな場所に僕の力が非常に合った。ビルだって、地面だって、剣とかの武器だって。全てに金属が含まれている。僕の力が使い放題だった。


しかしそんな力も役には立たないと気付く。


・・・天界人の強襲。僕は劣勢。技術が3段階も4段階も進歩した天界人相手に当時戦える人など僕以外いなかった。


しかし戦争は治まる。僕が最後の最後に強運で大将を打ち取ったのだ。だが、大将は最後の力で僕を未来へ飛ばす。自分の中では少しの年月が過ぎ。記憶を失ってこのメタルランドに倒れていた。

多分星人という種族は天界人が1000年前のメタルランドに降り立った天界人がメタルランドへ住んだ結果だろう。もしかすると、その人達のお蔭で銃が伝えられ、更に今の天兵や『機』に武器や防具が支給されている。


やがて僕の視界はしっかりとその風景を捉える事が出来るようになる。

そこで見えたのは腐敗。建物などは全てどこかが崩れ、人が一人も見当たらなかった。

「じゃあ・・・あの天兵はどこから来てるんだ?」


しばらくその廃墟を探索すると、気になるメモを見つける。


そこにはこう書かれていた。

『もし天界にたどり着いた人間がいるならこれを見てほしい。

この天界は1000年前に襲撃などはしていない。天界の一部が反乱を起こし、過激派が地上へ降り、そこからすべてが始まった。

その名前は「ガイスト」・・・かつて1000年前に英雄が倒した魔王だ。

だが・・・そのガイストは滅んでいない。今も時空のハザマで天にも、地上にも兵を送り込んでこの世界全体を壊している。

人間よ。陰謀に気付き、時空のハザマへ行け。時空の管理人がこの世界のどこかに居る筈だ。彼は同じ天界人だが、顔は隠していて見えない。時空のハザマへ着いたら・・・我々を・・・生き返らせてくれ。』



僕の心の中で何かが壊れる。不要な部分を取り除かれる。


寿命が加速する。ハカセの作る特大クッキーを食べた影響か、否。自分自身が最後のリミッターを外したからだ。


「千年前?あんな人は英雄じゃない。今度こそ自分自身が・・・英雄になる時だ」


決意を決め、時間制限が始まった体で天界から飛び降りる。

この電磁大砲。僕の込める力に応じて力が強まる。今なら、発射時の反動を使い空を高速で飛んでいる。


最後のリミッターが外れた今、常人では理解することすら不可能な瞬間であっても正確に行動できる。


(違うか。)


『機』。そんなものはどうでもいい。

さっさと片付ける。

上空へ飛び、狙いを定めて発射。一発で奴等は行動不能になる。

世界を飛び回り、目的の人物を探す。その間様々な『機』と遭遇したがさっさと倒し次へ進む。道中知っている人物がいたのでその人の周りの雑魚は広範囲の大砲で一掃した。


「・・・居た。」


紫のローブ。顔の三つの星。顔の特徴が掴めない星人。


すぐにそこへ突っ込む。

丁度その星人の目の前へ着地した。

「頼む。時空のハザマへ連れて行ってくれ。」

「・・・」


銃を構えられる。

「貴様程度の力で奴は倒せない。」

パンッ・・・しかし弾は頭まで届かない。

「・・・・あの時の人間か。」


紫の星人は手に持っているナイフで近くの空間を切り裂き、その空間の先からは紫色の世界が広がっている。

「行きたいなら行け。そしてこちらへもう戻ってくるな。」

「ありがとう、行ってくる!」


僕はすぐにその空間へ飛び込んだ。


――――


「な・・・これは・・・」

奴が、寄越さない意味が分かったかもしれない。

天界に着いた時点で通信機は故障。それも有り得ない範囲で中の回路が丸々消えている。要するに耳にあてているこの通信機はただの箱に棒がくっついただけの物だ。


そして、この腐敗しきった天界・・・どこにも敵はいない。ラミエルはどこから来たのか?

(何かヒントがあるかもしれない)

そう思い探索するとすぐにそれを見つける。


メモだった。しかし、マグネッタがどこへ向かったか示すメモ。


「・・・これを、どうしろって言うんだ」


ここに来た方法を考える。一方通行の大砲で来たんだ。

じゃあこれを伝える方法は?・・・無い。通信機は使い物にならない。なら・・・


「・・・飛び降りる。一か、八か。」


天界の物から使えそうな物を探して、グライダーを作る。

天界の物資は豊富で、すぐに作る事が出来た。あとはこれを信じて飛び降りるのみ。



―――現在

激突する。

「うわあああああ!!」

グレスは偶々(たまたま)何か良く分からない、紫色の空間に激突した。



――――時空のハザマ


方向感覚がもうすでに無い。歩くというよりは意思だけ示せばその方向へ移動できる。不思議な場所だった。

(元凶は、どこに)『〈元凶は、どこに〉』

考えた事が空間に木霊する。これも不思議だった。


左手を見ると、手がはっきりと見えない。何やら肌の色が乱暴にくっついているような、手という概念が消えかかっているような、そういう印象を受けた。


こんな事をしている場合じゃない。急いで奥へ向かった。


奥へ進むごとに世界の色が赤に染まって行く。やがて地面が認識でき、そこへ脚を付く。この特別な空間の先、否、中心に彼は居た。この異常な世界において彼だけが色を保ち、はっきりと黒に包まれた姿が見える。その言葉は寸分の狂いなくありのままな感想だった。


「ガイスト…か?」『〈ガイスト…か?〉』


二重に声が発せられる。

もどかしくなるが、ガイストは反応しない。それどころか、気がついてもいないようだ。

『ッ!!』

頭痛。激しい怒りを感じる電波。ガイストからは、何か特別な・・・電波のような物が発信させられていた。


「おい!!ガイスト!!」

僕が叫んだのにも理由がある。僕とガイスト、少なからず関係があるのだ。

ここに来る途中で更に取り戻した過去の一部、僕はガイストを(たお)した。その記憶の続きは無意味な争い。仕組まれた戦争。ガイストと最後に分かり合い、ガイストの命の灯火を対価に持っていた武器で僕を未来へ送る。それが丁度千年後へ送られた。


僕はガイストの返事を待つ。


〈貴様が……貴様が…我をこの地へ閉じ込めた!!〉


「!!!」

そこはもう知っているガイストではない。

怨念に乗っ取られ理性を失った、言わば復讐の獣。


〈貴様は生かさぬ。死んで我の力の一部になるがいい……〉


突然地面以外の場所が叩き割られた様に粉砕、音を出してフィールドが制限される。上を見ると使えそうな金属の破片が幾らでも散乱、回転していた。


『それを使えって事か。』


ガイストも人という種族。一方的な命の搾取を行う程心を失った訳ではないようだ。

僕は右手に装着している大砲で上へ飛ぶ。空ならばこちらは自由だ。頭上にある鉄くずを、活動を開始したガイストに左手を使って降り注がせる。


鉄くずはしつかりとガイストを狙い撃つ。

僕は既に飛び回って大砲を乱射。もう一分も命を燃やし続けた。

しかしガイストは傷一つ無い。何も、有効ではなかったのだ。ガイストは回避も、攻撃もしない。全てが不気味であった。


『そこまでだ。』


グレスの声に聞こえる。幻聴か…………······違う。本物。


『マグネッタ。ここにいたか』

『グレス…何故ここへ?』

やがてグレスの姿が見える。ガイストと同じく色が崩れていない。


『ここをどうやって来た!僕にはガイストが誰も来ないように細工していると思ったけど!』


『入れた物は仕方ないだろう!それよりさっさとここを出ろ!』

『出来ない!!ここが敵!この人が大将だ!!』

『勝てる見込みがないなら…』


そこまで言いかけてグレスは突然姿を消した。

『確かに勝てる見込みが無い…!だがこのチャンス、ムダには!……!!』


手が、左手が消えかかっている。


僕は痛みの無い消滅へのタイムリミットが迫っていることを感じる。

それはつまり、ここで戦って勝てる可能性が限りなく薄い。

僕はすぐそこまで来ていたガイストを無視して大砲を構え出口へ飛んだ。


脱出してから冷静になって考えると、かなり厳しい所だった。手は元の形をゆっくり取り戻し、今何とか動かす事が出来るようになった。痛みの無い崩壊…恐怖を少なからず感じた所で異変に気付く。

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