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旧)忌み子の願い  作者: あぽ
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第7話 講習会3

「脇を締めて、振る!」



 大剣を大上段に構え降り下ろす。以前に剣を振ったときよりも空気抵抗が無くなり剣筋が良くなってきている。

 ワーウルフに襲われてレイが気絶した後、無事朝には目を覚ました。今日の剣術の訓練も問題なく参加している。訓練ではレイは一切の剣術を身に付けていないため、延々と素振りをして基礎を固めていた。グラトスとカナミアはある程度できているので、二人で模擬戦をして足運びなどの練習をしていた。そんな、剣術の訓練も夕刻になり終わりを告げる。

 レイは一日の訓練の成果を確認する術を持っている。ステータスを表示して新たなスキルを期待して確認する。



********************

氏名:レイ=トラギナ

年齢:15

種族:人間

魔力:500/500

スキル:

鬼人化Lv-

格闘術Lv1(4)

剣術Lv1(1)

********************



お!剣術が増えてるな。でも、経験値はまだ1しかないか。経験値が幾つまで貯まればレベルが上がるんだ?まあ、素振りだけでスキルを獲得出来たのは儲けもんって事で良いか



 レイはクスラ草の採取の際に行った森で格闘術の練習を続けており、その日の終わりにはステータスを確認していた。何日か経った頃、レベルの横の括弧内の数が1つ増えたのだった。そしてさらに日が経つとまた数が増え、経験値ではないのか気付いた。しかし、ただ日が経つだけで数が増えてしまうことも可能性があるので、敢えて訓練をしない期間を設けたところ、数値に変化が現れなかったので経験値であることが確定していた。

 訓練が終わると皆で協力して食事の準備をする。今日は訓練中にやって来た狼と、今朝ゲイルとグラトスが取りに行った獲物で充分だったのでそれを調理するだけである。



「小麦粉と油取ってくれ」



 今日の魚はソテーにするらしく、ギルドから講習会用の調味料などを使っていく。勿論、全ての野営では料理を満足に出来るわけではないのだが、初心者ということで野営中でも簡単に美味しく食べれる料理を教えるという講習項目の1つでもある。ゲイルが魚の調理をして、狼の調理は他の3人で行う。レイも日本では自炊していたので料理を出来ないことはないはずだが、如何せん狼は調理したことはなく、グラトスとカナミアに一任である。



「さあ!食えっ」

「…どうぞ」



 魚のソテーはバジルが掛かっており、とても良い香りと小麦粉の軽く揚げられた衣がサクッとしていてとても美味しい。そしてレイが気になる狼肉は、塩コショウで味付けしただけのステーキで特に旨いということもなく、よく引き締まった肉という感想である。

 食事は終わり、調理器具を片付けて夜番へと移っていく。今晩も昨晩と同様の組み合わせであるが、順番を入れ換えてゲイル達が先に番をする。



「じゃあ後で起こすからな!」

「はーい。お休みなさい」

「…お休みなさい」



 ゲイルが若い新人達の目覚めが悪いのをこれまでの幾度となく目にしているので、レイ達にも釘を刺しておく。

 しかし、そんな心配はレイには要らない様であった。



……うん。寝れないね。体が少年のせいか、身体年齢に少し精神年齢が引っ張られて思春期真っ盛りみたいな気分だわ



 鬼気の使用で目覚めが良いとかではなく、性欲との格闘で眠れないだけである。



あ。眠れそう。あと…少………し………………



「起きろ!早く武器を持って出てこい!」



 1日の疲れに任せて睡魔が性欲に勝り出した時、ゲイルの大声が響く。まだ交代の時間でもなく、焦りの色が声に含んでいることから緊急事態だと感じて、瞬時に大剣を握りテントから飛び出る。少し遅れて後ろからカナミアが長剣を帯剣して出てくる。



「30以上はいるらしい。気を付けてくれ」



 外に飛び出たレイ達が見た光景は大量のワーウルフ相手にゲイルが剣を片手に斬り込んでいた。呆然としているレイ達にグラトスの注意が飛ぶ。



「お前ら!どっか一方向だけ切り崩して逃げるぞ!」



 ゲイルが指示を出して、突破を試みる。しかし、物量があるワーウルフに対しほぼゲイル一人で相手している為、多勢に無勢で直ぐにやっと出来た穴も塞がれてしまう。

 未だに呆然としているレイ達の加勢が無いため、なかなか突破が出来ずにいると、ゲイルの相手ではないワーウルフの1匹がレイに襲い掛かる。



「ぐっ!?」



 足から頭まで2m近くあるワーウルフに突進の勢いを持ったまま噛みつかれる。勿論パワーはかなりあり、レイ位の体格ならば簡単にぶっ飛んでしまうものだ。

 しかし鬼気を纏っている為、軽く体勢を崩しただけであった。それに加え、この衝撃により我に帰りレイが大剣を抜いて走り出す。また、カナミアも感化されてゲイルのいる方向に斬り込む。



「っばか!!こっちだ!」



 レイが走り出した方向はゲイル達の方向ではなく真逆に位置するワーウルフに突っ込む。それに気付いたゲイルが怒鳴るが、気にかける様子もなく走り続ける。



くそっ!どうせ逃げるなら誰かが殿を努めなきゃいけなきんだろ。例え殿がいても他の仲間にも危害が及ぶ可能性はある、なら俺が鬼気の力で全部ここで引き留めるのがベストだろ。殿より囮や生け贄って感じだな……



「ここは俺が引き受ける。皆は逃げてくれ!」

「何言ってんだ!もう突破するぞ!」



 レイを除く3人のため一点突破がもう出来そうになっていた為、Cランク冒険者でもこの量相手には勝機を見出せず、焦りを感じて1人離れた所にいるレイに怒号を飛ばす。



「ウラアァァァァアァアア!!」

「っ!何だ!?」



 ゲイルが怒鳴った直後、レイの己の士気を鼓舞する様な叫び声が聞こえる。



「おい!何処へっ!?」



 ワーウルフの群れに独りで突っ込むレイに声を掛けようとした瞬間、ゲイルの顔に何かが付着する。



「くそがぁ!」

「……っ!?」

「何だあれは?」



 視界の確保されていたカナミアとグラトスがレイの突撃していった方向を眺めている。それに吊られてゲイルも数瞬遅れて同じ方向を見ると、そこには5匹以上のワーウルフを一凪ぎの下屠っていた。大剣の刃に付いた体液が遠心力で剣先に集まり、剣が振られる度に飛び散って斬撃の様に三日月を描く。

 圧倒的な脅威に僅かに他のワーウルフの動きが、止まるが再び動きだす。今度は最大の脅威を排除するために大量のワーウルフが一斉にレイに襲い掛かる。



 

読んでくれてありがとうごさいます。

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