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マグネッタ EP1 1000年の英雄  作者: スズメのこころ
3/6

英雄の日

確か・・・ここの角を曲がれば。

「あ、あった。」

少し足が止まったが、止めている暇はない。早くあの王子にあわせろってんだ。


白く石のような物体で作られた小さい城。その出入り口には門番らしき兵士が2人ずつ配置されていた。

「おい、僕だ。入れてくれ!」

「関係者以外を立ち入らせる訳には....」


く、門番が邪魔だ。僕が門番をどかす方法を考える前に、目の前の暗くなっている入口から誰かが来る。


「昨日の貴様か。何の用だ」

「ドルド・アーリさん。先日の星人、天界の第一王子ラミエルですか?」

「それが何か。」

この老人は少しの威圧を持って話しかけている。

「あの演説…何だったんだ...?」

小声でつぶやいたがドルドはそれを聞き逃さない。

「入れ。君にはここに入る権利がある。」

「・・・ッ!」


急いで走る。

「待て、少年。焦るな。こういう時こそ冷静に、だ。」

老人は僕を手で静止させる。

「は、はい。」


常にそわそわしながらあの星人が居る部屋へと着く。

ドアを開け、そこを見ると死んでなどいない、生きている星人。『ラミエル』が居た。


「・・・つまり、あの演説は嘘だってこと?」

「そうだ。だから慌てるな。」

「な、何だいきなり来て!」

僕は落ち着かせるために深呼吸を始める。


「天界人だったよな・・・、どうなってんだ?とにかくこっちに天界人が来るって事だよ?」

「その筈だ。我々は持てる戦力で奴等を迎え撃ちたい。出来れば加勢に来てほしい。」

「分かった・・・ただし報酬は払え。」

「この緊急事態、命より惜しい物など無い。」


そう、まさか、もしかするとこのメタルランドは消えてしまうかもしれない。ほかでもない天からの使者によって。

「金は払わないという事ね・・・報酬は世界を救うだけのただ働き。」

疲れたようにケチな報酬について呟く。金は命よりも重い。

「・・・・」


ドルドは突然片耳を押さえる。


「・・・早速仕事だ。これから貴様には崩落した第六都市に行ってもらう。」

「第六都市か」


第六都市はこの第一都市の隣の都市だ。そして、崩落した・・・


「移動手段はこちらで用意させてもらう。何か必要な物があったら今の内に準備しろ。」

アメをまだ貰っていない。しかしハカセは倒れている・・・行くしかない。


「もう準備は出来ています」



―現在、風を切って空を飛ばさせてもらっている。


「これしかなかったとか!?」


「もう少しの辛抱です。そろそろ着きますよ。」

機械人の黒服が操縦しているのだが、これはグライダーのようだ。高さと強風が同時に味わえる・・・

僕がふと下を見ると、崩壊された建物からは光が失われていて、・・・光っている点がぽつぽつ存在する。よく見るとこれが天界の兵士だと分かる。


「ここから降りますよ。」

その瞬間グライダーは急降下を始める。


「うぅぅぅぅぅ...」


大通りの地上スレスレまで来ると僕は飛び降り、グライダーはどこかへ去る。

「では、ご武運を祈ります。」


「多分、ここにいる敵を片付けたら終わりか?」


呟き、僕は急ぐ。


現在ある武器は銃のみ。弾も少なく、何発か撃てばすぐに補充リロードが入る。つまりハンドガンだ。

『メタルオブブラッド』の連中は僕の能力には気がついて居ない。手ぶらで行ってもいいのだが、怪しまれそうなので最低限の武器を貰った。


僕は近くの崩壊したビルの陰に隠れ、奥の兵士を確認する。

(多いな)

見えているだけで5人程。しかし、相手の武装によるがまだ無理な数ではない。・・・アメが無い現状、元々の能力でどうにかしなければいけない。


無言で走り、突っ込む。

「!」「居たぞ!倒せ!!」

天界の兵士が4人・・・天兵は後ろに生えている白い羽で飛び上がり、手に隠し持っていた剣でこちらへ向かってくる。


「金属か」


呟き、使う。

引き寄せと反発・・・それを上手く使い、次々に天兵達の顔を地面へと叩きつけていった。


「・・・目的はこいつらの殲滅かな?」

仕事だと聞いたが、内容までは聞いていない。予想でこう判断は出来るだろう。


『ザザッ……状況はどうだ。』

突然端末に音声が入る。

「5体未満の兵士のグループが多い。これならすぐ倒せそうです」

『了解。何かあったらすぐに伝えろ』

ドルドから小型端末を受け取っている。これはメタルオブブラッドのメンバーには普通に支給されている物らしい。今連絡しているのはドルドだ。


この崩壊し見る影も無くなった空間を探索し、ワンパターンな天兵を蹴散らして行った。

銃などは使う意味も少なく、なぜこの都市がこんなに弱すぎる兵士に負けたのか不思議に思っていた。


(なんの音・・・?)

「剛」を表したような強く響く音が空から聞こえてくる。

見上げると、大きく、丸く、細い手足が合計6本付いた『機械』が空から落ちてくる。


「えっ、うわあああ!!」

落下地点を予想。ここ。・・・即座に走って距離を取る。


大きな音と共にウィーンと機械が動く音。その僕の身長の2倍はありそうな丸い胴体に赤い目は一つで、自在に動く四本の腕が背中のコンテナらしき物から専用の大きい銃を4丁構えた。

「く・・・」


なるほど、こんなのが居ればここは地獄だ。奴の構える銃に一発でも当たればこちらの負け・・・だが相手はとても堅そうだ。


「まずはこいつの欠点を見つけるかな。」

普通の技術じゃこんな物は作れない。しかし相手は天界人だ。ただの予想を言うと、最高の技術を持つ星人の先祖達・・・こんなものが作れてもおかしくない。


とにかく物陰に隠れる。残るアメは1つ。アメにも種類によって効果が違うが、これは前に使った2つのアメとは効果が違う。力の純粋強化・・・しかし今は使う時ではない。仮に今使って勝てる保証がどこにある。


(…試すか)


銃4つに狙われる危険地帯に飛び出す。

一瞬その機械は驚いたように動かなかったが、すぐに銃を乱射してくる。物量だけで言えば四倍。


「う、」

アメの強化が無い今、反発をうまく使えずに弾が掠る。しかし直撃は辛うじて避けられている。


(来たっ!!足を引く!!)

足元まであと数メートル。僕はここからの方が良いかもしれないと思い、引き寄せで足を強引に動かす。

奴の体重はこの細い足によって支えられている。もしかすればこれで・・・

「・・・!?」


こけない。弾を磁場でかわしながらよく見るが、足の関節部に何かがある。前からは見えなかったが、ガラスのような膜の先に紫色に光る物体。


「・・・(これが役に立つ時が来たか)」

銃など使った事は殆どない。使う時など、バグを犯す時ぐらいしかないだろう。それか自衛の手段としてだ。


僕はハンドガンを即座に構えて照準を合わせずに撃つ。

運か才能か、その弾は膜に命中し、さらにその先の紫色の物体を砕いた。

その左足はバランスをとる術を失い、崩れる。つられて支えられていた丸い胴体は後ろに倒れた。しかし腕は死んでは無い。今も視界から外れた死角に向けて銃を乱射している。しかし所詮死角、流れ弾以外当たる事はない。


僕はすぐにこの機械を故障させようとする。だが頑丈。磁力程度でこの機械は止まらない。


多分足は一本壊した・・・ならこの隙にもう一本の足も壊しておくことにする。

ハンドガンをその紫に合わせ、撃つ。紫の物体を覆う膜の破片が手を掠めたが、ただのかすり傷だ。


・・・僕はそこに乗り込んで目を封じる事にする。


引き寄せを使い、丸い胴体を登っていく。

(何とか。)

この登る間、一発でもこちらに銃弾がやって来れば負けている。それだけ自分の力の限界が感じられた。


登り切った直後、その巨体が銃を降ろしむくりと起き上がろうとしている。

「急がないと!」

走る。ハンドガンは右手に持ったまま走っている。


結局、僕は転がり落ち、その間に奴は腕二本を足代わりにし、残った腕でコンテナから二つの剣を取り出す。

(くっ、結局足だけか!)

この状況、敵の武装が遠距離から近距離になっただけで当たれば終わりという状況は何一つ変わっていない。

腕をよく見るが何もない。もっと言えばその腕には関節がない。どこでも曲げられる自由な腕だ。


「・・・」


沈黙、考える。


今も奴は腕を足にしてこちらへ接近している。


アメを取り出す。言うならば、このアメは制限時間付きの強化剤。

「武器が剣なら・・・」

そのアメを直ぐに口の中へ放り込み、前使ったアメの包み紙と合わせて三枚を放り投げる。ひらひらとその紙は地面へと落ちていく。


僕はその剣をかわす気でいる。

「来い」


すぐにその機械は右手からその斬る事よりも叩く事に特化した剣を振り下ろす。動きは少しだけ遅く、僕に考える時間をくれた。

当然僕はギリギリに右に避け、避ける途中でその剣に力を思いっきりかける。この力をかけ過ぎた金属はどうなるか・・・それと、そのかけ過ぎた金属同士が近くにあるとどうなるか。僕にはこの力と金属に囲まれて生きて来た。だから知っている。


(あと一つ・・・!!)


即座に自分はその剣へ飛び乗る。

剣を辿って走っていく。

やがて敵は剣を振り上げるが・・・・落ちるはずがなかった。手を付けて固定させているのだ。落ちるわけがない・・・


「見えたっ!!」

すぐに手を盾の方へ向け、磁石のチカラで飛び乗る。

そして、片手で盾に力を与え続けた。


まだ終わらせない。剣の方に戻り、今度はその機械の体に飛び乗る。

すぐに飛び乗った手を放し、落ちながら両手でその体に磁力を浴びせ続けた。

丁度その時、効果が弱まって来た。僕は落下する。



しかし、敵であるあの機械の体は言う事を聞かず、動きを止めた。


この波乱の1日は英雄の日と呼ばれる事になる。

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