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魔王の長女に転生したけど平和主義じゃダメですか?  作者: 初瀬ケイム
第四章 ばんぱいあろーど
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第三十七話 北風よりも太陽を

 人間に正体がバレて以来、屋敷に引きこもってしまった魔族の"お嬢さま"。

 その"お嬢さま"を連れ出すべく、俺たちは屋敷へと歩を進めた。


 門をくぐり、広い庭を挟んで玄関から屋敷の中へ。

 階段を上り、部屋のドアの前に立つ。

 俺がドアをノックしようとすると……


――キィン。


「お、おぉ!?」


 ……弾かれた。

 ノックしようとした手が、ドアを叩く寸前で"見えない何か"に当たって……跳ね返された。


「"お嬢さま"の"力"です……。狭い範囲に"見えない障壁"を張ることが出来るんです……。」


 おぉう。マジか……。

 なんという引きこもり向けの"力"……。


「お嬢さまー。ドアを開けてくださいませんかー?」


 モワがドア越しに呼びかける。

 反応は……無い。


「お客さまが見えてますよー。皆さま"魔族"なので安心ですよー?」


 再度の呼びかけ。

 ……が、いくら待っても反応は無かった。


***


「さて、どうすっかな?」


 俺たちは一旦、屋敷の外に出て対策を練ることにした。


「"障壁"はドアに張られてるんですわよね? なら……隣の部屋から壁を壊して入ればよろしいのでは!?」


 エリノアが名案だと言いたげに提案する。

 ……それなんてグレートティーチャー?


「ダメだ。怖がって引きこもってるお嬢さまを、余計怖がらせてどうすんだ。」


 俺が否定すると、エリノアはしゅんとして俯いた。


「……ごはんを、……運ぶのをやめる。……兵糧攻め、……とか?」


 今度はシャルが提案する。


「いえ。お食事をお運びするのも、"血の盟約"で命じられていますので……。」


 モワが答える。

 まぁモワを動けないよう縛り付ければ可能かもだが……別の方法を考えよう。


「ならいっそ! 庭から一日中騒音を立て続ければどうでありますか!? 睡眠不足になって出て来てくれるかもしれないであります!」


 ロロが提案する。


「……いや、ダメだ。あくまで"平和的に"解決しよう。別にお嬢さまと敵対してるわけじゃないんだ。」


 そう。

 お嬢さまを悪者扱いするべきではない。

 まぁ街の元住人にしてみれば、迷惑な話だろうが……それでも、"怖がって引きこもってる幼女"を

"無理やり外に引きずり出す"ってのは……俺の信念に反する。


 何か……

 お嬢さまが"自分から外に出たくなる"ような方法がベストだ。


「モワ。"お嬢さま"について、何でもいい。知ってることを教えてくれないか?」


 行き詰ったときは現状把握が基本だ。

 俺の問いに、モワは少し考えて答える。


「そうですね……。えっと。名前は"グリム"さまです。"グリム=メタモルフォーゼ"さま……。種族は"霊種"の【ヴァンパイアロード】です。緋色の瞳で、菫色のウェーブロングの髪が腰まで伸びていて、すっごく可愛いです。自分のことを"(わらわ)"って言って、語尾に"のじゃ"って付けて話します。」


 のじゃロリか。おk。把握。


「あとは……そうですね。オシャレな物が大好きです。可愛いお人形とか、ティーセットとか……。」


 ふむ。


 そうか……それだったら……


 あれを……あれして……


 ……あ! それいいな!

 え!? 何それ俺得なんだけど!?


「ふ……フフフ。」


「シャル殿! レティ殿の顔が! なんだか怖いでありますよ!」


「……ロロ、……だいじょぶ。……レティがあの顔するときは……いいこと思いついたとき。」


 おっと。

 悪だくみしてたらゲス顔になっていたようだ。


 が! おかげでプランは出来上がった!


「モワ!」


「は、ひゃい!」


 俺に呼ばれてモワがビクッと反応する。


「大事なことだ……答えてくれ。」


「な、なんでしょう……?」


 俺はモワの目を、真剣な表情で真っ直ぐ見つめて、言った。


「お嬢さまの……ス リ ー サ イ ズ を教えてくれ!」

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