ななちゃんの秘密
ななちゃんの大好きなお姉ちゃん、かなちゃんのお誕生日。
ななちゃんは、お姉ちゃんに内緒で何やらこそこそしています。
『なな、何しているの?』
かなちゃんに聞かれました。ななちゃんは、
『なにも、ちてないの』
舌っ足らずの、ななちゃんは一生懸命お姉ちゃんに内緒にします。かなちゃんは、笑って見逃してくれました。
ななちゃんは、お姉ちゃんに内緒にできたと思ってニコニコしています。
ななちゃんは、真っ白な画用紙に赤いクレヨンでクルクルと何かを描いています。
かなちゃんに喜んでもらおうと一生懸命頑張る、ななちゃん。
赤いクレヨンでクルクルと描き終わったのか、緑のクレヨンに持ち変えて何かを描き足す、ななちゃん。
『かけたぁ』
描きあげた絵ともうひとつ秘密のものを持って満面の笑みで、かなちゃんのところへ急ぐ、ななちゃん。
かなちゃんの傍で、ななちゃんが じっと立っています。かなちゃんが気付き声をかけました。
『なな? どうしたの』
ななちゃんは、もじもじしながら近くに来て、かなちゃんに
『おめでと』
と言って、手に持っていた物を渡しました。かなちゃんは笑顔で受け取り、ななちゃんに
『なな、ありがとう。何かなぁ? 苺を描いてくれたの?』
と言うと、ななちゃんは嬉しそうに
『うん』
と笑顔で答えました。かなちゃんは
『なな、上手に描けたね。この苺の飴もくれるの?』
かなちゃんは笑顔でななちゃんに聞きました。
『おねえちゃんのなの』
と言いました。かなちゃんにあげた苺の飴は、ななちゃんが大好きな苺の飴だったのです。
かなちゃんは、ななちゃんの優しさが嬉しかった様子です。
ななちゃんの秘密な事は、ななちゃんが大好きな苺の絵を描いて大好きな苺の飴をあげることでした。
幼いななちゃんには、お姉ちゃんの好きなものを描いてあげるということが難しかった様子でした。もう少し今のままの天真爛漫な、ななちゃんでいてほしいと思っているお姉ちゃんのかなちゃんでした。