表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の長女に転生したけど平和主義じゃダメですか?  作者: 初瀬ケイム
最終章 まぞく
61/126

第五十六話 夕焼け空の再会

 ミリィがイナガウ・アッシュに来てから三週間。


 つまり"祭りの日"まで一週間に迫った今日。


 俺らは例の"これから毎日練習"ってのを欠かさず続けていた。


「よっし! じゃあ今日はここまで!」


 俺は右手を握り、人数分の"スポーツドリンク"を出す。


「お疲れー。水分とっとけよー。」


 俺は幼女一同にドリンクを手渡していく。


「うへぇ~。しんどいのじゃ~。」


 グリムがぺたんとお尻を床に付けて嘆く。


「でもみんな、いい感じになってきたね!」


 ミリィも四つん這いで息を荒げながら、それでも笑顔で言う。


「……うん。……大変だけど、……楽しい。」


 シャルは頬を染め、達成感を噛みしめるように告げる。


「そうでありますな! かなり上達したであります!」


 ロロも汗をタオルで拭いながら、笑って言う。


「本番までに、もっと上手にならなきゃ!」


 アイリスは強い意志を秘めた瞳で宣言する。


「ふぉー! たかみをめざすの!」


 コロネは握り拳を作った両手で万歳しながら目を輝かせる。


 俺の出した"Tシャツ"と"短パン"を汗だくにしてスポーツドリンクを飲む幼女たち。


 なんか青春って感じだなー。


 そして幼女の汗の匂いが……おっと、これ以上は言うまい。


「みんな……大変だと思うけど、頑張ろうな!」


「もちろんだよー!」


「がんばるの!」


「……負けない!」


「精一杯やるであります!」


「当然なのじゃ!」


「きっと成功させようね!」


 俺の檄に、力強く応える一同。


 まぁ何にせよあと一週間だ。

 "その日"に笑えるように、今は練習あるのみだな!


***


――翌日、夕暮れ時。


 今日も人で賑わったイナガウ・アッシュの街を、俺は歩いていた。


 この街にもだいぶ住人が戻ってきたようだ。

 これからさらに人は増えていくだろう。


 各店舗の経営は順調。

 そろそろ人を雇うことも考えた方がいいかもしれない。


 宿屋の部屋も、今は二十部屋しかないが、

 領主に許可を貰って増築しといた方がいいかな。


 ……あ、二十部屋じゃないか。

 今は諸事情あって"一部屋は常に埋まってる"から、使えるのは十九部屋だけだっけ。


 ま、それは追々考えよう。


 さぁて今日も幼女たちと"練習"の時間だ。

 俺に出来るのは、練習環境を整えることと、応援すること。

 あとは当日の準備くらいしかない……。


 ならせめて、出来ることを全力でやろう。


 そんな思いで街を歩いていた俺の前方に――


 夕暮れから夜へと、闇が深さを増すその裏路地に――


 ――"ソイツ"は立っていた。


「どうも。お久しぶりで御座います。レティーナ様。」


 大柄な初老の男。


 見た目には少しガタイの良い、普通の男にしか見えない"ソイツ"は――


「~~ッ!!?………"テノン"!!?」


 魔族復権推進派の長。


 俺らの持つ【煉獄】の呪いを狙う――

 つまり俺らの"命"を狙う者たちの頭領。


 ――テノンが、そこに立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ