表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の長女に転生したけど平和主義じゃダメですか?  作者: 初瀬ケイム
第一章 あーくでーもん
2/126

第二話 バレないようにしなきゃ

――俺の脳内会議。


俺A「いや、ねぇわ。マジで。」

俺B「だよなー。せっかく転生したのに。」

俺C「あの天使マジ無能。はー、つっかえねー。」

俺D「いくら幼女好きでも自分が幼女になってどーすんだっつーの。」

俺E「ほんとそれ。ハーレムもねぇ異世界生活とか何すんの?」

俺F「さっきの幼女もどーせ妹とかだろ? 可愛かったけど……。」

俺G「いくら俺TUEEEE!!したところでハーレム作れなきゃマジ無意味。」


俺H「………合法……。」


俺A「ん? なんか言ったか? 俺H?」


俺H「……合法百合ハーレム。」


他全俺「!!?」


俺B「どういうことだ!? 俺Hよ!?」


俺H「男の身体で幼女侍らせたら……世間的にNG……」


俺C「お、おぅ……。」

俺D「いや、まぁ異世界だから法とか倫理とか違うかもだし、いいんじゃ……?」


俺H「……規制とかでNG。……いろんな制約が入る。」


俺E「それは……幼女の身体でも同じなのでは……?」


俺H「男と幼女が一緒にオフロはNG。……でもそれが"仲良し姉妹"なら?」


他全俺「!!?!!?」


俺H「……仲良し姉妹が一緒にオフロに入る。どこも不健全じゃない。ただの微笑ましい日常のワンシーン。」


俺F「なん……だと……ッ!?」


俺H「スキンシップも、舐めあいっこも、一緒に着替えるのも……」


俺G「……(ゴクリ)」


俺H「幼女同士なら……ただのじゃれ合い。何の問題も……無い。」


他全俺「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


俺A「なんということだ!! 我々はとんだ思い違いをしていた!」

俺B「幼女の身体サイッコーじゃないか! ビバ!!」

俺C「そうだよな! ちょっと仲良しな姉妹なら一緒にオフロも一緒に舐めあいっこもするよな!?」

俺D「THIS IS 健全! THIS IS 合法!」

俺E「俺、目から鱗が落ちた思いだよ……ウゥッ……!」

俺F「そうと決まればやることはひとつ!」

俺G「見えたな! 俺が、俺たちが目指す異世界生活が!」


全俺「異世界幼女"百合"ハーレム!!!」



――俺の脳内会議、終了。


 俺は鏡の前で崩れ落ちていた身体を起こし、改めて鏡と対峙する。

 変わらず、そこに映るのは幼女になった俺自身。


 だが! そう! 先ほどまでの絶望した顔はそこにはなかった!

 そこにあるのは野望に燃える瞳を携えた、一人の覇王!


 もはや揺らぐことの無い信念を胸に秘め、

 いざ征こう! 百合ハーレム(らくえん)を築きに!


 そう決心した俺がまずしたことは、


 ……現状把握だった。


 いや、侮るなかれ!


 異世界転生したときに最も重要なことは情報収集!

 自分の置かれた状況、持っている能力、危険や敵性存在の把握……。

 これらを見誤ればハーレムどころか地獄の異世界生活が待っているやもしれぬ!


 仮にもし俺の正体が男だとバレたら、先ほどの幼女二人とは二度と一緒に寝られないだろう。

 それどころか、下手をすれば拘束即実刑ギロチン首チョンパまで有りうる。


 ……おぉう。想像したら無いはずの股間がヒュンと縮み上がった気さえする。


 とりあえず正体だけはバレないように気を付けよう。


 俺は決意と共に、目を覚ました部屋の外に繋がるドアを開けた。


 外は廊下になっていた。

 廊下に出ると、下の階へ降りる階段と、他にも扉があることが分かる。

 そこまで大きくはないが、屋敷のようだ。


 三人姉妹だけで住んでいるわけでもないのだろう。


 窓の外はまだ薄暗い。が、周りが見える程度には明るくなってきている。


 よし! とりあえず他の住人が起きだす前に下調べだ!


 俺は屋敷を探索すべく、廊下を歩きだ……そうとしたところで隣の部屋の扉がガチャリと開いた。


(!?)


 扉から出てきたのは長い黒髪の、外見二十歳前後の女性だ。

 うーん、美人だが俺のストライクゾーン的には少し外角高め……

 っと、そんな場合じゃねぇ!!

 怪しまれたらゲームオーバーだってさっき気を引き締めたばかりだろ!!


 どうする!? どう対処するのが正解だ!?

 部屋に引き返すか!? いや! もう目が合っちまった!


 この女は母親か? いや、若すぎるか!?

 姉か? それとも使用人??


 同じ屋敷に住んでて他人ってこともないはず!

 だったら一番無難なのはこれだ!


 俺は(出来るだけ不自然にならないよう心掛けつつ)笑顔を作り、


「お、おはよう……。」


 それだけを口にした。


(……どうだ!?)


 一瞬の、だが俺にとっては永遠にも感じられる静寂。

 その後、その女性は返答した。


「……アナタ、誰ですの?」


 はい詰んだー!


 ハーレムどころか女の子と手を繋ぐこともないままバッドエンド直行!

 どこで間違った!? いや、選択肢ほぼ無かったよね!?

 まさか部屋出た時点でアウト!?

 こんな初見殺し回避できねーよ、ちくしょー!!


 俺が呆然自失状態で棒立ちしているその横で、


 女性は何かを考え、そして……


(!?!?)


 俺の手を掴んで、自分の部屋の中に入った。


 あ、あれ? まだ詰んでない……の?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ