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指名手配犯寺井

深夜0時の繁華街

サイレンが鳴り響く


逃亡するヤクザ達は皆、寺井と同じような考えにて繁華街に逃げ込んでいた。ヤクザが集まり過ぎて悪目立ちする。ヤクザ強制撲滅法にて警察と自衛隊の合同で捜索が開始され、少しでも疑わしい者は捕らえ連行された。

繁華街は朝までサイレンが鳴り響き、血しぶきと、銃弾の飛び交う戦場になっていた。が、時間とともに次第に静かになっていく。

明け方頃には繁華街はヤクザな遺体の搬送により、ひっきりなしに霊柩車が行き来していた。その数に合わせるように祈祷師、及び住職による黙祷とお経による念仏が繁華街に鳴り響いていた。


死んだヤクザな数1451、負傷者312

警察官死亡10名、負傷者491

自衛隊51名死亡、負傷者685


繁華街は戦場になったとはいえ、そこから逃げる事もできた。闘争心の強いヤクザたちは、元々闘いを好んでいるから、命を賭けた戦争ゲームをしてる感覚だろう。寺井の場合はゲームといえばVRであり、ヤクザな命懸けの争いは興味がなかった。


寺井は繁華街でひたすらに闘いに参加せず、逃げ続けた



正午、寺井はホームレスの様な小汚い格好をしてゴミ箱を覗いてる。ひもじいゴミ漁りの振りをして、今朝の新聞を拾った。


寺井に関する情報が顔写真付きで新聞一面に載っている。


内容は


寺井容疑者は

平井組を率いて親組である山口組を乗っ取ろうと戦争を仕掛けた。銃撃戦の末、双方に多数の死者を出した。警察、及び自衛隊が武力鎮圧し組員を拘束をするもの主犯である寺井は部下を置き去りにし一目散に山荘のアジトに逃げ込んだ。


捜査隊は寺井のアジトを発見し銃撃戦となるも寺井は逃亡した。寺井は逃亡の際に民家に侵入し家人2人を人質にし、一人を殺害、捜査隊を振り切った後、行方知れすで依然として捕まっていない。尚、人質とされた被害者の安否は確認されず、依然として被害者の捜索も行われている


寺井は思った「指名手配される」というのは、こういう意味だったのか……


冤罪を押し付けられまくった寺井。当局は証拠捏造もしてるかもしれない。アリバイを証言して無実を証明したいところだが、そんな都合のいい人間いるだろうか


ところで


寺井は昨日の昼から何も食べてない。

「ピザ食べたい」

昨日食べたピザを思い出していた寺井。

あと一歩配達が遅ければピザ屋も銃撃に巻き込まれて殺されていたかもしれない。


そもそもアリバイを証明したとしても、殺されると思う。人口削減政策をしてるなら、ヤクザは真っ先に処分したいだろうから。


寺井は、ついマサシを思い出した。真っ先に処分されるべきマサシは誰よりも早く逃亡した事になる。カネも沢山蓄えてるだろう。今頃、海外にでも高飛びしているかもしれない。寺井はマサシを羨んだ。



寺井は今、生きるか死ぬか瀬戸際にいる。所持金は限りがあり、銀行で引き出したいが寺井の口座は当局のチカラで凍結されていて引き出せない。


自宅に行けば纏まったカネが有るだろうが……張り込まれてるだろうし


平井組が縄張りにしてる風俗店かパチンコ屋は、もしかしたら匿って貰えるかもしれないが……


どれも逃亡先としては弱い。カネを幾らか、せびるか奪う事は出来るかもしれないが、カネが尽きたら同じことを繰り返さないと、生活はやっていけないだろう



寺井は公園で水を飲み腹を満たした


そこにホームレスがいて


周囲はホームレスのたまり場になってる




「おや? 新人さんかい? ここは縄張り争いとかないから、安心していいよ」




気の良さそうなホームレスに話しかけられる

ホームレスは大きな袋に空き缶を沢山入れて持ってる 。


寺井もこの先こういう生活をしないといけないのか?


よく見るとホームレスは自転車にまたがり、両手に缶袋を持ってる

とりあえず、この人の近くにいよう、いざとなったら、自転車奪って逃走すればいいし


ホームレスはリサイクル業者にて空き缶を換金し、2250円を受け取った。それが今日の稼ぎだそう。

ホームレスは満面の笑顔だ。


寺井はカシラとして1日20万を貰っているが。それでも足りないととさえ、思っていた。(寺井の場合は麻薬買ったりゲーム内課金で殆ど使うので足りなくなるのだが)



寺井は2000円ぽっちじゃ、やっていけない。そんな不満顔をしていた。


ホームレス

「そんなに不安な顔しなくても大丈夫だからね。仲間がいてくれるから」


寺井の不満顔と不安顔の違いが判別できないホームレスは、これまでのホームレス人生を語り出した。何故、自分はホームレスまで身を落としてしまったのか、絶望の中でどうやって、折り合いを付けながら心が笑顔になれるのか、負け犬を正当化する理論を熱く寺井に語った。


ホームレス

「……で、あの日は寒くて凍える様で、でもお金は全くなくて、寒さで死ぬかと思って歯をカチカチして震えてたら、歯が抜けちゃってさ、泣きそうになったよ。でも抜けた歯をよく見てると金歯だったの。あの時はほんと、命拾いしたよ、速攻で質屋で売って漫画喫茶入ってさ、そしたら漫画のバガボンドが死ぬほど面白くてさ、宮本武蔵の生き様が俺と似てるような、気が……」




寺井

(そうだ、原の兄貴なら、俺の性格を知ってるから無実だと判るはず。助けてくれるかもしれない、漫才師目指してカタギになりきってるし警察のマークもないかもしれない)


寺井は公衆電話から兄貴に連絡をとった

兄貴は今は、吉本興業主催の漫才トーナメントに参加している最中であり、今日は迎えにくるのは無理らしい。



寺井は先程のホームレスに無視したこと謝罪して、仲間に入れてくれるよう頼んだ。寝床用のダンボールをくれ、その日をやり過ごした



一夜明け



原の兄貴はネタが滑ったらしくて、とてもイライラしていた。自分の事は自分で何とかしろ、という返事が帰ってきた。


原の兄貴は寺井を匿うつもりはないらしい。寺井が近くにいる事で万が一家族に、自分がしたきた(ヤクザ)の業がバレたら困るから、と拒んだ




・寺井が原の兄貴を期待して得られたもの


見放された心の痛み


・寺井が原の兄貴を期待して失ったもの

原の兄貴への愛 そして時間。、



寺井は公衆電話から出ると電話ボックスに向かって唾を吐いた。電話の先に兄貴がいると思うと、腹が立つので吐いた


「何しとんじゃわれ!」


如何にもなヤクザに絡まれた。ボックスの向こう側にいらっしゃったのだ、吐いた唾が少しかかったのかもしれない。あるいはヤクザを向いて舌打ちしたように見えたからかもしれない。如何もなヤクザは怒ってる。寺井の胸ぐらを掴んだ


このヤクザは一日中麻薬でラリってたのかもしれない。ヤクザ撲滅法のニュースを見てないみたい。


寺井

(たのむから、野次馬を集めないで欲しい)


ヤクザかを因縁つけてきて、野次馬が集まる。悪目立ちしてる。

戦場になる前に逃げないと


寺井はヤクザを無視してダッシュした、マリオなBダッシュで駆け抜ける



「まてや、こら!、逃げんな!」


ヤクザは追いかけてくる


耳を引っ張られヤクザに捕まった


耳から引きずられる寺井。このままでは顔をもろに、野次馬に見られてしまう。指名手配犯だとばれてしまう




寺井

「お金を払うんで許してください」


寺井は、なけなしの全財産を渡すことで、この危機から離脱しようとした。



しかし、とき既に遅くて、二人は私服警官にピストルを向けられていた


寺井は顔を見られないように伏せた。


「なんじゃワレ?ピストル持ちよってにやり過ぎと、ちゃうんかのう?」


私服警官の手は震えていた。

「そ、の、人を離し、しなさい。私が10秒数える間に離さないなら、撃ちます」



声にも態度にも迫力がない。人を撃った経験が、一度もない警察官だった。今回、急に出来た法律に対応しきれていない。


ヤクザは少しも怯まない。寺井を盾にして、警官から逃げるつもりだ。



「撃ちなさい!」

もう一人の警官が現れた。その警官はピストルを警官に向けていて、

「殺らねば私が貴方を撃ちます!」



ヤクザ撲滅法は施工されたばかりで日が浅い。法律の詳細を知る者は少ないのだが、条文に「公人は明らかなヤクザを見かけたら、10秒以内に投降させるか、または拘束しないといけない。10秒を越えたら射殺しなければならず、もし射殺しない場合、現場の上役がその射殺できない公人を即時死刑を執行する。もし現場の上役がその任務を放棄したら、その上役は死刑が問答無用で確定する。尚、ヤクザへの殺害は必ず最初に発見した公人に義務が発生する。誰かに代わりで殺させる場合はその代わり者が公人であり、ヤクザを同時に認識してることが条件になる。そうでない場合、関係した者は連帯責任となり全員死刑にされる








警察官は、震える手で撃った。ヤクザをかすめる

もう一度撃った。

寺井をかすめる


もう一度撃った。

ヤクザの肩に当たった。しかしまだ生きてる


上役に「撃て! 」と命令されている。


警察官は余計に震えている


怖くなったヤクザは寺井の髪の毛を掴み、顔を警官に向けた


「おまえら、人質どうなってもええんか!?」



警察官は寺井の顔を見て指名手配されてる寺井だと知り、恐怖して、発砲しまくる。


寺井は咄嗟にヤクザを盾にして凌いだ。弾がきれたようで、その隙に寺井は逃げようとした。


「待ちなさい!」

警官の上役が寺井にピストルを向けた。「10秒以内に投降するチャンスをあげるわ」


この上役の警官はヤクザな人種に強い恨みを持っていて、殺しに躊躇がない。、一歩でも寺井が逃げる素振りを見せたら、撃つ気だ


「まってくれ! 俺は無実なんだ。全部陰謀で、罪を押し付けられたんだ!」


「どうせ嘘よ!、さあ死になさい!」


「ロイヤルピザ屋の相模原店 に聞いてくれ! その時間に、俺にアリバイがある!俺はまだその時間、山荘にいて、抗争の現場から離れてるんだ。だから……」



寺井は腹を撃たれて吹っ飛んだ


地面に倒れ込み蹲り動けない


警官は手錠を取り出して、寺井を拘束した。


上役警官

「ごめんね、どっちにしろ、死んだね。いまさら手錠かけても、意味無いわ。あはははは!」

笑顔で寺井を足で踏む上役

野次馬たちから、「やり過ぎだろー!」と、上役に対して罵声が浴びせられる。

上役は弁明するように

「この人は指名手配犯で、とても危険な人物なんです。ですが、みなさん、今逮捕していますの安心して……」

寺井は上役の足を掴み、尻餅をつかせた。

昨日、マサシ対策の為に 防弾チョッキを着ていたので助かった寺井


上役が怯んだ隙に上役のピストルを奪い、上役の頭に突きつけた


野次馬が静まり返って


寺井はピストルを上役に突きつけたまま言った

「皆さん聞いて下さい!」


「オレは無実なんです!

「ロイヤルピザ屋の相模原店 確認をして欲しい。 その時間に、俺にアリバイがある!俺はまだその時間、山荘にいて、抗争の現場から離れてるんだ。だから…



野次馬はスマホで寺井の意見を動画撮影している

ネットの動画サイトにアップしている


「オレは国にハメられたんだ。人工削減政策という陰謀に巻き込まれたんた。」

寺井はそういうと、

「手錠の鍵を出せ! さもなくば!」

上役の警官は鍵を持っていない。もう一人の警官が持っている。


警官

「落ち着いてください! 鍵はここにあります。」

鍵を寺井に見せるが渡さない


警官

「無実なら、裁判で証明しましょう。貴方の意見は皆さんが証人になりますから。今からロイヤルピザにアリバイの確認電話をかけます、もし、貴方の言うようにアリバイを証言してくれる人がいるなら、裁判で戦いましょうよ。逃げたら駄目です。もっと信用しましょう?」



寺井は嫌な予感がした。もしピザ屋が口封じされていたら、鍵も手に入らない。

捕まればそのまま処刑されてしまう


案の定ピザ屋は電話に出ない。口封じされてる


寺井は上役を人質にし、野次馬の中に消えていった。野次馬の中から「嘘つき!」という声が聞こえてくる。背中にゴミを投げられる。

「結局お前がヤクザで人に迷惑をかけてるのは事実なんだよ」という声が聞こえて来たとき



車が一台、野次馬の中に飛び込んできた。



ワゴン車のドアが開き

「乗れ!」


原の兄貴が助けに来てくれた。


寺井を乗せて野次馬の中を駆け抜けてく



でもなぜ? 電話では、助ける気ないみたいなことを……


「お前なあ、公衆電話が盗聴されてるの忘れたのか? あんなんで要件伝えられたら断わるしかないだろうが」


原は、警察の目を欺く為にわざと、寺井に素っ気ない態度をとった。寺井が原に電話したせいで原は警察にマークされた。追跡を振り切り寺井の元へ駆けつけるのに時間がかかってしまった。


監視カメラだらけの時代、道なりに目的地に向えば、簡単に追跡されてしまう。原は警察の追跡をかく乱するため、遠回りに複雑な道を走らなければならなかった。


寺井は兄貴に見捨てられてなかった。






「ところで昨日はどうやって一晩過ごしたんた?」


「ホームレスの人達に紛れ込んで面倒看てもらいました。」


「そうか、じゃあ、この戦争終わったらしっかりお礼しとくんだそ。なんなら俺の舞台チケットを贈呈してもいい




「あの、」


「なんだ?」


「手を煩わさて、すみません」


「おいおい、俺達は兄弟盃を交わした筈だぞ? 忘れたのか? 俺もお前に組を任せてんだから、」


「あの、ヤクザな件が家族にバレて困らないかなと」


「それな、まあ、仕方ないだろ」


「もしかして、離婚とか」


「熟年夫婦だから、そこまでは、ないけど、ここに来る前に死んだと思ってくれ、とは言ってきた」


「……」


「ところでこれからどうすんだ? 日本の中だと、生きれないぞ? 外に逃げるか?」


「正直それしか方法がないと思いました。行くならどこがいいと思います?」


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レビューは、お勧めする内容でなくとも全く構いません。お勧めのできない理由や、ここがツマラナイ等なんでも構いません。 否定してこそ、新たな創造が生まれると思っているので、勉強させてください
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