↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マグネッタ EP1 1000年の英雄  作者: スズメのこころ
PR
1/6

メタルランド

「全ての人間に告ぐ。最早我々のメタルランドは増え続ける犯罪 暴力的犯罪者(バグ) によって制圧され尽くされている!現状我々にはこの増え続けるバグをどうする事も出来ない。よって、我々は、対バグ組織『メタルオブブラッド』を結成する。対バグ組織とあるように、バグの上昇傾向を食い止めるべく設置した組織だ!」


ブチッ。

「あっえっ」


せっかくどこかの偉い人の演説聞いてたのに・・・

僕は人間だ。名前はまだない。というのも、何故か過去と一緒に忘れている。誰に聞いても分からないという返答しかない。唯一分かっている事と言えば、人間で、少年で、手から謎の力が使えるぐらいだ。


「な、直れ直れ!」

必死にテレビという発明品のリモコンとやらを握るが、つかない。テレビを叩くが・・・結局諦め、途方に暮れる。


この世界はメタルランド。名前の通り金属で溢れる世界だ。

人間の他にも機械人、そしてこの世界の殆どの物を作った星人がいる。星人は簡単に言えば発明家のようなものだ。


そして、その発明品を悪用する。機械人、人間、星人。三人の中で割合が多いのは機械人と人間だ。星人は物を作る事にしか興味が無く、犯罪は全くやらない人種だ。

なぜ機械人が犯罪を起こすか?それは機械人の人権を誰かが作ったせいで、開発者達が自由意志というものを持たせたかららしい。


「はぁ・・・」

僕は今、外に出てある人物の住処に向かっている。

「てめええ!コレが見えねえのか!ぶっ放すぞ!」

ああ、早速バグが居るな。僕の力を見せるべきか。奴は屋台の店主に向かってピストルを突き付けている。


「・・・」

「!?・・・ってってめえ!!」

奴が手に持っているピストルを一気に引き寄せる。その人間の手からは強引に離れる。一瞬手を痛めるような動きをした後、ピストルが飛んでった方向を見て怒鳴る。


「さて、はやくそいつ捕まえちゃってください」


僕はその虚勢に怯える筈が無く、店主らしき人に指示をする。このピストルは奪って先程のある人物に見せるつもりだ。


僕はすぐにその場を去り、その人物の住処へと急いだ。

カラン、カラン。防犯用のベルが鳴る。

「おーいハカセ」

「ああ、何だ、お前か。」


そう、この赤く染められた髪と大人っぽい背とだらしなさそうな顔の男が星人である「ハカセ」だ。

「ちょっと途中でコレ見つけたから、何かに使ってよ」

「ありがたい。」

ハカセは丁寧にそのピストルを貰う。

「で、何か用があって来たんだろ?」


「あの演説の内容何だったか教えて?」

「そんな事で俺を呼び出すんじゃない。というかあんな組織一つでバグが抑えられるわけないだろう。」

「あー確かにそうだね」


ここで僕にしか無い能力の説明をしよう。

僕は磁石のように何か金属を引き寄せたり、反発させたり、融合させたりできるようだ。

融合というのはハカセの作るアメを舐めたら数十秒の間新しい力が使えるようになる。

僕の手が磁石であるその事を知っているのは、ハカセと、僕だけだ。ちなみに他の人間がそういった能力を持っているという話は聞いた事がない。大抵が物による効果で説明がつくためである。


「じゃあ、なんかテレビ壊れたから、あとで来てねー」

「まーた壊したのかお前は!」


足早にハカセの住処を出る。


星人の特徴は頬に三つの黄色い星マークがついていること。その気になれば人間が星人のフリをすることもできるが、人間がするメリットは無いに等しい。


僕が帰り道に外を歩いていると、見慣れない光景を発見した。

人が、光を発しながらゆっくりと落下している。これは何を、どんな代物を使ってもできるような事ではない・・・


「・・・ん?」

まさか、僕の力に反応して引っ張られているのか?

・・・機械人。真っ先にこれが浮かんだ。

機械人は殆どを金属で作られており、僕の力に反応して引っ張られる事もある。

しかし、引っ張られた機械人はなぜか動かなくなる。


しかし、今は何も意識していないノーマルな状態。それなのに、なぜこちらへ来るのだろうか。

見た所、その人は気がついていない。倒れて気を失ったかのように体を動かさない。

僕は走った。この見慣れない現象に興味を持っただけだ。ハカセに見せよう。そんな思いがあった。


近くまで来ると、その人の周りは人混みでいっぱいで、どれも興味があってこちらへ来たのだと察する。

「すみません、どいてください。」

「ん?これは俺の獲物だ」

「嘘を言わないでください」


話しかけて来たのは髪がブロンドの男性。白いコートを着ている。


「お前もなんか興味があってここへ来たんだろうが、ここは通さねえ。暗黙の了解だ。」


確か、興味があって何かに近づくのはいいが、それに干渉する事は駄目だとかだったよな・・・

「うーん・・・どうするかな」

今は大人しく下がり、何か方法を考える。


僕は中でも効き目の強いアメを舐め、遠くに見える廃ビルに向かって得た力を使う。

すると、廃ビルは何かに強く引っ張られるように空へ上がり、調整の後、落ちても構わない場所へ、聞こえるように落下させた。


どしん。と大きな音がした。ギャラリー達はすぐに音の方へ向かう。

(丁度いい感じに決まったな)

そう、あの人に群がるように居た観客は謎の音の方へと興味を持ち、全員がそちらへ向かった。

誰一人こっちへ残った人が居ない。絶好のチャンスだった。


「さて、連れていきますかな」


もうすでにゆるやかに落下し終わった人は、光を発さず、気を失っていた。

僕は適当にその人を抱え上げ、ハカセの元へ向かう。


何事も無くハカセの住処へ着いた。カラン、コロンとベルの音が鳴る。


「ってまたお前か・・・誰だソイツは?」

「ちょっと色々と。どうやら外から降って来たらしいんだけど」

「・・・はぁ。」

「何だその溜め息は、とにかくコイツを預けてくれ」

「ああ、分かったよ。バレたらどうなる事か・・・」


ハカセは参った様子でこの人を運ぶ。


「ああ、一応上がってくれ。どうせ暇だろう?」

「確かに僕は役職無しだけど。」


役職無し。要するに無職だ。ではどうやって生活しているのかというと、ハカセに色々な物を提供して稼いでいる。ハカセはジャンク屋をやっており、実質二人で協力し合って生きている。


僕は裏口からハカセの家兼ジャンク屋に出入りしている。

客の場合はしっかりと正面から入ってこいとのことだ。


「よっ・・・と、この人が目を覚ますまで、待ってもらえるか?丁度俺には予約が入ってるんだ。」

ハカセはそれほど貴重でもない、人工羽毛のソファに抱えた人を降ろした。

「何かあったら言うよ」

「じゃ、そういう事で。」


ハカセが手を振りながら店へと歩く。

僕は待つ。とりあえず喉が渇いたなと思い、その場を離れて冷蔵庫を開ける。


「水しか無いな」


水を金属製のコップに注いでソファの場所に戻ってくる。ちびちび水を飲んでると、やがてその人が目を覚まし、体を起こす。


「!?」

「ん?・・・起きたか、ちょっと待っててな。」


しかしその男の子は一瞬すら待たずに、僕を震える人差し指で指し、落ち着かない様子で、

「おおおお前は誰だ!」

「名前なんてもんはないよ。忘れたからな。」


一応普段と同じように対応する。


「じゃじゃじゃじゃあここは何所だ!」

「ここはジャンク屋だ。ハカセ経営のな。ところで、」

「お、お前は人間か!」


僕の話を遮って、少し怯えながら質問しているようだ。

「そ、そうだ。そっちこそ星人の男の子みたいだけど」

「そうか・・・はぁ・・・そうか・・・!!」


その星人の男の子は急に決意を固めたような顔をする。


「そこの人間、今からお前を抹殺する!」

今、その言葉に驚いたが、まだ、口先だけだと思うと少し落ち着いた。

「冗談はやめろ。例え冗談じゃなくても僕はそっちに何も悪い事はしない。」

こういう相手は慣れた。日常的にバグが発生し、その対処マニュアルまで分厚く作られる程だからである。


「嘘だ!こうしてぼぼぼ、僕を拉致監禁してるじゃないか!」

少年は気が動転しているのだろう。一向に話が進まない。

「拉致は認めるが監禁なんてものはしてないよ。ああ、面倒くさいし一緒にハカセの所へ行くか。」


強引にその男子の手を引いて、ハカセの居る場所へ急ごうとするが、その男の子は手を振りほどく。


「はっ放せ!僕はお前に最大限の譲歩をしているのだぞ!」

「あんまり偉そうにしてると、この世界じゃ生きていけないぞ。それに、譲歩の欠片もないじゃん」

「キサマっ!!」


その子供は手をズボンのポケットに突っ込み、何かを探す。

「な、無い!?ぬ、盗んだなっ!この外道が!」


足音が聞こえる。わざわざ音を大きく鳴らして。

「ああ、うるさくしてたからハカセの方から来たか」

「君、もう少し音量下げられないか?俺はねえ、大事な取引をこの雑音のせいで逃したんだよ」


物凄い威圧を放ちながら少年の元へ迫りくる黒い影。

「さて。口を塞いでもう一生喋られないようにするか、それとも自主的に喋らないと誓うか、どれが良い?」

「たかが威圧、高貴たる僕には効かん!!」

「・・・」


ハカセがそのままジャンク屋まで走って行ったかと思えば、すぐに戻って来た。手には糸を通した針を持っている。

「一生喋らないようにする。そこのお前は下がってろ」

「なあ、そこまでする必要ないんじゃないか?どれだけ大事な取引だったんだよ」


徐(おもむろ)にハカセはポケットから電波発信機を取り出し、電波で僕に状況を伝える。

(ほんとうはうまくいった。しかしこいつにはおしおきがひつようだ。)

僕は普通の人間には出来ない芸当、電波の受信を行える。ハカセによると、どうやら僕は存在する磁石の力を無意識に利用して簡単な電波を読み取る事が出来るらしい。


ハカセがその電波発信機を仕舞うのを確認すると、するりと少年から離れようとする。


「何をしたっ!!まさか・・・洗脳かっ!!クソッ!!やられた!」

勝手に洗脳とか自己解釈しているが、何かの真似だろうか。

「そんなことはどうでもいいだろう?・・・悪いのはお前なんだから・・・」

「だからそんな脅しに乗る物・・・」

唐突に空いた手で少年の口を押さえ、何かを耳元で囁(ささや)く。


「・・・」

少年からはもう威勢の良さが消えており、少年は座り込む。


「なあ、何を言ったんだ。さっきまであんなにうるさかったのに」

「ヒミツだ。」


場はリセットされる。針はどこかへ仕舞い、僕とハカセと少年が金属で出来たテーブルを囲む様に座っている。

「君は星人。空から降って来たで合ってるよね?」

「覚えてないけど・・・そうだ。」

「そういえば僕の力に少し引っ張られたように見えたよ」

「コイツに、力?何も付けてないじゃないか」

下から上まで少年は僕をじっくり見るが分からないようだ。


「この人は過去の記憶を無くしていてね。簡単に言うと磁石人間だ。」

「磁石?人間には不可能だ!」


バン、と何かに反応したかのように机を叩く。


「まあまあ。空から降って来たのに落ちるのはゆっくりだったのは何かあるの?」

ハカセが問う。

「だああああ!もう!僕から情報を抜き出そうったってそうは行かないぞ!!」

しかしその星人の少年は暴れるようにそれを嫌がる。

「アレ、されたいのかい?」

「・・・・・・」

ハカセが差し込むように発した一言で少年は一気に黙り込む。


「僕はこの遥か上にある天界の王子だ。僕の発明品である飛行ユニットを試していたら落下して安全装置が発動したという訳だ。」

「こんな子でもそんな発明が出来るのか。やっぱり星人はおかしい。」

「それは俺にも言っているのかな?ねえ?」

また怒りモードになりそうなハカセを置いて、僕は更に質問をする。


「ああ、平和だ。何とかしてこいつを送り返せば金とかたっぷり貰えるんじゃないか?」

「星人が天に行くなんて話聞いた事ないが。まず今の技術じゃ不可能だろう」

「という事は、適当にこのジャンク屋の助手にでもすればいいんじゃないかな。僕は無関係って事で。」

金にならないと分かったためすぐにこの場を離れようとする。しかし、手を驚異的なスピードで掴まれる。


「逃げるのなら、協力関係は取り消しにす」

「やるって。流石にそんな事になったらこっちが生きて行けない。」

今のハカセは少し怖い。普段は優しい星人なのだ・・・


「で、他に何か情報は?」

仕方なく輪の中に加わる。

「僕から話せる事はもう無い。天界の情報は禁忌だ、喋れば王子である僕でも容赦なく殺される。」

平然と、無表情で言ったその顔には一種の怯えが見えているように感じる。

「はぁ。一応、俺の助手ってことにするよ。お前は何かあったらまた来てくれ。いいか、人だけは絶対に連れてくるなよ」

「はいはい。じゃあもう人は連れてこないよ。」


裏口からここを出る。しかし、家に帰らせては貰えなかった。

カラン、コロン。扉を開けて数秒。派手な衣装を来た女性と目が合う。どうやら着ているその衣装は鎧の様だ。

「誰、客ならあっちだけど」

「特徴・・・一致か。成程、君が...」

狙われるような事は一切してないが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。