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魔王の長女に転生したけど平和主義じゃダメですか?  作者: 初瀬ケイム
最終章 まぞく
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第六十四話 責任とってくれますか?

「みんなは、人間についてどう思う?」


 一ヵ月前。

 幼女たちに"やってもらいたい事がある"と切り出した日の夜。


 俺はグリムの屋敷に集まった幼女たちを前に、そう問いかけた。


「……人間について?」


 シャルが復唱する。


「レティ殿? 今日は一ヵ月後に王都で何をするかの説明をして頂けるのでありますよね?」


 ロロが問う。


「あぁ。そのことに関係する話なんだ。」


 俺は頷く。


「ふん! 決まっておろう。」


 グリムが苦い顔で答える。


「人間は……"敵"じゃ。」


 そう答えた。


 ……まぁそうだよな。

 戦争が終わったといっても、魔族と人間の確執は深い。

 それにこの子たちにとっては"親の仇"でもあるからな。


 シャルやロロは、グリムの言葉に同意はしなかったが……しかし、心の内には同じ気持ちがあるのだろう。

 何も言わず、ただ俯いていた。


 だが……


「アイリスはどうだ?」


 問われたアイリスは、びっくりした顔をしている。


「えっとね……おねーちゃん、怒らない?」


 アイリスは言い淀む。


「あぁ……怒らないから、正直な気持ちを教えてくれ。」


 俺が促すと、アイリスはゆっくりと口を開いた。


「わたしは……仲良くしたい。アマツハムに住んでた頃、お祈りに行ってた教会の司祭さんは、おねーちゃんの病気をすっごく心配してくれたの。だからね……仲良くしたいなって思うの。」


 アイリスがそう答えると、コロネも続ける。


「ころねもアイねぇとおんなじなの。このまちにくるおきゃくさんも、ころねたちにやさしくしてくれるの。」


 そう答えて、俺を見るアイリスとコロネ。


 俺はそんな二人を……優しく撫でてやった。


「そっか……。そうだよな。」


 俺はそう言って目を細める。


「自分も……そうでありますな。お客さんが料理を美味しいと言ってくれると、やはり嬉しいであります。人間も魔族も関係なく。」


 ロロが答える。


「……わたしも、……おなじ。……わたしの翻訳した本を、……喜んでくれると、……嬉しいよ。」


 シャルも同意した。


 一人納得できないといった表情のグリムに、俺は尋ねる。


「この前さ、グリムの店に来てた老夫婦、覚えてるか?」


 言われてグリムは思い出したようだ。


「娘さんへの土産を選んでたじいさんに、グリムがあれこれ聞いて選んであげてただろ? 店を出るときにはすっごく感謝してたよな? ……それでも人間は"敵"なのか?」


 俺に言われて、グリムは複雑な表情を見せた。


「人間の中にも、良いヤツはいっぱいいる。逆に魔族の中にも、悪いヤツはいる。一緒なんだ。結局。」


 そう。

 "力"の有り無しなんてちっぽけな差だ。


「妾だって……出来ることなら仲良くしたい……。じゃが、そう簡単にはいかぬじゃろ? 現に妾たちは、この街で魔族であることを隠しておる……。」


 うん。

 グリムの言うことはもっともだ。


 でも……

 いや、だ か ら こ そ

 この計画を成功させなきゃいけないと思う。


「一ヵ月後、王都で大勢の人の前で……俺らが"魔族"だとバラす。」


 俺の言葉に、ミリィ以外の全員が驚きの表情で俺を見る。


「なんじゃと!?」


「……どういうこと?」


「本気でありますか!?」


 混乱する幼女たち。


 俺は計画の詳細を、幼女たちに伝えた。


「……っていう計画だ。」


 詳細を聞いた幼女たちは、納得はしてくれたようだが……しかし不安もあるようだった。


「……もし失敗したらどうするのじゃ?」


 グリムが不安げに問う。


 "魔族"だと名乗った上で、この計画が失敗したら……そうなればもうこの街では暮らせないだろう。


 だが、それでも……


「もし失敗したら、俺が全員一生面倒見る! この街を出て行くことになったって、みんなが楽しく暮らせるとこを絶対見つけてやる! だから……頼む!」


 そう言って、俺は深く頭を下げる。


「……約束じゃぞ?」


 グリムの声に、俺は頭を上げる。


「約束じゃぞ? もし失敗したら、レティーナが責任持って、妾たちを一生面倒見るのじゃ。それならば……妾も手を貸そう。」


 頬を染めてそう言ったグリムに、俺は笑顔で答える。


「あぁ。……グリム、ありがとな!」

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