第五十四話 湯けむりの天使たち
「さて、じゃあミリィの紹介も終わったところで……」
俺はオホンと咳払いをして
「エリノア! "例のアレ"、準備できてるか?」
ミリィの分のジュースを運んできたエリノアに問う。
「フフフ。ばっちりですわ!」
そう言ってドヤ顔で親指を立てる。
……そう。
俺が王都に赴く前。
エリノアには特命を与えていた。
「ちょうど昨日、"工事"が終わったところですわ! まだ誰も"入って"ませんわよ。」
そう言って、宿屋一階の奥……
俺の出しておいた"暖簾"が設置された部屋を指差す。
さて……ここ数日で不足気味だった"幼女分"をたっぷり補充させてもらうとしよう……!!
***
「すごーい! おっきぃ!!」
「ひろいの! およげそうなの!!」
アイリスとコロネのはしゃいだ声が、広い空間に反響する。
宿屋一階。
エリノアに命じて突貫で作らせたそれは……"大浴場"だ!
そうだとも!
宿屋っつったらコレがなくちゃな!
「で? どうすればよいのじゃ?」
グリムが俺に問う。
「ん? どうすればって?」
俺が問い返すと、グリムは溜息交じりに告げる。
「お主のことじゃ。どうせ妾たちに"身体を洗ってくれ"とか言うつもりじゃろ?」
顔を赤らめながら言うグリムに、しかし俺は首を横に振る。
「オイオイ、そんな事言わないぞ?」
そう言って俺は右手を握り、"ボディーソープ"と"シャンプー""リンス"を出現させる。
「正解は……"俺に身体を洗わせてくれ!" だ!」
***
「……んっ。……レティ、……だめっ。」
俺はシャルの背後に座り、身体を洗う。
シャルの白い肌は、すべすべで触り心地抜群だ。
思わず頬ずりしたくなる。
「……レティ? ……わたしの背中……気持ちいいの?」
おっとイカン、無意識に頬ずりしてた。
「背中も好きだけど……こっちも好きだぞ?」
「……ひゃぅっ!」
背中から胸側へと手を滑らせると、シャルが可愛い声を上げる。
胸元を洗う指の先が、突起に当たる感触……その突起の上を指が往復する度、シャルが甘い声を漏らす。
「……も、もうだいじょぶ。……あとは自分で洗う。」
そう言って、赤くなった顔を逸らした。
「んじゃ、次はロロな。」
「い、いえ! レティ殿に洗って頂くなど……! むしろ自分がレティ殿を洗わせて頂かねば!」
「いいの! 俺が洗うの!」
そう言ってロロの背後に座る。
緊張しているのか、固くなっているロロ。
そんなロロの緊張をほぐすように、揉みながら洗っていく。
「うひゃぁ……! レ、レティ殿!」
肩から背中へ。
そして腕を上げさせて脇を洗う。
ロロの身体は、細いけど筋肉質な感じだ。
「ほい、脚も。」
「ひゃああ!」
ロロの脚を開かせ、内腿を洗う。
おぉ! この辺は意外と柔らか……
「も、もう十分でありますよ! これ以上は……その……ダメであります!」
ロロはそう言って脚を閉じてしまった。
「それじゃ今度はグリムの番だな。」
「うぅ……妾もか?」
長い髪をタオルで纏めたグリムは、恥じらいの表情を見せる。
「ほら。綺麗にしてやるから。」
「うぅ……。」
俺はグリムの二の腕から腕の先へと泡を広げていく。
目の前にある首筋からうなじにかけてのラインがとても色っぽい。
そのまま今度は脚へ。
脚の指先からふくらはぎ、膝裏、ふとももへと昇る。
「ちょっと腰浮かせてくれ。」
「ん、こうか? ……きゅ!?」
お尻を撫でると、グリムが声を上げた。
「お、お主! 手つきがヤラシイのじゃ!」
「えー? 普通に洗ってるだけだぞ?」
赤い顔で訴えるグリムを制し、俺は可愛いお尻を撫で回す。
「も! もうよい! やめるのじゃ!」
グリムは立ち上がってお尻を両手で隠した。
「待たせちまって悪いな。ミリィの番だ。」
「ううん。大丈夫だよ。」
ミリィは……ほか三人と比べて恥じらう様子が少ない。
「きゃあ! アハハ! くすぐったいよぅ!」
どこを触ってもこんな感じだ。
……その割には、身体の発育状態は一番良いんだけど。
が! ミリィの弱点は把握している!
「ひゃっ!」
突然、ミリィが高い声を上げた。
「レ、レティちゃん……。ココは……あんまり触らないで……。」
ミリィが反応したそこは……意外にも鎖骨だった。
「ん~? このへんのこと?」
「ひやぁ! ダメだよっ……!」
ようやくそれっぽい反応が来たのが嬉しくて、俺はちょっと意地悪く、鎖骨を執拗に撫でる。
「ダメ! ダメなの……っ!」
ミリィは蹲るように身を屈めてしまった。
ふ~……まぁこのへんにしとくか。
そんな俺の元へ、アイリスとコロネがやってくる。
「お、アイリスとコロネも洗ってやろうか?」
俺が問うと、アイリスが答える。
「ん~ん。わたしたちはもう洗ったから大丈夫だよ!」
なんだ……ちょっと残念。
「かわりにれてぃねぇをみんなであらってあげるの。」
コロネが言う。
……え? "みんな"って?
「……さんせい。」
「自分も手伝うであります!」
「名案じゃな。」
「わ、わたしも!」
俺を包囲する幼女たち。
「ちょ! 待て! 待ってってば!」
「れてぃねぇ……かくごなの!」
その後、俺は……幼女たちに身体を"隅々まで"洗われた。
出来たばかりの大浴場に、俺の悶絶の叫びが反響した。




