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マグネッタ EP1 1000年の英雄  作者: スズメのこころ
4/6

マグネッタ

――その翌日。更に翌日。そのまた翌日、その更に翌日・・・。と僕は毎日休み無しに天から降りてくる天兵と戦った。

いつの間にかメタルオブブラッドに入った事になり、すでに壊れた第六都市の担当になっている。一人で。あの三人組は三人組のままなのに。一人で。

メタルオブブラッドのリーダー、ドルドは僕の力を把握した。ハカセはジャンク屋を辞めさせられる。


「貴様はあの少年のサポートに徹してもらいたい。資金はこれだけだ。」


ドルドが直に出向き、金の入ったトランクを開ける。

「・・・金の意味は」

「さっきも言った通り、星人である貴様の力であの少年の補助を頼む」

「アメ職人に転職しろという事でいいか?」

「ああ。その店は今起こっている問題が治まれば別に再開しても良い。」

「くっ…どうせ反対しても無理やりさせるんだろう?・・・分かりました。やります。」


しばらくハカセは特殊なアメ作りを始める。


僕は、日々進化し続ける敵に苦戦していた。中でも大型の敵との戦いは熾烈しれつを極め、毎回生還できる事が奇跡のように思えた。

丁度その時、一つの吉報が入る。"あの日"から大体一カ月が過ぎた。



「急に呼び出してすまない。実はお前が最初に倒した『』ヘロンを調べると、お前の体質にとても合う事が分かった。それで……作ったのがコレだ」


ハカセは本部の白い部屋を借りている。突然僕が呼び出されたかと思えば、ハカセは一粒のアメを持ってきた。

「『永続アメ』とでも言おう。今まで数十秒だったのが一生続くと思えばいいさ」

「ハカセ。本当に何があったんだ?僕を心配しての事?」

「詳しくは言えないな。普通に俺はアメを作るだけだ。」


「さて」とハカセは仕切り直す。

「舐めてみてくれ。効果は知らん」

「・・・」

少し呆れながらもそのアメを口の中へ放り込む。


それから、様々な、機械で出来た兵士『機』を倒してハカセに永続アメを作ってもらう日々が始まる。

強くなること、それが安らぎになると信じて。


「この!!」

天兵と遭遇。磁力で引き寄せ、発見させる。


天兵のグループ・・・もうすでに全ての兵が小型銃を武装している・・・は、僕を見つけると即座に乱射してくる。だから天兵に遭遇したときの僕の周囲は僕の体に辿り着けなかった銃弾が幾千も転がっていた。天の兵でも銃を持っている…天にも鉱物があるのだろうか。


僕の対処は簡単だ。落ちた弾を敵に発射する。アメがあるからこそ出来た技だ。しかし『機』との戦いはこんな物では傷も付かないほどの装甲で、張り付いて内部から倒さねば駄目だった。


「新型。」

『ザザッ…何としても持って帰れ』

「その前に死ぬなとか言わないのか」


狩りの時間、獣は餌を見つけ走り出す。


―――――現在。


「キリが無いでしょ、こんな事をしても」

『ザザッ――・・・じゃあ何か方法があるのかね?』

「無いよ。けどこんな事を続けたらどんどん敵が強くなる」

『それはそうだが…』


第六都市。すでに人は居ない。廃墟である。


同じ様に走ったら奇妙な所を発見した。

遠くから見れば血。近くから見れば足跡のようだが赤い。

僕は黙ってその足跡をたどる。さっきまで天兵に遭遇していないのも不自然だ。確認をとれば報告には天兵がこの辺りにいるはずである。


「何もない」

足跡はここで途切れている。どこにでもあるビルが天兵によって崩れた場所だ。空からの光が崩れた中央部に漏れるように入り込んでいる。一階のガレキの山から空を見上げる事ができた。


僕は地面に手をあて、反発させることで上へ飛ぶ。

飛びながら周りを見ても何も居ないのだ。僕は体は反発の勢いに乗せられるまま最上階まで飛んだ。


「気のせいか」

僕は崩れたビルの最上階から地面へ飛び降りる。このままだと激突するので反発をクッションにする。


しかし、どこを探索しても天兵の影すら見当たらない。

「おかしいぞ」

『ザザッ・・・居ないか?』

「ああ。無人だ」

『確かにおかしいな・・・一旦戻ってこい。』


人間は油断した時程衝撃が大きい。


「誰だ」

カチャ...後ろから声と音がした。


「!!」

「チッ、人間か」

振り向く・・・頬に三つの星。星人だった。今や星人は天界の子と言われ軽い差別を受けている。


「誰ですか。ここは危ないですよ」

優しい口調で注意する。少し声が震えた。


「なんだ敵か。」


すぐにトリガーにかけた指を引く。鋭い破裂音がすぐに聞こえた。


しかし、その破裂音を出した銃弾だけが地面へと落下する。先ほどの破裂音だけが銃から吐き出された唯一の凶器モノだった。


「………余計な小細工を。」


もし僕がこの星人に更に警戒を強めず、磁場を形成していなければ今いるこの地面は真っ赤な絵の具が撒き散らされるように汚れていただろう。

僕はアメをひとつ舐める。そして小声で話す。


「ここに来る事を許した人は僕以外に居ますか」

『居ない』

(なら、この人は敵か)


遅れて僕は敵と認識する。


しかし、その会話中。僅か数秒で奴は姿を消した。

置き土産とでも言うかの様にそこには爆発物が置かれており、気がついた時、すでに爆発の一歩手前だった。


「ぐッ!!」

この爆発物をアメの能力で操作。全力でそれを天高くまで上げ、空中で爆発。爆風は僕の髪を引っこ抜くように勢いよく、それと同時に細かいガレキなどの僅かなゴミを爆風に乗せて飛ばしていた。



すぐに僕は伏せた。


爆風が収まって、特徴を思い出す。しかし奴の特徴は顔が見たはずなのに覚えられず、紫色のローブを着ていた事しか分からない。

「くそっ」

―――その日は何も無かった。帰り、結果的に僕には一日だけの平和が訪れた事を知る。――――

―――数日後。


「朗報だ。天兵の弱点を掴んだ。」

「元々天兵は武器を奪えば大丈夫じゃないのか?」


メンバー全員を集めての会議だ。中にはいつも三人組で行動している男女もいる。今意見したのはその三人組のリーダー・・・髪がブロンドの男性『グレス』だ。簡単に言えばバグはかなり減った。バグ対策のための組織『メタルオブブラッド』は現在天界人をどうにかするための言わば軍隊になっている。


「そうじゃない。奴等を止める方法が掴めた。」

「今劣勢なのにどうやって止めるんだ」


そのリーダーは興味なさそうに話を終わらせようとしている。メンバーは少ない。まず銃をしっかりと扱える人間が前提なのだ。その上で死者も出ている。このメタルランドは追い込まれていた。


最早もはや敵を止めるにはこの方法しか残っていない。『大将を叩く』。事の始まりとなった放送は知っているか?」

「「「「・・・」」」」


全員がうなずく。このメタルオブブラッドの部隊長リーダーであるドルドは作戦を話す。


「大将はあの放送に出ていた人物だ、これは間違いない。問題はどこにいるかだが・・・天界だ。」


グレスは怒りを抑えている。確かに天界なんて普通は行けないだろう。

「天界に行くには、この星人が役に立ってくれた。」


そうしてドアから出て来たのはあの時っきり会っていない王子『ラミエル』だった。

「・・・」

目を逸らしている。


「この星人のお蔭で我々は天界へと突入をかけることが可能になった。しかし一度きりだ。一度入ればもう二度とこの方法では天界へは侵入できないだろう。その上一人しか行けない・・・つまり、」


「まさか僕に行けって事?」

たまったものじゃない、と、すかさず僕は反論する。

「確かに僕には特別な力がある。だけどそれは金属だけだからただの人間には効果はないんだ」

「・・・武器がある。」

ドルドは手で黒服に合図する。


持ってきたのは金属で出来たような筒に4枚の青い羽と、所々にいくつもの菱形ひしがたのパーツにアンテナのようなものが付いているよく分からない武器が登場した。

「これを装着すれば例え人間相手であっても貴様の力を存分に使える。」


「・・・?」

「電磁大砲だ。身軽さは消えるが対人間用に開発されたこれの殲滅力は大した物だ。お前にしか出来ない任務だ。できるか。」

「やってみるよ…どうせ僕が行かなきゃこのメタルランドは失われるんだろ。」

「……そうか、やってくれるか。なら貴様に称号を与えよう。」


ハカセが来る。黒のヘルメットに黒のスーツ。それと普通の大きさではないクッキーを持ってきた。

「それを食べれば貴様の寿命は減る。考えて食べろ。」

「寿命なんか考えた事ない。」

「そうか」


僕はバリバリとクッキーにかぶり付く。すぐに骨という骨に痛みが走ったかと思えばすぐに治まった。僕はすぐにスーツを服の上から着る。着終わった後、黒服がその筒を右手に取り付けた。

「その兵器はお前の寿命を削るような物だ。終わったらすぐに取れ。」

ハカセが短く説明する。


ドルドが咳払いし、

「他の諸君らには天界に乗り込む間生き残った都市を防衛してもらう。彼が天界に居る間、天兵どもは暴走する。放置すれば彼が天界を落とす前にこちらが落されるだろう・・・」

「めんどくさいが・・・了解した。」


最終的にはグレスは納得した。


「これ以上天界の兵士に好き勝手させる訳には行かない。そして・・・貴様の事を調べた結果、どうやら1000年前にも同じような事が起こっている事が分かった。同じく天界に乗り込み、天界の異物を叩き出せば天兵の暴走は治まったという。やり遂げた英雄の名前は・・・」


ドルドはそこまで言ってハカセに言わせる。

「『マグネッタ』。人を越えた人間・・・丁度お前の特殊な能力もその英雄の名前に似ている。」

「・・・そのまんまか。」

「マグネッタ以外の名前も調べたがこれ以外に何も出なかった。とにかく。お前は今日から英雄マグネッタだ」

「今生きていられるのもほぼハカセのお蔭なんだけどな…マグネッタとか言われてバカにされるのも。」


更に場所は変わり、現在。本部の敷地内で大砲が設置されていた。

「ラミエルによれば、この位置で発射すれば届くとのことだ。同じ星人である俺もどのように考えても間違いはない。」


さすがに詰め込んだように・・・

「狭いんだけど?」

「諦めろ。恨むならスーツのデザインを恨め。」

すぐに大砲に火を付けられ、慌てて心の準備を整える。


気がつけば発射され、空を勢いのまま高速で走らされ、勢いが弱まってきたかと思えば、雲を突き抜けその先の"円盤"に着地する。


「何なんだ・・・ここは・・・!?」

直後、頭痛。

(ぐ・・・痛っ・・・・??・・・僕の……きお…く……)



―――――――その直後


「おい!応答しろ!」

『ザザザザザ――』

「・・・駄目だ、どうなっている?」

「天界だと電波が繋がらないのか?」


現在ドルド、ハカセ、ラミエルでマグネッタの応答を待っている。他の人はすでに防衛任務に出かけ、黒服を除きここにいる人で全員だ。


「いや、天界は電波が届くはずだ。となると、あいつの身に何か起こったと考えるべきだ」

「・・・」

ハカセは思案顔で動かなくなった。



―――翌日


「天兵の動きに変化が無いだと?」

「ああ。いつも通りだった。なあ、おかしいとは思わないか?奴が、マグネッタが寝返ったりしない限り意味が分からない」

「まだだ・・・もう少し・・・待て。」

「ああ。一応こちらも全力を尽くす」


―――その翌日


「・・・遅い・・・マグネッタに何があった?」

「あの時からずっと無線はつながらない。原因も考えたが、確信に至る『実験』は何も実行できない。・・・別の方法を考えた方が」「くっ!!・・・・・・くそっ!!」



―――――それから、メタルオブブラッド・・・いや、メタルランドは、進化し続ける天兵に戦力を徐々に割かれ、天の魔の手がすぐそこまで迫ろうとしていた。

ここは第五都市。第六都市の隣にあり、そのせいで第六都市よりも先に崩壊した所。

その第五都市の先は…いや、繋がった都市から離れた場所は全て…無限に資源が採れる鉱山となっている。遠目で見れば鉱山・・・山の中心にできた『国』。閉鎖的な都市群がメタルランドだ。その先は猛毒によって人間では生きて行けない。そのために機械人が製造され、世界探索の足掛かりとなる・・・筈だった。


「・・・機械人?」

『ザザッ――ああ。こんな時に・・・いや、こんな時だからこその何らかの異常でこちらのも含むすべての機械人が暴走を始めた。機械人はお前達メタルオブブラッドのメンバー、つまり戦える者を優先的に狙っているようだ。』

「チッ・・・!!」


機械人の暴走・・・"敵"が増える、・・・天に行ったまま帰ってこないマグネッタを信じて、俺達は戦うしか・・・『戦って死ぬ』しか無かった。


俺がリーダーを務めた『虎狼ころうきば』は戦力不足により解散となった。

現在・・・グレス一人だけでこの機械人と天兵と機を相手にする。刹那であっても油断すると死を見る事になる。

しかし、油断を一切しないからといって避けられない濃密な『死』の気配は嫌という程感じる。


グレスはふと何かに気付いて空を見上げる。今この瞬間、銃を持つ天兵との戦いで忙しいのに、見ざるを得なかった。


空から二機の『機』ガロンが降ってきている。

ガロン型は大きなショットガンを持っている事が特徴的だ。こちらは一発でも当たれば人生が終わる。動きも素早く、欠点と言えば装甲が薄い事ぐらいだった。手は3本足は1本で、足は常に浮いておりこれをどうにかしないとこちらの攻撃を当てる事すら困難だ・・・


(二匹とも見つかれば負けだ。ここは一匹ずつ・・・・天兵が邪魔をする・・・!!)


一瞬一つ浮かんだ撤退という命の保守選択。しかしこの男グレスは自分が撤退すれば状況がどうなるか知っている。即座にその考えを振り払い、一か八かの賭けに入る。


「俺はここだ!!どこからでも!俺を撃ってこい!!」


素質の覚醒を促す。一般人向けに作られた強化アメを口に入れ、自身の寿命を削り大を守る力を得る。


(敵は前に3匹、左に2匹いる・・・右は1匹か。まずはこいつらを速攻で片付ける!!)


取り回しのよい銃・・・小型で、通常よりも狙いを定めやすいマシンガン・・・をベルトの武器庫から両手に構え、出て来た天兵を片っ端から撃ち尽くす。


(気付かれたか・・・ッ!!このッ・・・くそっ・・・考えがまとまらねえ!・・・機械人まで!?)

撃ちながら考える事は不可能だった。あくまで素質を引き出す物だ。普段の能力は一寸も変わりなかった。

やがて二体が同時にこちらを見つける。機械人は100体近くこちらに向けて銃を構える。グレスの頭が、脳が、隠れる理性が警鐘けいしょうを鳴らす。自分の数倍の力を持つ軍隊でも出さなければ、こちらが相手を倒す事は不可能だと。

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