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『ちょっぴりモーニング』

雅「今回は100話記念ということで、特別編ですわ!」






「ごきげんよう、麗華ちゃん♪」


「ちょっと、10分も遅刻しているわよ」


 そう言ってはいますが、言葉とは裏腹に彼女の顔は、今日も晴れやかに輝いていますわ。

 何でもない、登校前のただの待ち合わせ。

 でも、それがわたくしにとってはちょっぴり嬉しかったりもして……


「何、ニヤニヤしているのよ。早く行くわよ」


「あっ、待ってくださいな!」


 先程の考えが表情に出てしまっていたようです。反省ですっ。

 麗華ちゃんはスタスタと先に歩きだしてしまったものの、その歩幅は狭く、どうやらわたくしに合わせてくださっているようです。

 わたくしは少し小走りで彼女に追いつき、隣を歩きます。

 今日の麗華ちゃんは、手入れの行き届いた長い髪をストレートに下ろし、歩くたびに毛先がゆらゆらと揺れています。

 ふわりと香る彼女の髪の香りが、わたくしの鼻を刺激し……あら?


「麗華ちゃん、麗華ちゃん」


「はいはい、何ですか?」


「シャンプーをお変えになりましたか?」


「当たり、よく気が付いたわね」


「麗華ちゃんの事ならなんでも知っていますわ!」


「はいはい、足元気を付けてね〜」


 麗華ちゃんがわたくしの進行方向を手で塞いでおります。

 わたくしは「どうしてですかっ」と少しふくれっ面で抵抗しますが、すぐに彼女の意図に気が付きます。

 足元に、先日降った水溜りが出来ております。

 わたくしが水溜りを見ておりますと、彼女は少しおどけた感じにわたくしの事をからかってきました。


「どーせ、ぽちゃんってするでしょ?」


「しませんわよ! もうっ、子供扱いして!」


「こっちは、大人なのにね?」


「きゃっ、どこ触ってますの!!」


 麗華ちゃんの綺麗な指がわたくしの胸に優しく触れます。別に嫌では無いのですが、ちょっとこそばゆいです。

 彼女は時折このようにして、わたくしの胸が大きい事をからかって来ます。


(まったくもー! まったくもー! ですわ!)


「またぽっぺがぷくぅ〜ってなっているわよ?」


「ぷくぅ〜!」


「ていっ」


「ぷぅ〜〜〜!!」


「ふふっ、風船みたい」


「もう! 朝から何をいたしますの!」


 麗華ちゃんに膨らましたほっぺを、潰されてしまいました。

 それを見て彼女はにっこりと微笑みます。そんな彼女の顔を見ていると怒る気も失せてしまい、それどころかちょっと特にした気分になってしまいました。


 麗華ちゃんはそんなわたくしを他所に、カバンからペットボトルを取り出し、口に含みます。

 そして、そのペットボトルをわたくしに差し出し……


「貴女も飲むかしら?」


「飲みますわ!」


「はい、どうぞ」


 わたくしはペットボトルを受け取り、その縁に目を凝らします。


(関節キッス、麗華ちゃんと関節キッス……ふふふっ)


(……って! わたくしは何を考えてますの!?)


 彼女に悟られないように、何事も無かったかの様に、ペットボトルに口を付け中身を飲みます。


「苦いですわ……」


「ノンシュガーの紅茶だもの、そりゃそうよ」


「なぜ、このような物を飲ませますの?」


「貴女自分で飲むって言ったんじゃない!」


「あ、そうでしたわね」


「もうほら、飲まないのなら返して」


 そう言われ、わたくしは素直にペットボトルを返します。

 麗華ちゃんはペットボトルを受け取ると、まるで「何も気にしてない」と言いたげに、ペットボトルに口を付け、紅茶を飲み干してしまいました。


(あの、空のペットボトルくださらないかしら……)


(……って! ですから、わたくしは先程から何を考えていますの!!)


 わたくしがまたもや変な事を考えておりますと、麗華ちゃんは「そういえば」と呟き、カバンから体操をチラッと見せます。

 今日は授業で体育のある日なのです。


「体操着は持ってきたかしら?」


「下に着て来ましたわ!」


「まぁ、ブラもスポーツブラだったしね」


「どうして知っていますの!?」


「さっき、触った時に」


「そんな判別しないでくださいな!」


「しかも、カバンの中に普通のブラも入っているわね」


「どうして、そんな事まで分かりますの!」


「貴女いつも体育の後、スポブラから普通のブラに変えているじゃない」


「経験則からくる合理的な推理でしたわ!」


「みーちゃん、難しい言葉知っているのねー、えらい、えらい♪」


「褒められても、あんまり嬉しくないですわ!」


「あ、見て見て、篠原《しのはら》さん」


「ここにきて明かされるわたくしの苗字!」


「ほら、これが酸素よ」


「どうでもいい情報でしたわ!」


 麗華ちゃんの"おふざけ"に付き合っておりますと、酸素が足りなくなってしまい、わたくしは息切れをしてしまいました。

 ちなみに、わたくしの本名は篠原《しのはら》 雅《みやび》と申します。

 ついでに、麗華ちゃんの苗字は宮本《みやもと》です。


(ふふっ、こっそり仕返ししちゃいましたわ!)


 わたくしがそう満足しておりますと、学校が視界に入り、楽しい登校時間が終わりを告げようとします。

 ですが、その時……



キーン、コーン、カーン、コーン



 予鈴が鳴り出してしまいます。麗華ちゃんは時計を確認しますと、わたしの腕を掴み走り出します。


「ほら、急ぐわよ」


「あ、ちょっと待ってくださいな! 麗華ちゃん!」


 こうして、わたくしのちょっぴり幸せな朝は、チャイムの音にかき消され、とっても幸せな1日が始まったのです!





おわり!ですわ!






雅「遅刻はギリギリしませんでしたわ!」


麗華「威張るところじゃないでしょ!」





〜おまけ〜




【篠原《しのはら》 雅《みやび》】


今日も元気なみやびん。身長は1話に書いた気がする。子供の頃のあだ名は「みーちゃん」

ブラのサイズはI65。その破壊力でこの小説の主人公になる。

今日の髪型は、ゆるふわウェーブロング。コテを使って、頑張ってウェーブにしたらしい。(遅刻したのはそのため)





【宮本《みやもと》 麗華《れいか》】


今日も絶好調な麗華さん。身長は1話に書いた気がする。みやびんよりは大きい。

子供の頃のあだ名は「れいかちゃん!」ブラのサイズは内緒。

今日の髪型はストレート。前髪も下ろしている。前日にしっかり準備していた為、ヘアメイクにはそれほど時間はかからなかった様子。




〜作者から〜


ここまで、読んでいただきありがとうございます!

誠に勝手ですが、個人的に目標としていた100話を達成出来たため、明日からは1話更新となります。

ですが、いつも通りのゆる〜い感じはそのままですので、これからもよろしくお願いいたします!



麗華「好評なら、またこうやって長いの書けばいいじゃない」


雅「そうですわよ! これだって"1話"ですわよ!」

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